浦河地区
牧場現地リポート

押さえておいて損はなし!

早朝、浦河町西舎では周囲の育成場から歩いて、または馬運車で運ばれて来た競走馬たちが次々とBTC(軽種馬育成調教センター)に吸い込まれていく。

たくさんの馬が行き交うこの場所は屋外、屋内坂路や大小のトラックコース、芝、ウッドチップ、砂の直線コースなど、それぞれの馬に適したバラエティ豊かな調教ができる国内随一の施設を擁している。

そのBTCを囲むように軒を連ねる育成場の中でも最大級の在厩数を誇るのは、タニノギムレットやゴールドシップなどを育てた吉澤ステーブル。今年も眩しいくらいの血統馬が名前を連ねたラインナップの中で、鷲尾健一マネージャーが真っ先に名前を挙げたのはトーセンジョーダン、トーセンホマレボシの甥に当たるサトノギベオン (牡、父キズナ、母フルボイス)。
「こちらに来た当初から馬体の良さが目立っていた馬で、イメージ通りここまで成長してきました。精神的にもどっしりとしていて、自分の格を分かっているような印象ですが、そこが気難しさにならないよう注意してきました。調教を強化してきて馬体はさらに洗練された印象で、大物感があります」

血統馬といえば、もう一頭。毎年注目を集めるマイグッドネス19(牡、父キングカメハメハ)は、ダノンレジェンド、ダノンキングリーの半弟。
「良血馬らしいバランスの良さや品の良さは兄弟共通のものがありますね。キャンターの走りは体の使い方が上手で柔らかみがあり、気持ちのオンとオフがしっかりできる賢い仔ですよ」

撮影中、馬体の良さが目立っていたのはカレンブルーローズ(牡、父バゴ、母カレンタントミール)。
「非常に考えられた配合のようで、きれいにインブリードが入っています。馬体はコンパクトにまとまっていて、筋肉の質が良く運動神経の高さも感じます。ここまで気性面や体質的にも安定していてまったく手がかからない点もセールスポイントです」

クロノジェネシスの活躍で脚光を浴びているだけに、新たなバゴ旋風が巻き起こるか?

牝馬からは2020年英2000ギニー勝ち馬 Kamekoの半妹という世界的良血馬、モズゴールドバレル(牝、父Optimizer、母Sweeter Still)。
「成長途上の段階においてもバランスの良さや筋肉の質の良さなど素質を感じさせる部分が多いですね。現時点では成長を促すために徐々に調教負荷を与えている段階ですが、フットワークは柔らかくセンスが高いと感じています」

続いて訪れたのはディアレストクラブイースト。高樽優也場長が笑顔で迎えてくれた。
「かなり期待している馬」と紹介してくれたのは、新種牡馬イスラボニータ産駒のバトルクライ (牡、母ディアコメット)。
「量より質、といった筋肉の持ち主で、バネを感じさせる走りを見せています。まだまだ奥があって完成は先になりそうですが、成長途上でも能力で動いてくれそうなので、東京開催でのデビューを目指しています」

もう一頭の期待馬は、母の全兄にダービー馬ディープスカイを持つ良血馬、スズノマーベリック(牡、父エピファネイア、母ルサビ)。
「走るフォームが凄くきれいな馬で、走りそうな雰囲気を醸し出しています。背中がゆったりしていて、いかにもクラシックディスタンス向き。本格的に良くなるのは夏以降でしょうから、大事に育てていきたいです」

シュウジデイファームでは今年も石川秀守代表の“シュウジ節”を楽しみにしていたのだが、残念ながら不在。変わって初登場の岸本洋明場長がビシビシ質問に答えてくれた。

まずはここではお馴染みとなった血統、ステラリード19(牡、父ロードカナロア)から。
「兄姉と比べて馬格に恵まれ、それに見合ったパワーもありますね。マイルくらいから中距離辺りに適正を感じます。2歳戦から活躍してくれると期待していますし、クラシックに乗せたいですね」

半兄カイザーノヴァはクローバー賞を制し、いざクラシック!という段階で骨折。弟が無念を晴らしてくれることだろう。

牡馬のトップクラスだというシエルルージュ19(牡)もロードカナロア産駒。
「坂路での行きっぷりが良く、大型馬特有の重苦しさはありませんね。父の産駒らしいスピード能力の高い馬ですよ」

牝馬の一番手に挙がったのは、シスタリーラヴ19(牝、父ハーツクライ)。
「牝馬ながらしっかりした馬格に恵まれ、ゆったりした走り、折り合いのつく気性から中距離以上の距離が向いていそうですね。広い競馬場で、ある程度溜めてから脚を使うレース運びが眼に浮かぶようです」

半兄にリーゼントロックがいるレディインディ19(牝、父キズナ)も期待の一頭。
「兄姉と比べても動きの軽さが目立ちますね。上はダートで活躍していますが、この馬は芝でも十分にスピードの対応が出来ると思います」

父が変わり、どんな活躍を見せるのか楽しみにしたい。

昨年BTC近郊に新厩舎が完成、気持ちも新たに強い馬づくりに励む三嶋牧場を訪ねた。

当然、牧場一番の期待馬は、生産馬でもあるメイショウベルーガ19(牡、父ハーツクライ)自信の一頭だけに藤井健太調教主任の声も弾む。
「長くいい脚を使えるタイプで、馬体のサイズといい父は違いますが、テンゲンによく似ていますね。もう少し時間がかかるかなと思ってたのですが、馬に走る気が出て来たので夏前に送れると思います。もちろん、狙うはクラシックの王道です」

数々の重賞馬を育ててきた藤井調教主任にして「なかなか手がけられるレベルの馬じゃない」という最高の褒め言葉を頂戴しているのは、パールコード19 (牝、父スクリーンヒーロー)。母は秋華賞2着の実績馬だ。
「手応え的にうちのナンバーワン。来たころから今までずっといい馬。体つき、背中も良い、坂路を上がれば13秒なんて楽に上がってくるし、我慢の利くタイプで気性も問題なし。目指せオークスですね」
と、賞賛が止まらない。これは要チェックだ。