
取材・文:市丸博司/パソコン競馬ライター
写真:野呂英成
この2年半くらいの間で、これは儲けさせてもらった、というレースはありますか?
去年の札幌2歳S、ゴールドシップ産駒のワンツーです。
ブラックホール(5番人気1着)とサトノゴールド(3番人気2着)ですね!
どちらもそんなには人気がなくて、馬連とワイド(6890円、1520円)を取ったのですけれど、大きかったですね。あとは去年のエリザベス女王杯、ラッキーライラックとクロコスミアで。
ラッキーライラックはオルフェーヴルで、クロコスミアのほうはステイゴールド産駒ですね。
ラッキーライラックは人気でしたけれど(3番人気)、クロコスミアはそんなに人気がなかったんです(7番人気)。それで「2年連続2着をナメるなよ!」とか言って馬連を買ったら、しっかり2着に来てくれました。
このレースも、けっこういい配当(馬連3380円)になりましたよね。ここ最近で、特に思い入れのある馬はいますか?
ウインブライト(父ステイゴールド)です。ツイッターをはじめたのは、実はこの馬がきっかけだったんですよ。
と言いますと?
去年の春、香港(クイーンエリザベス2世C)で彼が勝ったときに、あんまりにもうれしくて、妻と2人で泣くくらいだったんです。「お父さんも勝ったこの舞台で!」と。その喜びを妻以外の誰かとも分かち合いたくて、それでツイッターをはじめました。
当初、みなさんの反応はいかがでしたか?
どうも「『馳星周』というヘンな作家のステイゴールド愛がすごすぎるぞ」という話が広まっていったようです(笑)。そこからどんどん、ステイゴールドファンの輪が広がっていきました。また、今年直木賞をいただいたことで、こういう競馬絡みのお仕事の話もたくさんくるようになって、それも全部ウインブライトのおかげだな、と思っています。数少なくなってきたステイゴールドの直仔ですし、今の現役馬では一番好きですね。松岡ジョッキーと人馬一体でやってきた、というところも心をくすぐります。
松岡騎手とはバンド仲間なのですけれど、本当にあのときはうれしかったですね。電車に乗っていたのに、思わず叫びました。
香港の馬のことはよくわからないので、ウインブライトの単勝だけ勝って応援していたのですけれど、うれしかったです、本当にうれしかったです。
そのウインブライトは今週(取材日:2020年10月28日)の天皇賞で復帰しますね。
もともと府中は苦手ですし、また鞍上ともども長期休養明けになりますので……(松岡正海騎手は大腿骨骨折による8カ月半の休養から前週に復帰)。でも、複勝の馬券は絶対に買います。
ただ、今回ダメだったとしても、次の期待が。
コロナの影響で、香港に行けるかどうかわからないというのが気がかりです。年齢的にも今年あたりがラストになるのかなというのもありますので、ぜひとも香港へ行って、勝つかどうかは別にしても、得意の競馬場で思いっきり走ってもらいたいんですけどね。
昨年末の香港Cも優勝しましたけれど、なんというか、香港ではめちゃくちゃ強いという印象があります。
香港と中山でしか勝てない(全9勝中7勝)というところもありますけれど(笑)。
香港の国際競走と、有馬記念の間隔がもう少し広ければ、両方使えるのですけれどね。2500mは少し長いですが、中山なら。
ただ、もうG1も2つ勝ちましたし、これ以上は望まないで、無事に日高で種牡馬になってくれれば良いな、と思っています。
ステイゴールドの直仔といえば、オジュウチョウサンも現役でがんばっていますね。
大好きですよ! ただ、障害はいつどんなアクシデントが起きるかわからないですし、既に名馬ですから、無事なまま引退してほしいですよね。もし種馬にならなくても功労馬として繋養してくれると思うので、ケガなくいってほしいというのが一番の願いです。もちろん競馬に出てくれば応援しますけれど、この前(菊花賞)のコントレイルと同じで出てくれば単勝1倍台になってしまいますので、あまり馬券を買ったことはないです、実は(笑)。