追分ファーム・リリーバレー
厩舎長リレーインタビュー

クラシックへと虎視眈々!

4年前から4人の厩舎長によるリレーインタビューをさせていただいている追分ファーム・リリーバレー。「まだまだ目標達成への道のりには遠い」と話すが、血統背景や、充実した調教施設、厩舎の熱意を考慮すれば、いつ超大物が出てもおかしくない空気を漂わせている。POG的には必ずチェックしたいリリーバレーの厩舎長に、それぞれ注目馬をうかがった。

今年は牝馬の厩舎から話を聞かせていただきます。まずはT-1厩舎の加地洋太厩舎長です。よろしくお願いします。
まずピックアップしていただいたのはメリトクラシー (母メリオーラ)。新種牡馬のシルバーステート産駒ですね。

加地厩舎長

お母さんも初仔ということで、新種牡馬とまったく未知な組み合わせになります。

むしろ、それが魅力にも感じますね。

加地厩舎長

私たちもファンの方と同じで、無の状態から扱ってきたのですが成長力が凄くて、日に日に評価が高まった1頭です。500キロ近い馬体をしていて、パッと見ると胴長なので緩く見えるのですが、まったく心配は無用です。動きが俊敏で切れ負けするタイプではありませんし、楽しみが非常に大きいですね。4月生まれということで、これからの成長が重要だと思います。ディープの牝馬はカリカリすることが多く難しかったのに対して、シルバーステートの仔は落ち着いて扱いやすいです。

続いてポリッシュキッス(父ハービンジャー、母アルメーリヒ)について教えてください。

加地厩舎長

牝馬は走る血統なのですが、うちの厩舎に初めて来てくれました。なので姉たちとの比較は見ているだけのものなのですが、精神的にこっちのほうが落ち着いているのかなという印象を受けます。最初は大人しすぎたくらいだったので、ようやく気持ちがピリっと入ってくれて安心しました。どのお父さんに付けても、洋芝向きに仔が出る血統で、この馬も北海道で走りそうだなと感じさせます。パワーのある走りをしています。

続いてキャッチザワールド(父エピファネイア、母チャームザワールド)です。

加地厩舎長

お母さんもうちの厩舎で育成していました。オリエントチャームとロードカナロアの仔ということで期待していたのですが、残念ながらデビューできなかった馬。そのぶん、繁殖として期待も大きかったのですが、期待通りに初年度から良い馬が出たと思います。背はスラッと高いですが、スピードはありますし距離の融通も利くはずです。

なにより母父ロードカナロアの文字はレアですね。

加地厩舎長

その通りで、お母さんは若いし、お父さんのエピファネイアも素晴らしい牝馬を出していますから、かなり期待してもらって良いと思います。牧場の方針である早期デビューを目指せる1頭だと思います。

昨年のインタビューでも、牧場の役職や人事を見直し、牧場全体でも変革の時だと話されていたのですが、現3歳馬について振り返ると、どのような感想をお持ちですか?

加地厩舎長

出走率のアベレージは目標達成できたのですが、勝ち上がり率は足りないなというのが正直な感想です。成績を見ても良い時と悪い時が交互に来ている感じですね。
ただ良い時があるということは、そこで高止まり、維持する力を身につければレベルアップはできるはず。勝負事ですから、ある程度波があるのは仕方ないですが、良いことは継続して悪いことは変えてと、今年はさらに良い成績をおさめたいです。実際、順調ですので期待していてください。

ありがとうございました。続いてT-2厩舎。明石圭介厩舎長よろしくお願いします。最初はストキャスティーク (父ゴールドシップ、母サンクボヌール)からです。

明石厩舎長

イヤリングから移動してくるのも一番早く、常に優等生という感じで順調にここまで育成を進めることができました。馬体の完成度が高く、早い段階でメドが立ちましたね。ゴールドシップの血なのか、調教を進めるにつれて気の悪いところは出てきましたが、走りに悪影響を及ぼすという質の悪い感じはしません。坂路でもしっかりと動けていますし、距離も極端に短くなければ広くこなしてくれるはずです。

続いてリーブズオブグラス(父エピファネイア、母リープオブフェイス)です。

明石厩舎長

移動してくるのはストキャスティークよりは遅かったのですが、調教への適応が速く、どんどんと他の馬を追い抜いていきました。調教レベルを上げても飼い食いが落ちることなく、順調に大きくなっていったので、苦労したという記憶はほとんどありません(※3月26日に栗東厩舎)。

他に注目馬がいたら教えてください。

明石厩舎長

ホーリーウェル(父ハーツクライ、母エスユーエフシー)は、まだ体の成長待ちといった感じですが、素質は高い1頭だと思います。ハロン15を軽く上がってきており、サイズ的に大きくしたいという意図があるだけで、体力的には劣っている部分はありません。調教にメリハリをつけて、成長を阻害しないように進めていく予定です。
昨年は早めに入厩できた馬が多かったのですが、コンディションに気を遣いすぎた結果、トレセンに行ってから1つ2つ気持ちの面で足りないところがあったのでは、という部分は反省です。今年はコンディションに気を遣いながらも攻める部分は攻めるというのを心がけています。全体にレベルを高めていきたいです。

続いては牡馬に話を移していきましょう。T-3厩舎の河野義大厩舎長、よろしくお願いいたします。
まずはエルゲルージ (父ドゥラメンテ、母プルージャ)からお聞かせください。

河野厩舎長

まだ(ドゥラメンテの産駒は)2年目ということでサンプルは少ないのですが、この馬は馬体がハッキリしていて力強さを感じます。シルエット的にも安定感がありますし、馬体重もあって走るオーラに包まれていますね。
気性的にキツいところがあると当初は言われていたのですが、馴致から手を焼くことなく進んで来たのは嬉しい誤算。少し飼い葉を残したり、まだイライラするところがあったりと、ヤンチャ坊主な部分は見えますが、伸びしろと考えるとかわいいものです(笑)。

