G1特集 第76回 優駿牝馬(オークス)G1特集 第76回 優駿牝馬(オークス)

血統分析

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父・母父ともに文句なしのクイーンズリング!

1)サンデーサイレンス系好調も絶対ではない

サンデーサイレンスおよび後継種牡馬の活躍が目立つレース。過去10年では2007年を除いて毎年必ず連対を果たしており、ここ3年間はワン・ツー・スリー・フィニッシュを決めている。

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父馬の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 7回 7回 7回 104頭 6.7% 13.5% 20.2%
その他のヘイルトゥリーズン系 0回 0回 0回 17頭 0.0% 0.0% 0.0%
ナスルーラ系 2回 0回 0回 11頭 18.2% 18.2% 18.2%
ミスタープロスペクター系 1回 0回 0回 19頭 5.3% 5.3% 5.3%
ノーザンダンサー系 1回 0回 3回 24頭 4.2% 4.2% 16.7%
その他の系統 0回 2回 0回 4頭 0.0% 50.0% 50.0%

ただしサンデーサイレンス系は出走頭数そのものが多く、要するに「数で稼いだ」成績。率としては他の系統に比べて極端に優秀というわけではなく、平均的な数字だ。

また、この10年間の1番人気10頭のうち7頭がサンデーサイレンス系だったのだが、勝ったのはシーザリオとブエナビスタだけ。アドマイヤキッス、リトルアマポーラ、マルセリーナの3頭は馬券圏外に消え、デニムアンドルビーは3着、ハープスターは2着。人気でもアテにならないといえるのだ。

【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2014.5.25 1 9 ヌーヴォレコルト ハーツクライ スピニングワールド
2014.5.25 2 10 ハープスター ディープインパクト ファルブラヴ
2013.5.19 1 3 メイショウマンボ スズカマンボ グラスワンダー
2013.5.19 2 13 エバーブロッサム ディープインパクト デインヒル
2012.5.20 1 14 ジェンティルドンナ ディープインパクト Bertolini
2012.5.20 2 9 ヴィルシーナ ディープインパクト SMachiavellian
2011.5.22 1 4 エリンコート デュランダル Bluebird
2011.5.22 2 18 ピュアブリーゼ Monsun Peintre Celebre
2010.5.23 1 17 アパパネ キングカメハメハ Salt Lake
2010.5.23 1 18 サンテミリオン ゼンノロブロイ Last Tycoon
2009.5.24 1 7 ブエナビスタ スペシャルウィーク Caerleon
2009.5.24 2 3 レッドディザイア マンハッタンカフェ Caerleon
2008.5.25 1 15 トールポピー ジャングルポケット サンデーサイレンス
2008.5.25 2 6 エフティマイア フジキセキ ニホンピロウイナー
2007.5.20 1 2 $ローブデコルテ Cozzene Seeking the Gold
2007.5.20 2 7 ベッラレイア ナリタトップロード Baldski
2006.5.21 1 9 カワカミプリンセス キングヘイロー Seattle Slew
2006.5.21 2 2 フサイチパンドラ サンデーサイレンス Nureyev
2005.5.22 1 4 シーザリオ スペシャルウィーク Sadler's Wells
2005.5.22 2 5 エアメサイア サンデーサイレンス ノーザンテースト
2)父×母父の配合イメージを考える

オークス1〜3着の計30頭をサンデーサイレンス系種牡馬の産駒とそれ以外に分けて考えてみよう。

サンデーサイレンス系種牡馬の産駒は21頭。このうち1着馬の父は、エリンコートの父デュランダルを除いて芝2400m以上のGI勝ち馬だ。また21頭の母父20頭のうち、Sadler's Wells、ノーザンテースト、Nureyev、Caerleon、Double Bed、Last Tycoon、ヘクタープロテクター、Bluebird、Bertolini、Machiavellian、デインヒル、スピニングワールド、ファルブラヴ、Hallingが欧州の重賞勝ち馬。残りも、PotrillazoはアルゼンチンのGIホース、ミナガワマンナ、ニホンピロウイナー、クロフネ、グラスワンダー、キングカメハメハが日本のGI馬だ。

母父の系統としてはノーザンダンサー系が13頭と最多で、父サンデーサイレンス系×母父ノーザンダンサー系という配合で生まれた馬は勝率12.5%、5番人気以内に限れば26.3%のハイアベレージを誇る。

いっぽう非サンデーサイレンス系種牡馬の産駒は9頭。日本ダービー馬のジャングルポケットとキングカメハメハ、菊花賞馬ナリタトップロード、アラルポカル勝ち馬Monsunなど2400m以上のG1を勝っているスタミナタイプか、キングヘイロー、Cozzene、クロフネといったマイラータイプに大別される。また母父ノーザンダンサー系が4頭、母父サンデーサイレンスという馬が3頭。1着馬4頭の母父は米ダートG1の勝ち馬となっている。

総合すると、父がサンデーサイレンス系の場合は「父は芝2400m以上のGI勝ち馬×母父はノーザンダンサー系で欧州の重賞勝ち馬(または国内GI馬)」という配合がベスト。非サンデーサイレンス系なら「父はスタミナ型かマイラー×母父は米ダートG1勝ち馬」というタイプに注目したい。

3)母父の短距離適性がモノをいう

桜花賞から一気に距離が伸びるオークス。そのため桜花賞で好走してもオークスでは大敗、という馬も多い。だが実は「オークスでもスピード能力がモノをいう」という傾向が出ている。以下は連対馬の母父のスプリント〜マイルにおける現役成績をまとめたものだ。

