浦河地区
牧場現地リポート

バラエティに富んだ素質馬が並ぶ!

空港のある千歳市から南へおよそ140キロ。道内でサラブレッドの生産、育成が行われている地域の中でも南部に位置する浦河地区からも、近年は多くの活躍馬が出ている。

この地の育成拠点がBTC(Bloodhorse Training Center)こと軽種馬育成調教センター。総面積1500ヘクタールの広大な土地には、グラス馬場や本格的に追い切りが可能な芝馬場、トラック馬場、直線砂馬場の他に、屋内設備も充実。1000mの直線ウッドチップ馬場、600mのトラック砂馬場、1000mの坂路馬場があり、年間を通して馬を鍛え上げることができる。

BTCの周辺には多くの育成牧場が軒を連ね、体力強化やスピード調教、ゲート練習まで、多彩なメニューで育成馬の鍛錬を積んでいる。

この地で最大規模を誇るのが吉澤ステーブル。タニノギムレットやゴールドシップ、近年ではエポカドーロやミッキーチャームを鍛え上げた。今年も偉大な先輩たちの蹄跡を追い、2歳馬たちが稽古に明け暮れる。

注目を集めるマイグッドネス18 (牡、父キングカメハメハ)は半兄ダノンキングリーが大活躍。鷲尾健一マネージャーは、「第一印象から素晴らしい馬で、兄とはタイプが違いますが、見栄えがするとのことです。調教を進めるにつれて天性の柔らかさに、徐々に芯が入ってきました。 スケール感のある走りをしていますし、まだ体は大きくなるはず。与えた課題を常に楽々とクリアするセンスの良さもあります」

全姉にフラワーC、ローズSを勝ったカンタービレを持つのがロックユー(牡、父ディープインパクト、母シャンロッサ)。「良血馬らしい馬体の柔らかさ、動きの軽さがあります。 調教ではリードホースを務められる賢さや他馬への主張があり、心身ともに大物感がありますね。期待の大きい馬なので大事に進めていますが、すでに早い時期の移動にも応えられるだけの動きは見せています」

桜花賞馬を母に持つキストゥヘヴン18(牡、父ロードカナロア)も同場で調整を進めている。「母の名に見合う大物感を感じます。来場当時から良い体でしたが、イメージどおりの成長を遂げてくれています。大人しい馬ではありませんが、走りには前向きで調教もしっかりこなしますし、競馬向きの性格でしょう」

と、言葉も弾む。

仔出しが良く幅広い活躍馬を出す母のスターペスミツコ18(牡)は注目を集めるドゥラメンテ産駒。
「うちにいるドゥラメンテでは1、2を争う存在です。調教メニューも至って順調。バランス、センス、気性、動き、すべてにおいて平均点を超える良い馬ですね。」

アルゼンチンGIII勝ち馬の産駒、シックスイス18(牝、父ディープインパクト)は母の初仔でデキの良さが目立つという。「動かせばいくらでも走るのは分かったので、今は馬体の成長を促しています。
やる気にあふれたオテンバ娘。待てば良くなる手応えがあります」

ディアレストクラブイーストを率いるのは高樽優也場長。
大学馬術部の部長を務めた若きリーダーは、「詳細は企業秘密でお願いします」と繰り返しつつも、取材陣も驚く斬新な創意工夫を以て、育成技術の向上に邁進している。

カレイメモワール18(牡)は今年もゴールドシップの仔。ちなみに現1歳も同配合だ。
「ヤンチャですが、調教でスイッチが入ると物凄く良いフットワークでバネの効いた走りをします。クラシックを目指したいですね」

早期デビューも可能な順調度とのことで、来春に期待がかかる。

デヴェロッペ18(牡、父ゴールドシップ)はクロコスミアの半弟。
「姉とは異なり恵体の持ち主で、調教も最も進んでいるグループです。
このまま順調なら4月には移動予定。資質は文句なしの一頭で、クラシック路線に乗って息の長い活躍を期待しています」

スリーアフロディテ18(牡、父リオンディーズ)は思い入れの強い1頭であることが窺える。
「悍性が強く物凄く頭の良い馬で、馴致から苦労して・・・。過去10年で一番手が掛かりましたね。ただ、乗り出しに時間が掛かったわりにはセンスの良さで急ピッチに追いついてきました。動きもピカイチで、これは走ると思うんです」

育成馬ディアドムス(全日本2歳優駿)を超える活躍で新たな代表馬の誕生に期待したい。

シュウジデイファームは名門牧場で生産・育成に長年携わった石川秀守代表が辣腕を振るう。
同場では過去にスーパーホーネットやグランプリエンゼルを育成し、ターフへ送り出した。

ショウナンマイティ・ゴーフォザサミットを兄に持つジェミニテソーロ (牡、父ヴィクトワールピサ、母ラグジャリー)は、4月中に本州へ移動予定とのこと。
「恵まれた体に豊かなスピード。兄たちと比べて勝るとも劣らぬ素材の良さがあります」と、自信を覗かせた。お馴染みのステラリード18(牡)は、新種牡馬モーリスの産駒。
「母譲りのスピードがあって小脚がききそうなタイプ。夏の北海道でデビューする予定で順調」

とのこと。2歳Sの親子制覇に期待がかかる。

母父にディープインパクトを持つカレンシェリーメイ18(牡、父ロードカナロア)は、「華奢だったけど体が増えてきてどんどん良くなっている、見た目以上のスピードがあって調教も至極順調です」

今後増えるであろう黄金配合の先駆け的な活躍に注目だ。

老舗の三嶋牧場は生産・育成馬のメイショウベルーガから誕生したメイショウテンゲンが弥生賞を制覇。アーモンドアイ世代の脇を固めたカンタービレなど、生産部門も育成部門も知名度がうなぎ登り。間もなく育成馬用の新厩舎が完成予定でもあり、藤井健太調教主任の言葉にも活気が溢れていた。

メイショウスズラン18(牡、父ダイワメジャー)は短距離重賞戦線で活躍中のメイショウショウブの全弟。
「3月に入って坂路13秒台までやれています。母の仔は走る馬とそうでないのと差が大きいのですが、今年のこの仔は走りますよ」

ワンダーフィリー18(牡、父ハーツクライ)は坂路で1F12秒台の時計を出しても余裕があるという。
「今年の2歳世代でもトップ級です。これが走ってくれないとPOG取材の馬選びに困っちゃいますよ」

と、手応えを語ってくれた。

春が訪れ間もなく2歳馬たちが東西トレセン、地方競馬場へと巣立つ。士気の高いホースマンたちの仕事が、来春の大舞台へとつながってゆく。