G1特集 第84回 東京優駿(日本ダービー)G1特集 第84回 東京優駿(日本ダービー)

血統分析

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母系から豊かなスピードを受け継ぐサトノアーサーに期待!

1)サンデーサイレンス系が大勢力も優位性はナシ

過去10年で7勝・2着6回・3着6回と、日本ダービーの主役であり続けているサンデーサイレンス(SS)系の種牡馬たち。10年連続で馬券に絡んでおり、1・2・3フィニッシュどころか掲示板独占というケースもあったほどだ。ただし率としては平均的、つまりは出走数の多さで稼いだ成績。また7勝すべてが1〜3番人気によるもので、6番人気以下だと0勝・2着1回・3着3回と成績は落ち込む。

ならばミスタープロスペクター系を狙ってみたくなる。率でSS系を上回り、エイシンフラッシュは7番人気で勝っている。割り引きたいのがノーザンダンサー系とナスルーラ系だ。

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父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
サンデーサイレンス系 7回 6回 6回 109頭 6.4% 11.9% 17.4%
その他のヘイルトゥリーズン系 1回 2回 0回 21頭 4.8% 14.3% 14.3%
ミスタープロスペクター系 2回 1回 1回 24頭 8.3% 12.5% 16.7%
ノーザンダンサー系 0回 1回 3回 18頭 0.0% 5.6% 22.2%
ナスルーラ系 0回 0回 0回 6頭 0.0% 0.0% 0.0%

○プラス評価……父サンデーサイレンス系で1〜3番人気
 ○プラス評価……父ミスタープロスペクター系
 ●マイナス評価…父ノーザンダンサー系&ナスルーラ系

【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2016.5.29 1 3 マカヒキ ディープインパクト フレンチデピュティ
2016.5.29 2 8 サトノダイヤモンド ディープインパクト Orpen
2015.5.31 1 14 ドゥラメンテ キングカメハメハ サンデーサイレンス
2015.5.31 2 1 サトノラーゼン ディープインパクト Intikhab
2014.6.1 1 2 ワンアンドオンリー ハーツクライ タイキシャトル
2014.6.1 2 13 イスラボニータ フジキセキ Cozzene
2013.5.26 1 1 キズナ ディープインパクト Storm Cat
2013.5.26 2 9 エピファネイア シンボリクリスエス スペシャルウィーク
2012.5.27 1 10 ディープブリランテ ディープインパクト Loup Sauvage
2012.5.27 2 11 フェノーメノ ステイゴールド Danehill
2011.5.29 1 5 オルフェーヴル ステイゴールド メジロマックイーン
2011.5.29 2 1 ウインバリアシオン ハーツクライ Storm Bird
2010.5.30 1 1 エイシンフラッシュ King's Best Platini
2010.5.30 2 8 ローズキングダム キングカメハメハ サンデーサイレンス
2009.5.31 1 1 ロジユニヴァース ネオユニヴァース Cape Cross
2009.5.31 2 12 リーチザクラウン スペシャルウィーク Seattle Slew
2008.6.1 1 1 ディープスカイ アグネスタキオン Chief's Crown
2008.6.1 2 7 スマイルジャック タニノギムレット サンデーサイレンス
2007.5.27 1 3 ウオッカ タニノギムレット ルション
2007.5.27 2 16 アサクサキングス ホワイトマズル サンデーサイレンス
2)SS後継種牡馬は長距離適性・仕上がり・安定感がカギ

アベレージに大差がないとはいえ、やはりカギとなるのはSS系。出走数が多いSS系産駒の中から買える馬・買えない馬をあぶり出すことが、日本ダービーの予想における第一歩だろう。