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連対馬 母父の現役成績
シーザリオ Sadler's WellsはマイルG1勝ち馬
エアメサイア ノーザンテーストは1400mG1勝ち馬
カワカミプリンセス Seattle SlewはマイルG1勝ち馬
フサイチパンドラ NureyevはマイルG1で1位失格
ローブデコルテ Seeking the Goldはマイル重賞2着
ベッラレイア Baldskiは9ハロンの重賞2着
トールポピー サンデーサイレンスは6.5ハロンの重賞勝ち馬
エフティマイア ニホンピロウイナーはマイルG1勝ち馬
ブエナビスタ Caerleonは6ハロン強の重賞勝ち馬
レッドディザイア Caerleonは6ハロン強の重賞勝ち馬
アパパネ Salt Lakeは1400m重賞勝ち馬
サンテミリオン Last TycoonはマイルG1勝ち馬
エリンコート Bluebirdは5ハロンのG1勝ち馬
ピュアブリーゼ Peintre Celebreはマイル重賞3着
ジェンティルドンナ Bertoliniは6ハロンの重賞勝ち馬
ヴィルシーナ Machiavellianは1400mG1勝ち馬
メイショウマンボ グラスワンダーはマイルG1勝ち馬
エバーブロッサム デインヒルは6ハロンのG1勝ち馬
ヌーヴォレコルト スピニングワールドはマイルG1勝ち馬
ハープスター ファルブラヴはマイルG1勝ち馬

ほとんどがスプリント〜マイル重賞で実績をあげている。母父のスピード能力の高さがオークスで勝ち負けするための絶対条件だ。

4)両親の若さも重要だ

過去7年の連対馬14頭は、父(種牡馬)が8歳以下の時の産駒が3頭、母(繁殖牝馬)が8歳以下の時の産駒が4頭、母父とも8歳以下の時の産駒が4頭。繁殖入りしてまだ数年の馬から誕生した子どもが多い。

該当しないのは3頭。ブエナビスタ(父11歳×母13歳の時の産駒)は母ビワハイジがGI馬で、兄弟・近親にも活躍馬がズラリ。エリンコート(父9歳×母17歳の時の産駒)はデュランダルの2年目の産駒であり、母は伊2000ギニー勝ち馬、近親に米BCターフ2連覇のコンデュイットらがいる。ヌーヴォレコルト(父10歳×母父10歳の時の産駒)は母にとって3頭目の産駒で、母系からは欧州の重賞ウィナーが多数出ている。

両親の若さが欲しいところ。でなければ相当の良血でなければならない。

結論

オークスで勝ち負けするための条件は「父はサンデーサイレンス系で芝2400m以上のGI勝ち馬×母父はノーザンダンサー系で欧州の重賞勝ち馬(または日本のGI馬)」か、「父は非サンデーサイレンス系で2400m以上の重賞勝ち馬またはマイラー×母父は米ダートG1馬」という配合。

いずれにせよ母父にはスプリント〜マイル重賞で活躍した実績=スピード能力が必須で、「父か母がフレッシュな馬」というファクターも重要だ。

まずサンデーサイレンス系種牡馬の産駒では、クイーンズリング。父は有馬記念などを勝ったマンハッタンカフェ、母父はノーザンダンサー系でジュライC勝ちのあるAnabaa、母アクアリングが7歳の時の産駒と文句なしだ。ルージュバックも同じくマンハッタンカフェ産駒、母父がノーザンダンサー系のAwesome Againながら、母父の欧州戦績・短距離戦績が足りず、父14歳時×母父9歳時の産駒と、わずかに条件から外れる。母が米GI馬という良血で、どこまで盛り返せるか。

父が非サンデーサイレンス系というタイプの代表格はレッツゴードンキだが、父キングカメハメハはOKとして、母父はマーベラスサンデー、父母とも11歳時の産駒という点が引っ掛かる。

【クイーンズリングの血統表】

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マンハッタンカフェ
 Manhattan Cafe
 1998年 青鹿(千歳市)
*サンデーサイレンス
 Sunday Silence
 1986年 青鹿(米)
Halo
1969年(米)
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975年
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss
*サトルチェンジ
 Subtle Change
 1988年 黒鹿(愛)
Law Society
1982年
Alleged Hoist the Flag
Princess Pout
クイーンズリング
 Queens Ring(JPN)
 牝 3歳 父14歳・母7歳時産駒
 2012年 黒鹿(千歳市)
Bold Bikini Boldnesian
Ran-Tan
Santa Luciana
1973年
Luciano Henry the Seventh
Light Arctic

Suleika

Ticino
Schwarzblaurot
Anabaa
 1992年
Danzig
1977年(米)
Northen Dancer Neactic
Natalma
Pas de Nom Admiral's Voyage
Petitioner
Balbonella
1984年
Gay Mecene Vaguely Noble
Gay Missile
アクアリング
 Aqua Ring
 2005年 鹿毛(千歳市)
Bamieres Riverman
Bergamasque
*シーリング
 Sea Ring
 1990年 鹿毛(仏)
Bering
1983年
Arctic Tern Sea-Bird
Bubbling Beauty
Beaune Lyphard
Barbra
Blue River
1980年
Riverman Never Bend
River Lady
Azurella High Hat
Azorelle