G1特集 第67回 安田記念G1特集 第67回 安田記念

血統分析

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父、母父ともに非ノーザンダンサー系のブラックスピネルに期待!

1)SSを経由しないヘイルトゥリーズン系がやや有利

多くのGIで好成績を残しているサンデーサイレンス(SS)系だが、この安田記念はそれほど得意ではない舞台といえる。ジェニュインとダンスパートナーが出走した1996年から昨年まで21年連続、のべ121頭がスタートして4勝(勝率3.3%)。1〜3番人気だった23頭に限っても2勝・2着3回、18頭が馬券圏外と信頼度は低いのが実状なのだ。

そのSSを経由しないヘイルトゥリーズン系が好調だ。ただし1〜3着の計8回はウオッカ、モーリス、スマイルジャック、ストロングリターンの4頭によるもの。しかもすべて5番人気以内でのもので、6番人気以下の15頭はすべて着外だった。「ヘイルトゥリーズン系がいい」のは確かだが、人気薄の激走は望み薄だ。

◎プラス評価……父が非SS系のヘイルトゥリーズン系で1〜5番人気

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父馬の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 3回 3回 5回 81頭 3.7% 7.4% 13.6%
その他のヘイルトゥリーズン系 4回 2回 2回 25頭 16.0% 24.0% 32.0%
ノーザンダンサー系 1回 3回 0回 32頭 3.1% 12.5% 12.5%
ナスルーラ系 1回 2回 0回 12頭 8.3% 25.0% 25.0%
ミスタープロスペクター系 1回 0回 3回 22頭 4.5% 4.5% 18.2%
【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2016.6.5 1 6 ロゴタイプ ローエングリン サンデーサイレンス
2016.6.5 2 8 モーリス スクリーンヒーロー カーネギー
2015.6.7 1 6 モーリス スクリーンヒーロー カーネギー
2015.6.7 2 13 ヴァンセンヌ ディープインパクト ニホンピロウイナー
2014.6.8 1 10 ジャスタウェイ ハーツクライ Wild Again
2014.6.8 2 12 グランプリボス サクラバクシンオー サンデーサイレンス
2013.6.2 1 10 ロードカナロア キングカメハメハ Storm Cat
2013.6.2 2 2 ショウナンマイティ マンハッタンカフェ Storm Cat
2012.6.3 1 4 ストロングリターン シンボリクリスエス Smart Strike
2012.6.3 2 3 グランプリボス サクラバクシンオー サンデーサイレンス
2011.6.5 1 14 リアルインパクト ディープインパクト Meadowlake
2011.6.5 2 1 ストロングリターン シンボリクリスエス Smart Strike
2010.6.6 1 17 ショウワモダン エアジハード トニービン
2010.6.6 2 9 スーパーホーネット ロドリゴデトリアーノ エルセニョール
2009.6.7 1 3 ウオッカ タニノギムレット ルション
2009.6.7 2 6 ディープスカイ アグネスタキオン Chief's Crown
2008.6.8 1 5 ウオッカ タニノギムレット ルション
2008.6.8 2 16 $アルマダ Towkay Red Tempo
2007.6.3 1 2 ダイワメジャー サンデーサイレンス ノーザンテースト
2007.6.3 2 5 $コンゴウリキシオー Stravinsky Hansel
2)母父にヘイルトゥリーズンが入ると切り?

母父の系統別成績を見ると、種牡馬成績とは対照的に「その他のヘイルトゥリーズン系」は不振。近年のトレンドである母父サンデーサイレンス系も、昨年ロゴタイプが勝つまで苦しんできた。

目立つのはナスルーラ系の勝率だが、これはウオッカの2勝が効いているせいだ。さまざまな系統の母父から勝ち馬が出ており、「その他のヘイルトゥリーズン系」を除けばどこからでも買えるだろう。