SS後継種牡馬から出た1〜3着馬は10年間で19頭。各種牡馬のGI勝ち鞍や生涯成績をまとめると、以下の通りとなっている。

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種牡馬 現役成績
アグネスタキオン 皐月賞/4戦4勝
ネオユニヴァース 皐月賞・日本ダービー/13戦7勝・着外1回
スペシャルウィーク 日本ダービー・ジャパンC/17戦10勝・着外1回
マンハッタンカフェ 菊花賞・有馬記念・天皇賞(春)/12戦6勝・着外3回
ステイゴールド 香港ヴァーズ/50戦7勝・着外13回
ハーツクライ 有馬記念・ドバイシーマクラシック/19戦5勝・着外6回
ディープインパクト クラシック三冠・ジャパンCなど/14戦12勝・失格1回
フジキセキ 朝日杯3歳S/4戦4勝
ブラックタイド スプリングS/22戦3勝・着外10回

共通項を探せば、(1)2400m以上のGI勝ち鞍あり、(2)日本ダービー前に重賞勝利、(3)着外数の少なさといったところか。(1)を満たさないフジキセキとアグネスタキオンは早期引退を余儀なくされた2頭。(2)をクリアしていない2頭は、マンハッタンカフェは弥生賞4着があるだけ、ステイゴールドはこの時点で重賞未出走と、そもそもチャンスを与えられていない。(3)に引っ掛かるステイゴールドとハーツクライはGIでの僅差2〜3着は多く、ある意味では大舞台での安定感は示してきたといえる。

ブラックタイドは(1)と(3)が×。これは「ディープインパクトの兄」という血統で産駒マイネルフロストが何とか3着に踏ん張った、といったところだろうか。

◎プラス評価……2400m以上のGI勝利/日本ダービー前に重賞勝利/着外が少ないといった条件を満たすSS系種牡馬

3)SS系産駒はマイル適性を受け継いでいることも大切

SS系種牡馬の産駒について、母父の系統別成績を調べてみる。ミスタープロスペクター系が未勝利である点、「その他の系統」からはオルフェーヴルの1着があるだけという点が特徴的だ。

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母父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
ノーザンダンサー系 4回 3回 2回 52頭 7.7% 13.5% 17.3%
ナスルーラ系 1回 2回 0回 15頭 6.7% 20.0% 20.0%
その他のヘイルトゥリーズン系 1回 1回 2回 13頭 7.7% 15.4% 30.8%
ミスタープロスペクター系 0回 0回 2回 16頭 0.0% 0.0% 12.5%
その他の系統 1回 0回 0回 13頭 7.7% 7.7% 7.7%

また、SS後継種牡馬の産駒で連対を果たした馬は、母系からマイル適性を受け継いでいる点に注意したい。

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連対馬 母父などの現役時成績
ディープスカイ 母父Chief's Crownは米BCジュヴェナイル勝ち馬
ロジユニヴァース 母父Cape CrossはマイルG1勝ち馬
リーチザクラウン 母父Seattle SlewはダートのマイルG1勝ち馬
オルフェーヴル 兄ドリームジャーニーは朝日杯勝ち馬
ウインバリアシオン 母父Storm Birdは1400mG1勝ち馬
ディープブリランテ 母父Loup Sauvageは仏2000ギニー2着/近親に阪神JF勝ち馬
フェノーメノ 母父Danehillは1200mG1勝ち馬
キズナ 母父Storm Catは米BCジュヴェナイル2着
ワンアンドオンリー 母父タイキシャトルはマイルCS、安田記念勝ち馬
イスラボニータ 母父Cozzeneは米BCマイル勝ち馬
サトノラーゼン 母父IntikhabはマイルG2勝ち馬
マカヒキ 母父フレンチデピュティはダートのマイルG2勝ち馬
サトノダイヤモンド 母父Orpenは1200mG1勝ち馬

○プラス評価……父サンデーサイレンス系×母父ノーザンダンサー系、ナスルーラ系、ヘイルトゥリーズン系
 ◎プラス評価……母父がマイル重賞勝ち馬
 ●マイナス評価…父サンデーサイレンス系×母父ミスタープロスペクター系

