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年度代表馬の底力を見せたいモーリス
昨年から今年にかけて日本と香港のマイルG1を4連勝。アジア最強のマイラーとしての地位を不動のものとした。6月の安田記念は馬場とペースに翻弄された形で2着に敗れただけで、力負けではない。この秋は2000m路線に矛先を向けるため、8月の札幌記念を使った。ここでも2着に終わったが、初の北海道で馬場もしぶっていた。距離に関してはメドが立ったし、スピードと決め手が活きる東京芝2000mの方が力は出せるだろう。今回、相手もかなり揃ったが、年度代表馬の底力と器の大きさには敬意を表したい。ムーア騎手が再び手綱を取る予定である点も大きな強みだ。
毎日王冠快勝で一気に頂点を目指すルージュバック
今回のメンバーでは紅一点の存在。過去10年ではウオッカやブエナビスタがこのレースを制している。彼女らと比較すると、これまでの実績は明らかに見劣りし、G1は未勝利だ。だが、近2戦の内容は非常に秀逸。特に前走の毎日王冠はクビ差ながらも、稍重馬場としては勝ち時計が非常に優秀。デビュー当初から感じさせたことだが、コーナーが2回の中距離ではワンランク上の走りを見せてくる。パンパンの良馬場での時計勝負も望むところ。東京芝2000mならば確実に鋭い脚を使ってくる。さらに相手が強くなる今回でも、勝機は十分あると見る。
海外G1・2勝の実績を引っ提げるエイシンヒカリ
今年の上半期は欧州へ遠征。5月のイスパーン賞では、2着のダリヤンに10馬身差をつける圧勝劇を飾った。国際レーティングでも破格の数値が出たレースだが、不良馬場の影響が大きかったとみる。次走プリンスオブウェールズSではシンガリ負け。絶対的な能力で世界最高レベルに立ったわけではない。だが、この結果を悲観する必要はないし、日本でのレースはまた別物。昨年末では香港Cを勝っているが、日本のG1を勝つ方が難しいかもしれない。昨年のこのレースでは逃げられずに9着に終わった経緯があるだけに、今年は自分の形で競馬がしたい。
このレース連覇を狙うラブリーデイ
昨年のこのレースの覇者で、G1はこれまで2勝。総合的な実績ではモーリスに次ぐ存在といえる。ただ、この1年間勝利からは遠ざかっている。海外遠征や距離の問題があり、敗因は納得できる部分が多いものの、勢いとしては昨年よりも落ちているのは間違いない。秋初戦の京都大賞典にしても、前年は押し切ったが、今年は3着止まりだった。芝2400mは本質的には長く、今回距離が短縮されるのは好条件。叩かれての上積みは期待できるはずだ。ここ1年は3着が最高成績だが、それ以上の着順が狙える舞台であり、条件はそろった。
前走毎日王冠は中団の外目からの追走。最後の直線ではルージュバックとの併せ馬で強烈に伸びてきた。結果は2着でも、前年以上のレースができたと見ていいだろう。出していけば、4月の大阪杯のように先行してもレースはできる。昨年のこのレースでは中団に構えて、結果は5着。力はほぼ出し切ったが、決め手の面で少し及ばなかった。当時よりも力はつけているはずで、今年は期待が高まる。馬場が悪くなってしまうと宝塚記念の二の舞となる可能性があるので、パンパンの良馬場でやりたいタイプだ。
昨年のクラシックは無冠に終わり、今年の中山記念でもドゥラメンテとアンビシャスの後塵を拝して3着。同世代のライバルに水をあけられそうになったが、次走ドバイターフを優勝。待望のG1初制覇を飾り、存在感を示した。その次の安田記念は2番人気で11着。ペースが遅かったことや外枠で壁が作れなかったこと、そして海外遠征帰りも影響したか、道中で折り合いを欠いた。失速も仕方ないだろう。この秋は毎日王冠から始動予定も回避。間隔が間もない今回使ってくるからには、状態は悪くはないと見るが、休み明けの不利は考慮しなければならないだろう。
6月の安田記念では圧倒的1番人気のモーリスを押さえて逃げ切る金星を達成。レース当日の馬場は、インコースは荒れていたが、ラチ沿い1頭分の進路を進んだ、鞍上の思い切った判断が功を奏した。モーリスと馬体を併せる展開では勝てなかっただろう。3歳時には皐月賞を勝っているが、最近は1600〜1800mを中心に使われて実績を残していた。また、本質的には東京よりも中山のような小回りの方がいい。前走毎日王冠は8着に終わっており、休み明けの分を考慮してもこうした結果になる危険はある。馬場や展開面での恩恵が必要となるだろう。
前走毎日王冠は2枠からの発走。中団の内々で折り合いをつけて、最後の直線ではそのまま内をついた。ところが、残り300mあたりから前が壁になってしまい、しばらく全く追うことができなかった。スペースができてからはまたグイと伸びてきただけに、大きな不利を被っての5着とみていい。昨年のこのレースでは10番人気で2着。重賞勝ちは富士Sのみだが、ディープインパクト産駒らしく東京コースの瞬発力が光る。立ち回りと展開次第では、今年も上位争いに加わってくることだろう。
今年に入り中日新聞杯をハンデ58キロで優勝。鳴尾記念では1分57秒6のレコードで制した。G3レベルでは確実に力は上位の存在。前走オールカマーではゴールドアクターとタイム差なしの2着。宝塚記念8着以来の休み明けながら、力は出した。これまでG1では、菊花賞2着が最高成績。古馬になってからは結果が出ておらず、実際にG1レベルでは苦しいことは確かだ。ただ、14年の天皇賞(秋)は、勝ち馬から0.3秒差の8着。展開ひとつで、馬券になってもおかしくない走りは見せている。距離も2000mぐらいがベストだ。
前走毎日王冠はスタートで後手を踏み、序盤は1頭だけ離れた最後方からレースを進めた。ペース自体は平均よりもやや遅めだったものの、最後の直線では大外に回りながらも中団に接近。上がり3ハロンは2着のアンビシャスと同じで、結局3着まで詰め寄った。重賞勝ちは3歳の毎日杯のみで、その後は遠ざかっている。前走の競馬だけではアテにはできないが、この春よりは調子は良さそうだ。半兄にカンパニーらがいる血統。奥手ながらも成長力と底力を秘める。本馬は7歳だが、まだ見ぬ上積みを見せることができるか。