「馬なり」「強め」「一杯」。この表記は追い切り時の騎乗者が最後の直線において、どのくらいの強度で馬へアプローチしているかを示します。
最後の直線に向いても騎乗者が握った手綱を動かすことはほぼないような、馬任せの状態を指します。ただ、加速を促すために軽く拳を動かしたり、手前を替えさせるために手綱を動かすといったことはあります。
最後の直線に向いたところで騎乗者が「強く」加速を促すような動作を行う状態を指します。具体的には数秒間にわたって手綱をしごくことや肩鞭を入れたり、見せ鞭を入れる動作も強めのアプローチになります。
最後の直線に向いたところで騎乗者がレースに近いような状態で目一杯に追い出す状態を指します。具体的には長い時間にわたって手綱を強くしごくことはもちろんですし、ステッキが何発も入るような状態です。
計測区間は800m。計測のスタート地点より前に270mの助走区間があります。栗東に比べると、かなり長く、しかも平坦なので、計測最初の1F目は比較的速いラップを踏みやすくなっています。つまり最初からスピードに乗りやすいため、1F目から12秒台のラップを踏んで、ゴール前では大きく失速してしまうケースもあります。
基準となる時計は4F52秒半ば。1F目を13秒後半で入り、2F目で13秒前半まで加速して、後半が12秒台といったラップのバランスです。速い時計が出るラップとしては、1F目を13秒前半で入り、2F目以降は12秒台を持続するように走れば、4F51秒を切るような時計は出ます。
美浦の場合、走路全体の高低差は18mと栗東よりはかなり低いので、速い時計を出しやすい傾斜ではあります。とはいえ、12秒台のラップを3F続けることができるのはスピードの持続力に優れていることを示すので、注目すべきラップであることは間違いありません。
※解説は旧コースのもので、2023年10月オープンの新コースのものではありません。新コースへの更新については追って更新予定です。
計測区間は800m。計測のスタート地点より前にある助走区間は70mしかなく、しかもすでに傾斜が始まっているので、美浦に比べると1F目に速いラップを踏みにくいコース形状となっています。
基準となる時計は4F53秒くらい。美浦よりも0.5秒ほど遅くなるのは、助走区間と高低差の違いだと考えてよいでしょう。1F目を14秒台で入り、2F目で13秒台まで加速して、後半2Fを12秒半ばくらいのラップでまとめれば、4F53秒前後の時計となります。栗東で4F51秒前半をマークしようと思えば、1F目から13秒台を踏んでいく必要がありますが、短い助走区間でこのラップを踏めることはダッシュ力に優れていることを示します。
栗東の場合、走路全体の高低差が32mなので、ゴール前での負荷はかなり強くなります。そういった意味で2F時計が25秒を切ることは、坂を駆け上がる能力に優れているという見方をしてよいと思います。
2021年の夏に自動計測を開始。「JRA-VAN競馬情報」および「JRA-VAN NEXT」でその時計を閲覧することができるようになりました。コースへ入場できる場所が数箇所ありますが、馬場正面から入場した場合はゴール板を通過して、10Fからの計測になり、再びゴールまで走ってくれば、まるまる1周走ったということになります。
向正面の入口は2箇所あり、6F標識より手前から入場すると、6Fからの計測、4F標識より手前から入場すると4Fからの計測となります。
周回コースの場合は坂路のように、スタート地点が決まっているわけではありません。よって、各馬がどのくらいの負荷をかけたいかに合わせて、追い切る距離を決めるイメージです。
南Wの場合は6F標識から計測が始まり、5F標識からラップを速める追い切りが主流となっています。5F標識を15秒切るくらいのラップで入り、3、4コーナーを14秒前後、最後の直線の2Fを25秒くらいでまとめて、5F67秒程度が基準になる時計です。
1周1800mの周回コースなので、正面から入場すると、ゴール板を通過して、再びゴール板で9F走ることになります。向正面には、2コーナー、向正面真ん中、3コーナー手前と3箇所の入口があるので、追い切りたい距離に合わせて入場場所を選ぶような形になります。
CWの場合は正面から入場して、1、2コーナーを1F18秒から19秒程度のラップを踏んで、向正面にある6F標識からラップを速めるというのが主流の追い切り。前半の3Fを15秒前後のラップでトータル45秒、4コーナー手前からの後半を38秒くらいでまとめて6F83秒程度というのが基準となる時計です。
併せ馬にもいろんなパターンがあり、最初から横並びの2頭併走、前後に分かれての2頭併せ、前と真ん中と後ろと隊列を組む3頭併せ。レースに近い内容となれば、前方と後方に分かれ、4コーナーを過ぎたところで内外に進路を選ぶという併せ馬でしょう。レースでは、逃げ、先行、差し、追い込みの脚質があるように、その馬が得意とする戦法を併せ馬を使って実戦形式に調教することで、より質の高い「先行」や「差し」に磨くことができます。
逆に逃げ馬の場合は自分のリズムを重視して走ることが重要なので、併せ馬ではなく、1頭で走る、単走という形で追い切ることが多くなります。
水の中での運動ということで、脚元に負担をかけずに調教ができるというメリットがあると言われています。また、プール調教での呼吸は水圧を受けることになるので、深い呼吸となり、心肺機能を高めると言われています。さらに水の中を泳ぐことで普段とは違う筋肉を鍛えることができ、バランスのよい走りにつながることもあります。