4)SS系以外の狙いどころ

続いてSS系以外の種牡馬から出た1〜3着馬、計11頭を見てみよう。

まずはミスタープロスペクター系。King's Best(英2000ギニー勝ち馬)とキングカメハメハ(NHKマイルC)が1〜3着馬を送り出している。いずれもKingmamboの血を引いたマイラー系種牡馬だ。またエイシンフラッシュは5×6、ローズキングダムは5×5×5、ベルシャザールは5×5×4、ドゥラメンテは5×5×5というノーザンダンサーのインブリードを持っていた。さらにこの4頭、いずれも母は重賞勝ち馬だ。

以下は2〜3着候補の分析となる。2007年1着のウオッカと2008年2着のスマイルジャックは父タニノギムレット(日本ダービーを勝つなど8戦5勝・4着以下なし)、2013年2着のエピファネイアは父シンボリクリスエス(有馬記念を勝つなど15戦8勝・着外なし)。ウオッカの母父ルションはマイルG1勝ち馬で、スマイルジャックには朝日杯勝ち馬マルゼンスキーの血が入っている。エピファネイアの母は桜花賞2着のシーザリオだ。つまりヘイルトゥリーズン系種牡馬の場合、やはり「父の2400m以上適性および安定感」×「マイル適性」の重要性が浮かび上がっている。

ノーザンダンサー系から出た2〜3着馬は計4頭。父は、伊ダービー馬ホワイトマズル、JCダート勝ち馬クロフネ、米クラシック二冠馬Big Brown、英ダービー2着のMarju。欧米型スタミナ&パワー系の種牡馬たちといえる。

◎プラス評価……父がKingmamboの血を引く&ノーザンダンサーのインブリードを持つ&母が重賞勝ち馬

結論

SS後継種牡馬の産駒では「父は2400m以上のGI勝ち+日本ダービー前に重賞勝利+大崩れなし」×「母父や母系からマイル適性を受け継いでいる」というタイプで、母父はノーザンダンサー系かナスルーラ系かヘイルトゥリーズン系。1〜3番人気に推されることも重要だ。

これを逆転できるのがキングカメハメハなどKingmamboの血を引く種牡馬の産駒で、ノーザンダンサーのインブリードを持つ馬だ。

ディープインパクト産駒のアルアイン(母父ナスルーラ系)、アドミラブル(母父ヘイルトゥリーズン系)、サトノアーサーとカデナ(母父ノーザンダンサー系)あたりが人気を集めるか。アルアインの母父がBCフィリー&メアスプリント勝ち馬、カデナは母父French Deputyで条件を満たすが、サトノアーサーの母父Redoute's Choiceは豪州で短距離G1を4勝。スケール的にはこの馬だ。

SS系以外から馬券に加えるとするならキングカメハメハ産駒のレイデオロ。母は準オープン止まりだったが、祖母はデビュー5連勝を飾った素質馬、ノーザンダンサーの5×5×6を持つ。

【サトノアーサーの血統表】

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ディープインパクト
 Deep Impact
 2002年 鹿毛(早来町)
*サンデーサイレンス
 Sunday Silence
 1986年 青鹿(米)
Halo
1969年(米)
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975年
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss
*ウインドインハーヘア
 Wind In Her Hair
 1991年 鹿毛(愛)
Alzao
1980年
Lyphard Northern Dancer
Goofed
サトノアーサー
 Satono Authur(JPN)
 牡 3歳 父12歳・母7歳時産駒
 2014年 青鹿(安平町)
Lady Rebecca Sir Ivor
Pocahontas
Burghclere
1977年
Busted Crepello
Sans Le Sou
Highclere Queen's Hussar
Highlight
Redoute's Choice
 1996年
Danehill
1986年(米)
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana His Majesty
Spring Adieu
Shantha's Choice
1992年
Canny Lad Bletchingly
Jesmond Lass
*キングスローズ
 King's Rose
 2007年 青鹿(新)
Dancing Show Nijinsky
Show Lady
Nureyev's Girl
 2000年
Nureyev
1977年(米)
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
Lakab
1990年
Manila Lyphard
Dona Ysidra
River Lullaby Riverman
Aladancer