G1特集 第11回 ヴィクトリアマイルG1特集 第11回 ヴィクトリアマイル

血統分析

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母系のマイル適性高いショウナン2頭に注目!

1)サンデーサイレンス系が中心のレースではあるが……

マイル女王決定戦として定着した感のあるヴィクトリアマイル。過去10年の1〜3着馬のべ30頭のうち6割を超える19頭が父サンデーサイレンス系と、この系統が主役を務めてきた。1〜3着独占も3回あり、ウオッカが勝った2009年を除いて必ず馬券に絡んで安定感も示している。

ただし出走馬のべ179頭のうち半数以上の95頭がサンデーサイレンス系であり、勝率にすれば7.4%とアベレージが飛び抜けているわけではない。その他のヘイルトゥリーズン系にあたるタニノギムレット産駒ウオッカ、ミスタープロスペクター系キングカメハメハの産駒アパパネ、ノーザンダンサー系クロフネ産駒ホエールキャプチャも勝っていて、ナスルーラ系を除けば「どの系統でも勝ち負けできる」というのが実情だ。そこでここでは、人気に着目して系統別成績を見てみよう。

【1〜5番人気の系統別成績】

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系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 5回 3回 3回 29頭 17.2% 27.6% 37.9%
その他のヘイルトゥリーズン系 1回 1回 0回 5頭 20.0% 40.0% 40.0%
ノーザンダンサー系 1回 0回 0回 6頭 16.7% 16.7% 16.7%
ミスタープロスペクター系 1回 0回 1回 6頭 16.7% 16.7% 33.3%
ナスルーラ系 0回 0回 1回 2頭 0.0% 0.0% 50.0%
その他の系統 0回 0回 0回 2頭 0.0% 0.0% 0.0%
【6番人気以下の系統別成績】

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系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 2回 3回 3回 66頭 3.0% 7.6% 12.1%
その他のヘイルトゥリーズン系 0回 0回 1回 7頭 0.0% 0.0% 14.3%
ノーザンダンサー系 0回 2回 1回 27頭 0.0% 7.4% 11.1%
ミスタープロスペクター系 0回 1回 0回 16頭 0.0% 6.3% 6.3%
ナスルーラ系 0回 0回 0回 9頭 0.0% 0.0% 0.0%
その他の系統 0回 0回 0回 4頭 0.0% 0.0% 0.0%

人気サイドでの安定感では、各系統間に大きな差はない。が、人気薄でも走れる相性の良さはサンデーサイレンス系かノーザンダンサー系。ひとまず、この2系統に注目すべきレースといえるだろう。

【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2015.5.17 1 5 ストレイトガール フジキセキ タイキシャトル
2015.5.17 2 7 ケイアイエレガント キングカメハメハ A.P.Indy
2014.5.18 1 14 ヴィルシーナ ディープインパクト Machiavellian
2014.5.18 2 4 メイショウマンボ スズカマンボ グラスワンダー
2013.5.12 1 11 ヴィルシーナ ディープインパクト Machiavellian
2013.5.12 2 8 ホエールキャプチャ クロフネ サンデーサイレンス
2012.5.13 1 12 ホエールキャプチャ クロフネ サンデーサイレンス
2012.5.13 2 16 ドナウブルー ディープインパクト Bertolini
2011.5.15 1 16 アパパネ キングカメハメハ Salt Lake
2011.5.15 2 13 ブエナビスタ スペシャルウィーク Caerleon
2010.5.16 1 11 ブエナビスタ スペシャルウィーク Caerleon
2010.5.16 2 2 ヒカルアマランサス アグネスタキオン A.P.Indy
2009.5.17 1 6 ウオッカ タニノギムレット ルション
2009.5.17 2 2 ブラボーデイジー クロフネ サンデーサイレンス
2008.5.18 1 6 エイジアンウインズ フジキセキ デインヒル
2008.5.18 2 9 ウオッカ タニノギムレット ルション
2007.5.13 1 4 コイウタ フジキセキ ドクターデヴィアス
2007.5.13 2 3 アサヒライジング ロイヤルタッチ ミナガワマンナ
2006.5.14 1 1 ダンスインザムード サンデーサイレンス Nijinsky
2006.5.14 2 18 エアメサイア サンデーサイレンス ノーザンテースト
2)母の父の系統別成績は混戦模様

以下は母の父の系統別成績だ。馬券に絡む回数ではノーザンダンサー系、勝率では「その他のヘイルトゥリーズン系」とミスタープロスペクター系が目立つものの、各系統から万遍なく上位馬が出ている。こちらが強い、これはダメとは一概に言えないだろう。

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系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 1回 2回 1回 28頭 3.6% 10.7% 14.3%
その他のヘイルトゥリーズン系 1回 1回 1回 10頭 10.0% 20.0% 30.0%
ノーザンダンサー系 4回 3回 4回 66頭 6.1% 10.6% 16.7%
ミスタープロスペクター系 2回 0回 1回 24頭 8.3% 8.3% 12.5%
ナスルーラ系 1回 3回 2回 33頭 3.0% 12.1% 18.2%
その他の系統 1回 1回 1回 18頭 5.6% 11.1% 16.7%
3)マイル適性があり、かつ質のいい牝系出身であることが重要

