G1特集 第77回 優駿牝馬(オークス)G1特集 第77回 優駿牝馬(オークス)

血統分析

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フレッシュなハービンジャー産駒のジェラシーに期待!

1)サンデーサイレンス系の取捨が最大のポイント

サンデーサイレンスおよび後継種牡馬の活躍が目立つレース。過去10年では2007年を除いて毎年必ず連対を果たしている。

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父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 7回 7回 7回 105頭 6.7% 13.3% 20.0%
その他のヘイルトゥリーズン系 0回 0回 0回 16頭 0.0% 0.0% 0.0%
ナスルーラ系 2回 0回 0回 10頭 20.0% 20.0% 20.0%
ミスタープロスペクター系 1回 0回 0回 21頭 4.8% 4.8% 4.8%
ノーザンダンサー系 1回 0回 3回 22頭 4.5% 4.5% 18.2%
その他の系統 0回 2回 0回 4頭 0.0% 50.0% 50.0%

特に近5年は5勝・2着4回・3着4回、4年連続でワン・ツー・スリー・フィニッシュとサンデーサイレンス系の独擅場だ。ただし、この間の出走馬89頭中61頭、10年間では178頭中105頭がサンデーサイレンス系。つまり「数で稼いだ」成績ともいえる。また10年間の1番人気10頭のうち7頭がサンデーサイレンス系だったのだが、勝ったのはブエナビスタだけ。絶対視は禁物だ。

それでも上位を独占していることは現実であり、まずはサンデーサイレンス系出走馬の取捨がポイントになるレースであることは間違いないだろう。

【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2015.5.24 1 10 ミッキークイーン ディープインパクト Gold Away
2015.5.24 2 14 ルージュバック マンハッタンカフェ Awesome Again
2014.5.25 1 9 ヌーヴォレコルト ハーツクライ スピニングワールド
2014.5.25 2 10 ハープスター ディープインパクト ファルブラヴ
2013.5.19 1 3 メイショウマンボ スズカマンボ グラスワンダー
2013.5.19 2 13 エバーブロッサム ディープインパクト デインヒル
2012.5.20 1 14 ジェンティルドンナ ディープインパクト Bertolini
2012.5.20 2 9 ヴィルシーナ ディープインパクト Machiavellian
2011.5.22 1 4 エリンコート デュランダル Bluebird
2011.5.22 2 18 ピュアブリーゼ Monsun Peintre Celebre
2010.5.23 1 17 アパパネ キングカメハメハ Salt Lake
2010.5.23 1 18 サンテミリオン ゼンノロブロイ Last Tycoon
2009.5.24 1 7 ブエナビスタ スペシャルウィーク Caerleon
2009.5.24 2 3 レッドディザイア マンハッタンカフェ Caerleon
2008.5.25 1 15 トールポピー ジャングルポケット サンデーサイレンス
2008.5.25 2 6 エフティマイア フジキセキ ニホンピロウイナー
2007.5.20 1 2 $ローブデコルテ Cozzene Seeking the Gold
2007.5.20 2 7 ベッラレイア ナリタトップロード Baldski
2006.5.21 1 9 カワカミプリンセス キングヘイロー Seattle Slew
2006.5.21 2 2 フサイチパンドラ サンデーサイレンス Nureyev
2)父×母父の配合イメージを考える

過去10年間の母父の系統別成績は以下の通り。ノーザンダンサー系が大きくリードしている。

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母父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系   1回 0回 2回 26頭 3.8% 3.8% 11.5%
その他のヘイルトゥリーズン系 1回 0回 0回 13頭 7.7% 7.7% 7.7%
ナスルーラ系 1回 0回 1回 24頭 4.2% 4.2% 8.3%
ミスタープロスペクター系 1回 1回 2回 31頭 3.2% 6.5% 12.9%
ノーザンダンサー系 7回 7回 3回 64頭 10.9% 21.9% 26.6%
その他の系統 0回 1回 2回 20頭 0.0% 5.0% 15.0%

ここでは1〜3着の計30頭をサンデーサイレンス系種牡馬の産駒とそれ以外に分けて考えてみよう。

サンデーサイレンス系種牡馬の産駒は21頭。このうち16頭の父は芝2400m以上GI(海外含む)の勝ち馬。1着馬7頭を見ると、エリンコート(父デュランダル)を除く6頭の父が芝2400m以上のGIを勝っている。また21頭のうち14頭の母父が欧州の重賞勝ち馬。残りも、米G1勝ち馬、仏2000ギニー2着馬、日本のGI馬となっている。

母父の系統としてはノーザンダンサー系が21頭中13頭と最多で、1着馬7頭のうちメイショウマンボ(母父グラスワンダー)を除く6頭の母父がノーザンダンサー系、しかも海外種牡馬・輸入種牡馬。父サンデーサイレンス系×母父ノーザンダンサー系という配合で生まれた馬は6勝・2着5回で勝率12.8%、5番人気以内に限れば5勝・2着5回で勝率25.0%のハイアベレージを誇る。

1〜3着馬30頭のうち非サンデーサイレンス系種牡馬の産駒は9頭。日本ダービー馬のジャングルポケットとキングカメハメハ、菊花賞馬ナリタトップロード、アラルポカル勝ち馬Monsunなど2400m以上のG1を勝っているスタミナタイプか、キングヘイロー、Cozzene、クロフネといったマイラータイプに大別される。また母父は海外種牡馬・輸入種牡馬で、ノーザンダンサー系が4頭、母父サンデーサイレンスという馬が3頭。1着馬4頭の母父は米ダートG1の勝ち馬となっている。