T-3厩舎では、昨年ドゥラメンテ産駒として、ヴァリアメンテが注目馬で上がっていました。

河野厩舎長

エルゲルージと違って、この時期は線が細くて、飼い葉を食べてくれるのにひと苦労といった状態でした。

でもレースではデビュー戦で勝って、その後に若駒S2着と走りました。

河野厩舎長

能力は感じていたので、移動までコンディションを落とさないように勤めていました。そういう意味でも、この時期に馬格があるというのは安心です。エルゲルージは夏のデビューを目指しています。

続いてブレスク(父ルーラーシップ、母パララサルー)について教えてください。

河野厩舎長

ルーラーシップの仔ですし、現時点ではまだまだこれからといった印象です。もう一、二段階の変化をしてくれないと困りますね。

それだけ河野厩舎長も期待しているという表れだと思います。

河野厩舎長

もちろんです。この馬は、個体の完成度ではなくて、2歳馬としての完成度は十分に達しているんです。「動けているというか動ききれている」といった感じで、現在持っている能力は、しっかりと走ることにすべて費やされています。贔屓目なしに良い馬ですよ。その証拠に、乗った人の評価が皆高いんです。
馬体の緩さは見た目に感じるけど、乗ると背中の柔らかさ、脚のさばき、そして常歩がすごく軽いんです。乗り役を魅了してくれていますし、これは走ってほしい。国枝先生とも相談になりますが、できあがった時に、どのタイミングで送り出すのか。その見極めには、神経を遣いますね。

ありがとうございます。あと、穴っぽい馬で書いておいたほうが良いという馬がいれば教えてください。

河野厩舎長

そうですね。バハルダール(父Pioneerof the Nile、母ラナモン)は面白いと思います。まだまだ華奢で中身はこれからですが、シルエットは素晴らしいので、これからしっかり成長してくれるはずです。

では例年通り昨年について、少し振り返っていただけるでしょうか?

河野厩舎長

2歳戦(現3歳)に関しては、出走率80%を目標にしていたのですがクリアできましたし良かったと思います。新馬戦も何頭かクリアしてくれましたから、取りこぼしている馬がいるのも現状ですが、このまま精度を高めていきたいなと考えています。
僕の意見というよりも、他の厩舎人、乗った人の感想をしっかり拾って前進しようと思います。多くの人が、その馬に携われば多くの意見が集まりますから、小さい声にも耳を傾けることが大事かなと。

河野厩舎長がこだわっている6月開幕週の新馬戦に挑戦できる馬はいますか?

河野厩舎長

まだ、どの馬になるかは断言できないのですが候補は数頭いるので、何かしらは出走させると思います。新馬戦の終了も早くなって、早く勝たせることが今まで以上に求められていますので、その辺も意識して進めていきたいです。

ありがとうございました。それでは最後にT-4厩舎の平沼敏幸厩舎長です。よろしくお願いいたします。それでは、グランシエロ(父ハーツクライ、母サイマー)から教えてください。

平沼厩舎長

厩舎としては一番早い組にいます。本当に良くなるのは先かなと思いますが、今でも十分に動けています。気が良いタイプなんで、大型馬ですが運動神経は良いほうだと思います。

昨年ハーツクライ産駒は、今まであまり携わってこなかったと話されていましたね。

平沼厩舎長

そんなこと言いました?

言っています(笑)。そんな中、紹介していただいたイルーシヴキャットが新馬勝ちしてスプリングS4着。

平沼厩舎長

それなら相性良いんですよ。ハーツクライ産駒と。

期待してしまいますね。それでは続いて、セリフォス (父ダイワメジャー、母シーフロント)です。

平沼厩舎長

良い馬なんですが、兄が2着が多いのが気がかりです。

フォルテデイマルミ(父オルフェーヴル)ですね。8戦して2着4回3着3回は、確かに悔しい競馬が続きすぎですね。

平沼厩舎長

勝てる馬なのは間違いないのですが、気性ですかね。

弟はいかがですか?

平沼厩舎長

難しいというレベルではないと思います。ダイワメジャーらしく前向きさがあるので、早い時期にデビューできるんじゃないでしょうか。むしろ、スピードを出させると速くなりすぎちゃう時があるくらいなので、そこに気をつけながら、レースを迎えたいと思います。

そして最後はヒロシクン(父ドレフォン、母エスプリドパリ)。

平沼厩舎長

今年の新種牡馬シリーズはドレフォンです。

そんなシリーズあったんですか?

平沼厩舎長

ありましたよ。一昨年がダノンバラード産駒のミッキーハッスル。そして昨年はホッコータルマエ産駒のキュールエライジン。意外とこのコーナーで取り上げた馬の成績が良いんです。

意外とって(笑)。オススメで出ている以上、期待の1頭なんですよね。

平沼厩舎長

いい流れで来ているので、今年こそさらに好成績を上げてほしいです。現状仕上がりが早くて、来た時から完成度は一枚上のものがありました。血統的にも短距離向きかもしれませんがPOGには向いていると思います。

最後にその他の注目馬を教えてください。

平沼厩舎長

ポテンシャルが高いなと感じさせるのはホウオウパレード(父ドゥラメンテ、母スパニッシュクイーン)。あと、あっ……新種牡馬シリーズこっちでも良かったかも。イスラボニータ産駒のラパルマ(母クリアンセス)。短距離ですが動きが良いですし、結果を残してくれると思います。
全体的に馬の出来は、去年より良いので期待しておいてください。

厩舎長の皆さん、ありがとうございました!