●マイナス評価…母父その他のヘイルトゥリーズン系

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母父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 1回 2回 3回 22頭 4.5% 13.6% 27.3%
その他のヘイルトゥリーズン系 0回 0回 1回 9頭 0.0% 0.0% 11.1%
ノーザンダンサー系 3回 3回 5回 64頭 4.7% 9.4% 17.2%
ナスルーラ系 3回 0回 1回 20頭 15.0% 15.0% 20.0%
ミスタープロスペクター系 1回 2回 0回 28頭 3.6% 10.7% 10.7%
その他の系統 2回 3回 0回 29頭 6.9% 17.2% 17.2%
3)ノーザンダンサーの血と配合に注目

10年間の出走馬172頭を、父か母父がノーザンダンサー系である「ノーザンダンサー型」と、父・母父どちらもノーザンダンサー系ではない「非ノーザンダンサー型」に分けて比較してみた。

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血統タイプ 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
ノーザンダンサー型 4回 6回 5回 90頭 4.4% 11.1% 16.7%
非ノーザンダンサー型 6回 4回 5回 82頭 7.3% 12.2% 18.3%

馬券に絡んだ回数は互角だが、率では非ノーザンダンサー型がやや優位だ。その非ノーザンダンサー型から出た連対馬のべ10頭のうち8頭は、社台ファーム、ノーザンファーム、白老ファームといった社台ファーム系牧場の生産馬で、該当しないのはウオッカだけ。いっぽうノーザンダンサー型の連対馬10頭のうち社台ファーム系牧場の生産馬はダイワメジャーとロゴタイプのみとなっている。

次に出走馬の父と母父を、外国籍、輸入種牡馬、内国産に分けて考えてみる(海外でも日本でも供用された種牡馬の場合、JRA−VANデータで血統を見た際、アルファベット表記なら外国籍、カタカナ表記なら輸入種牡馬と考える。またシンボリクリスエスは外国産だが種牡馬としては内国産とカウントした)。

外国籍種牡馬の産駒が最後に勝ったのは2006年(Royal Academy産駒ブリッシュラック)。2009年の3着ファリダット(父Kingmambo)以後は馬券に絡んでいない。輸入種牡馬の産駒も2007年のダイワメジャー(父SS)が最後の勝ち馬だ。いっぽう「母父が外国籍または輸入種牡馬」というタイプは毎年のように3着以内に来ていて、昨年は1・2・3着。内国産種牡馬の産駒は2008年以降連勝中だが、「母父が内国産種牡馬」というタイプの好走例は一昨年2着のヴァンセンヌ(母父ニホンピロウイナー)くらいだ。

近年の安田記念におけるベスト配合は「父が内国産種牡馬×母父が外国籍または輸入種牡馬」といえそうだ。

◎プラス評価……父が内国産種牡馬×母父が外国籍または輸入種牡馬
 ○プラス評価……父・母父とも非ノーザンダンサー系で社台ファーム系牧場出身
 ○プラス評価……父・母父どちらかがノーザンダンサー系で社台ファーム系以外の出身
 ●マイナス評価…父が外国籍種牡馬・輸入種牡馬
 ●マイナス評価…母父が内国産種牡馬

4)実は2400mへの適性が重要?

勝ち馬の父・母父に、マイル前後の重賞で良績を残してきた馬が多いのは当然のこと。ダイワメジャーの母父ノーザンテースト(G1フォレ賞)、ウオッカの母父ルション(G1ムーラン・ド・ロンシャン賞)、ショウワモダンの父エアジハード(安田記念とマイルCS)、リアルインパクトの母父Meadowlake(ダートG1アーリントンワシントンフューチュリティ)、ストロングリターンの母父Smart Strike(ダートG1フィリップHアイズリンH)、ロードカナロアの父キングカメハメハ(NHKマイルC)と母父Storm Cat(ダートG1ヤングアメリカS)、ジャスタウェイの母父Wild Again(ダートG2オークローンH)、ロゴタイプの父ローエングリン(マイラーズC)といったあたりだ。