勝ち馬を、牝系にスポットを当てながら振り返ってみよう。

初代女王ダンスインザムードは名繁殖牝馬ダンシングキイの娘。コイウタは近親にビハインドザマスク(京都牝馬S1着)のほか、タンパベイダービーを勝ったファントムジェットなどがいる。エイジアンウインズの四代母スペシャルのラインからは、ヌレイエフ、サドラーズウェルズ、エルコンドルパサーなどが出ていて、世界的な超名牝系。ウオッカは日本を代表するシラオキ系のライン出身で、近親にはシスタートウショウ(桜花賞1着)がいる。

ブエナビスタの母はビワハイジ(阪神3歳牝馬S1着)、アパパネの母ソルティビッドはオープンを2勝している。ホエールキャプチャの曾祖母はエリザベス女王杯勝ち馬タレンティドガールで、その兄はニッポーテイオーだ。ヴィルシーナの四代母は米古馬牝馬チャンピオンで、この母系からはDevil's Bagやシングスピールなども出ている。そしてストレイトガールの牝系からは桜花賞馬シャダイカグラが出ている。

どの牝系も極めて良質。しかもマイルGIで勝ち負けできる潜在能力を感じられる。

4)国内万能型×欧米マイル型という配合がベスト

勝ち馬の父・母父と、その現役時代の主な勝ち鞍をまとめてみた。

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父馬 主な勝ち鞍
サンデーサイレンス BCクラシック
フジキセキ 朝日杯3歳S
タニノギムレット 日本ダービー/(NHKマイルC3着)
スペシャルウィーク 日本ダービー/ジャパンC
キングカメハメハ 日本ダービー/NHKマイルC
クロフネ NHKマイルC/ジャパンCダート
ディープインパクト 日本ダービー/ジャパンC
母父馬 主な勝ち鞍
Nijinsky 英三冠馬
ドクターデヴィアス 英ダービー
デインヒル 英スプリントC/(英2000ギニー3着)
ルション     ムーランドロンシャン賞
Caerleon 仏ダービー
Salt Lake キングスビショップS(ダ1400m)
サンデーサイレンス BCクラシック
Machiavellian サラマンドル賞/(英2000ギニー2着)
タイキシャトル  安田記念/マイルCS/ジャック・ル・マロワ賞

父馬の方は国内の芝2400mと芝1600m双方で実績を残した馬がほとんど。いっぽう母父は、Nijinskyが英2000ギニー勝ち馬、ドクターデヴィアスは7ハロンのG1勝利、Caerleonは短距離重賞勝ち馬でシンコウラブリイやゼンノエルシドの父といった点を考え合わせると、マイル色が強い。

国内万能型(選手権距離+マイルへの適性ともにアリ)×欧米マイル型という配合がベストといえるだろう。

結論

父はサンデーサイレンス系が第一候補、ノーザンダンサー系が第二候補。いずれにせよ国内の芝2400mと芝1600m双方で実績があることが重要だ。母父は系統を問わないが欧米のマイラー型がベスト。母系はマイル適性がある名牝系という条件も忘れてはならない。

登録馬の父のうち、自身が現役時に2400mと1600m双方で実績を残したサンデーサイレンス系種牡馬は見当たらない。ならばすでにこのレースの勝ち馬を出しているディープインパクトとフジキセキが優位、次いでハーツクライ(ジャパンC2着で安田記念1着ジャスタウェイの父)か。

ディープインパクト産駒では2頭に注目。ショウナンアデラは母父Elusive Qualityがマイル重賞勝ち馬で祖母Always Loyalは仏1000ギニー馬。ショウナンパンドラは母父フレンチデピュティがマイル重賞勝ち馬で近親にサッカーボーイがいる。もちろんフジキセキ産駒で昨年の勝ち馬ストレイトガールにも資格あり。ディープインパクト産駒ミッキークイーンは母父Gold Awayがムーランドロンシャン賞2着、母系は中長距離寄りで、前述3頭に対してやや不利というイメージだ。

ハーツクライ産駒ではシュンドルボン。母父エルコンドルパサーにNHKマイルC勝ち+欧州での実績があり、曾祖母Waterlooは英1000ギニー勝ち馬。激走があっても驚けない。

【ショウナンパンドラの血統表】

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ディープインパクト
 Deep Impact
 2002年 鹿毛(早来町)
*サンデーサイレンス
 Sunday Silence
 1986年 青鹿(米)
Halo
1969年(米)
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975年
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss
*ウインドインハーヘア
 Wind In Her Hair
 1991年 鹿毛(愛)
Alzao
1980年
Lyphard Northern Dancer
Goofed
ショウナンパンドラ
 Shonan Pandora(JPN)
 牝 5歳 父9歳・母7歳時産駒
 2011年 栗毛(白老町)
Lady Rebecca Sir Ivor
Pocahontas
Burghclere
1977年
Busted Crepello
Sans Le Sou
Highclere Queen's Hussar
Highlight
*フレンチデピュティ
 French Deputy
 1992年 栗毛(米)
Deputy Minister
1979年(加)
Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty's Flight
Shakney
Mitterand
1981年
Hold Your Peace Speak John
Blue Moon
キューティゴールド
 Cutie Gold
 2004年 栗毛(白老町)
Laredo Lass Bold Ruler
Fortunate Isle
ゴールデンサッシュ
 Golden Sash
 1988年 栗毛(白老町)
*ディクタス
1967年 栗毛(仏)
Sanctus Fine Top
Sanelta
Doronic Worden
Dulzetta
ダイナサッシュ
1979年 鹿毛(早来町)
*ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
*ロイヤルサッシュ Princely Gift
Sash of Honour