総合すると、父がサンデーサイレンス系の場合は「父は芝2400m以上のGI勝ち馬×母父はノーザンダンサー系で欧州の重賞勝ち馬(または国内GI馬)」という配合がベスト。非サンデーサイレンス系なら「父はスタミナ型かマイラー×母父は米ダートG1勝ち馬」というタイプに注目したい。

3)母父の短距離適性がモノをいう

桜花賞から一気に距離が伸びるオークス。そのため桜花賞で好走してもオークスでは大敗、という馬も多い。だが実は「オークスでもスピード能力がモノをいう」という傾向が出ている。以下は連対馬の母父のスプリント〜マイルにおける現役成績をまとめたものだ。

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連対馬 母父の現役成績
カワカミプリンセス Seattle SlewはマイルG1勝ち馬
フサイチパンドラ NureyevはマイルG1で1位失格
ローブデコルテ Seeking the Goldはマイル重賞2着
ベッラレイア Baldskiは9ハロンの重賞2着
トールポピー サンデーサイレンスは6.5ハロンの重賞勝ち馬
エフティマイア ニホンピロウイナーはマイルG1勝ち馬
ブエナビスタ Caerleonは6ハロン強の重賞勝ち馬
レッドディザイア Caerleonは6ハロン強の重賞勝ち馬
アパパネ Salt Lakeは1400m重賞勝ち馬
サンテミリオン Last TycoonはマイルG1勝ち馬
エリンコート Bluebirdは5ハロンのG1勝ち馬
ピュアブリーゼ Peintre Celebreはマイル重賞3着
ジェンティルドンナ Bertoliniは6ハロンの重賞勝ち馬
ヴィルシーナ Machiavellianは1400mG1勝ち馬
メイショウマンボ グラスワンダーはマイルG1勝ち馬
エバーブロッサム デインヒルは6ハロンのG1勝ち馬
ヌーヴォレコルト スピニングワールドはマイルG1勝ち馬
ハープスター ファルブラヴはマイルG1勝ち馬
ミッキークイーン Gold AwayはマイルG1で2着
ルージュバック Awesome Againは9ハロン重賞勝ち馬

ほとんどがスプリント〜マイル重賞で実績をあげている。母父のスピード能力の高さがオークスで勝ち負けするための絶対条件だ。

4)両親の若さも重要だ

過去8年の連対馬16頭は、父(種牡馬)が10歳以下の時の産駒が3頭、母(繁殖牝馬)が10歳以下の時の産駒が3頭、母父とも10歳以下の時の産駒が9頭。該当しないのはブエナビスタ(父11歳×母13歳の時の産駒)だけだ。繁殖入りしてまだ数年の馬から誕生した子どもが多いわけで、両親の若さが欲しいところである。

結論

オークスで勝ち負けするための条件は「父はサンデーサイレンス系で芝2400m以上のGI勝ち馬×母父はノーザンダンサー系で欧州の重賞勝ち馬(または日本のGI馬)」というタイプが第一候補。「父は非サンデーサイレンス系で2400m以上の重賞勝ち馬またはマイラー×母父は米ダートG1馬」という配合がギリギリ相手を務められるかどうか、といったところだ。

いずれにせよ母父にはスプリント〜マイル重賞で活躍した実績=スピード能力が必須で、「父か母がフレッシュな馬」というファクターも重要だ。

シンハライトは父がディープインパクト×母父がノーザンダンサー系で英G1馬のSingspielだが、Singspielの勝ち鞍が中長距離に集中していること(種牡馬としてはアサクサデンエンやローエングリンといったマイラーを出しているが)、父母とも11歳時の産駒である点が少しだけ気がかり。父ディープインパクト×母父ダンシングブレーヴ(ノーザンダンサー系で英2000ギニー勝ち馬)のレッドアヴァンセも父母の年齢がネックとなる。

非サンデーサイレンス系で2400m以上の重賞勝ち馬またはマイラー×母父は米ダートG1馬というタイプとしてはチェッキーノ(父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス)がいるが、こちらも父母の年齢がオーバー。ならば父ハービンジャー(ノーザンダンサー系でキングジョージ勝ち馬)×母父サンデーサイレンス、父が7歳の時の産駒であるジェラシーを取り上げたい。

【ジェラシーの血統表】

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*ハービンジャー
 Harbinger
 2006年 鹿毛(英)
Dansili
 1996年
Danehill
1986年(米)
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana His Majesty
Spring Adieu
Hasili
1991年
Kahyasi Ile de Bourbon
Kadissya
Kerali High Line
Sookera
Penang Pearl
 1996年
Bering
1983年
Arctic Tern Sea-Bird
Bubbling Beauty
ジェラシー
 Jealousy(JPN)
 牝 3歳 父7歳・母12歳時産駒
 2013年 栗毛(安平町)
Beaune Lyphard
Barbra
Guapa
1988年
Shareef Dancer Northern Dancer
Sweet Alliance
Sauceboat Connaught
Cranberry Sauce
*サンデーサイレンス
  Sunday Silence
 1986年 青鹿(米)
Halo
1969年(米)
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975年
Understanding Promised Land
Pretty Ways
グローリアスデイズ
 Glorious Days
 2001年 栗毛(早来町)
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss
グレースアドマイヤ
 Grace Admire
 1994年 鹿毛(早来町)
*トニービン
1983年 鹿毛(愛)
Kampala Kalamoun
State Pension
Seven Bridge Hornbeam
Priddy Fair
*バレークイーン
1988年 鹿毛(愛)
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
Sun Princess English Prince
Sunny Valley