いっぽう優勝馬の父または母父には、2400m重賞での実績も求められる。スピード競馬と2400m級、双方に対応できる素養が必要といえるようだ。

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馬名 父・母父の2400m重賞実績
ダイワメジャー 特になし/父サンデーサイレンスは日本ダービー馬を多数輩出
ウオッカ 父タニノギムレットは日本ダービー馬
ショウワモダン 母父トニービンは凱旋門賞馬
リアルインパクト 父ディープインパクトは日本ダービーとジャパンC勝利
ストロングリターン 父シンボリクリスエスは日本ダービー2着、ジャパンC3着
ロードカナロア 父キングカメハメハは日本ダービー馬
ジャスタウェイ 父ハーツクライはドバイシーマクラシック勝ち馬
モーリス 父スクリーンヒーローはジャパンC勝ち馬
ロゴタイプ 父ローエングリンは2400m不出走(勝ち鞍は2200mまで)

○プラス評価……父・母父どちらかがマイル前後のG1・G2勝ち馬
 ○プラス評価……父・母父どちらかが2400mG1で連対

結論

買うべき馬をまとめると「父はSSを経由しないヘイルトゥリーズン系種牡馬かつ5番人気以内」、「非ノーザンダンサー型なら社台ファーム系牧場、ノーザンダンサー型なら他の牧場の生産馬」、「父が内国産種牡馬×母父が外国籍または輸入種牡馬」、「父か母父に2400m適性あり+父か母父に1200〜1800m重賞の実績あり」ということになる。

一番手はブラックスピネル。父はウオッカと同じタニノギムレット(ヘイルトゥリーズン系内国産種牡馬)×母父がマイルG1勝ち馬アグネスデジタル、非ノーザンダンサー型でノーザンファーム出身だ。母父アグネスデジタルを「輸入種牡馬」と考えれば、後は5番人気以内に支持されるのを祈るだけだ。

残りはほとんどが「父が外国籍種牡馬」や「父か母父が勝率の低いSS系」といった馬たち。その中ではイスラボニータが一歩リードする。父がマイルG1馬フジキセキ(内国産種牡馬)×母父が勝率の高いナスルーラ系Cozzene(外国籍で米BCマイル勝ち馬)、非ノーザンダンサー型で白老ファーム産。血統的な2400m適性は物足りないが、自身が日本ダービー2着の実績を持っている。ブラックスピネルが人気にならないなら、こちらを狙うべきだろう。

【ブラックスピネルの血統表】

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タニノギムレット
 Tanino Gimlet
 1999年 栗毛(静内町)
*ブライアンズタイム
 Brian's Time
 1985年 黒鹿(米)
Roberto
1969年(米)
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Bramalea Nashua
Rarelea
Kelley's Day
1977年
Graustark Ribot
Flower Bowl
Golden Trail Hasty Road
Sunny Vale
タニノクリスタル
 Tanino Crystal
 1988年 栗毛(静内町)
*クリスタルパレス
1974年 芦毛(仏)
Caro Fortino
Chambord
ブラックスピネル
 Black Spinel(JPN)
 牡 4歳 父14歳・母 7歳時産駒
 2013年 黒鹿(安平町)
Hermieres Sicambre
Vieille Pierre
*タニノシーバード
1972年 栗毛(米)
Sea-Bird Dan Cupid
Sicalade
Flaxen Graustark
Flavia
*アグネスデジタル
 Agnes Digital
 1997年 栗毛(米)
Crafty Prospector
1979年 (米)
Mr.Prospector Raise a Native
Gold Digger
Real Crafty Lady In Reality
Princess Roycraft
Chancey Squaw
1991年
Chief's Crown Danzig
Six Crowns
モルガナイト
 Morganaite
 2006年 黒鹿(早来町)
Allicance Alleged
Runaway Bride
タンザナイト
 Tanzanite
 2000年 黒鹿(早来町)
*サンデーサイレンス
1986年 青鹿(米)
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
*キャサリーンパー
1987年 青鹿(米)
Riverman Never Bend
River Lady
Regal Exception Ribot
Raiput Princess