ビッグレッドファーム
牧場現地リポート

方針転換は吉と出るか!?

降雪量が少なく、暖冬だった今年の日高地方。 ビッグレッドファーム真歌ではさぞや調教が進んでいるのだろうと思いきや「今年は最初から強く調教せず、徐々にペースアップして終いに重点を置く方式に変更しました。吉と出るか凶と出るかはデビューしてみないと分かりませんが」と笑う九鬼勝己場長。

昨年は新馬戦から3連勝で小倉2歳Sを制したマイネルグリット(牡3、父スクリーンヒーロー、母マイネショコラーデ)が在籍していたのだが、POG取材時は外傷のため誌面に掲載できなかったのが残念。

そんな真歌の育成馬の中で、自信の2トップを誇っているのは輸入馬の2頭。コスモカルティエ (牡、父Gleneagles、母Expensive Date)は愛国産馬。「馴致の段階から動きが良く、現在、一番時計の出る馬です。併せればもっと記録を伸ばすと思いますが、ほどほどに。スピード、キレも充分ですし、完成度が高いので6月の新馬から勝負したい逸材ですよ」

もう1頭の輸入馬は、英国産のコスモシェルパ(牡、父Kingman、母Bible Belt)。
「到着時は体質が弱く、負荷をかける時期が他の馬より遅れたものの、気がついたら追い越す勢いですね。回転の早いフットワーク、特に終いに回転が早くなるところなんて"おっ!"と思わせてくれます。期待は高まるばかりですが、もう少し丈夫にしてから送り出したいですね」

輸入馬たちに負けず劣らず、の3番手は、スクリーンヒーロー産駒のマイネルジェロディ(牡、母マイネエレーナ)。
「ラフィアンの募集馬の中で1番好き。全兄マイネルヘルト(牡3)も8月の小倉で新馬勝ちしていますが、気性が悪くて実が入ってこない。こっちは気のいいタイプで乗り込んでも体重を減らすことなく順調そのもの。早めのデビューを目指し、移動第一陣になりそうですね」

今年も真歌育成×スクリーンヒーロー産駒の重賞勝ち馬誕生なるか。

牝馬からはやはりこの父を推したい。ゴールドシップ産駒のキュンストラー(牝、母マイネグレヴィル)。
「父の産駒は硬めのほうが動きが良く時計も出やすいため育成時の評価が高いのですが、いざデビューすると緩くて牧場では余り目立たなかったタイプが良く走っているんです。この馬は緩めのタイプ。初仔なので小さいというのもありますが、この母系は小柄でもバランス良く走れるので特に心配はしていません。筋力が付いてバネが生かせるようになれば変わってくると思いますしね」

と、"日本一ゴールドシップ産駒を擁する育成場"としての見解を教えてれた。

その後「実は・・・」と切り出す九鬼場長。早期デビュー予定の注目牝馬は、現在放牧に出しておりここにはいないという。そこで、オススメ牝馬を名前だけでも教えてもらうことに。

ゴールドシップ牝馬の中でナンバーワンなのはリチェルカ(牝、母マイネヴォヤージ)。近親に桜花賞馬マルセリーナや種牡馬グランデッツァがいる良血馬だ。

そして、全体の牝馬の一番馬はピュアエール(牝、父トゥザワールド、母ピュアドリーム)。昨年のセプテンバーセールで取引されたこの馬の動きが抜群なのだとか。要チェックだ。

一方、ビックレッドファーム明和の育成馬たちも順調そのもの。「除雪や馬場調整に手間取ることもなく、その時間を騎乗に充てられたのは良かったです。その分例年より多い8割方の馬は充分乗り込めたと納得の仕上がりです」と胸を張る榎並健史調教主任。

そんな榎並主任から真っ先に名前が挙がったのは、ダノンバラード産駒として今年日本でデビューする唯一の存在、Epica18 (牡)。

父は16年のシーズンオフにイタリアへ渡り、18年の夏に帰国。つまり今年誕生する産駒がデビューするまで空白の2年間を埋めるにはEpica18 の活躍に掛かっているのだ。
「アイルランドで調教を積み12月に来日しました。遅れて乗り出したものの、もうトップクラスの動きをしていますし、力強い、大きなフットワークで体重の軽さを感じさせませんね。父の代表産駒に成り得る器と期待しています」

ハイレジリエンス(牡、父Kingman、母Nannina)の母は英国GI・2勝馬で種牡馬候補だという。
「血統的にも動き的にも今年1番期待している馬です。筋肉量豊富な馬体、全身を使ったバネのある走りはパワフルで、抑えるのが大変なほど。夏頃のデビューを目標に進めていて、早く競馬場で走る姿が見たいです」

2月の段階で6月のデビューを意識するほど、早いうちから能力の高さを示していたのはマイネルキャラバン(牡、父スクリーンヒーロー、母ファインビンテージ)。
「遅生まれですが馬格に恵まれ、体力があってずっとトップクラスの動きをキープしている。なんの注文もありません」

予定通り6月のデビューを目指し第一陣で移動する。

昨年「ウチにはいいゴールドシップ産駒がいない。今の1歳は良さそうだから来年に期待」と半ば自虐的な予言をしていた榎並主任。その予言は確信に変わったようで、
「初年度より今年のほうが産駒の出来が格段に良い、絶対走る」と断言。その筆頭格がマイネルグロース(牡、母コスモクラッベ)だ。
「馴致までは手がかかったけど、乗り始めたら順調で、スピード、バネもあり平均点の高い馬。ウチでは上位クラスなので、この馬のレースぶりで世代のレベルを測れるかなと考えています」

と話し、6月東京開催でのデビューを視野に入れている。

早期デビュー組の牝馬も評価が高く、ユーバーレーベン(牝、父ゴールドシップ、母マイネテレジア)はトップクラスの動きを見せている。
「この馬も6月デビューの第一陣予定。しっかりした体は母系の特長で、自信をもって送り出せます。今年はゴールドシップ産駒が豊作で、この馬でさらに父の評価を上げてほしい」

そして父の代表産駒に、と期待されているのがスウィートブルーム(牝、父ゴールドシップ、母コスモバルバラ)
「芝向きの軽いフットワークで坂路を駆け上がっています。

コンスタントに活躍馬を出す母系ですから期待も大きいですし、もう少し成長を促して、夏競馬でおろしたいですね」

と、牧場の根幹牝馬となっているマンバラ系の繁栄に信頼を寄せていた。

ゴールドシップ産駒を中心に、唯一のダノンバラード、相性の良いスクリーンヒーロー、そして輸入馬と豊富なラインナップで2歳戦から躍動してくれることだろう。