下河辺牧場
牧場現地リポート

コース改修の効果抜群!「強気のコメントが出せますよ」

現3歳世代も阪神JFで3着し年明け初戦のチューリップ賞でも2着に入ったクラヴァシュドールを輩出。ノーザンファームの勢いが増す中、コンスタントに毎年活躍馬を出し存在感を示し続けているのが日高の名門・下河辺牧場だ。

国内外から新たな血を入れつつ、脈々と受け継がれてきたファミリーラインを守り、進化と成長を続けてきた。

年々、生産頭数は増えており数年前から目標に掲げている「100頭生産」まで、あと一歩のところまで迫って来たという。

もちろん、そこには1頭1頭の世話をするスタッフの数を揃えることが重要。それに加えてハード面でも牧場近くの山を更に購入するなど、下河辺牧場の環境は着実にステップアップ。その一環として、一昨年には老朽したトレーニングファームにある屋内周回場を、建て替える工事を行った。

1周あたりの距離を従来の300mから600mへ拡大。楕円形のコースがゆえに、直線部分が長くなり、よりスピード能力が高まる調教が出来るようになったという。

完成したのは一昨年の11月だっただけに、現2歳世代がフルシーズン改修後の周回コースを使えた最初の世代。その効果について育成部門を率いる柏木章治調教主任に伺った。

「世代全体の評価でいくと、今年は強気なコメントが出せるかなと思います。早い段階から強めの負荷をかけられたことによって、早期デビューできる馬が例年に比べて多い気がします。 オーナーさんや調教師さんから"早めの入厩を"と要望が出ているので、牧場としてはそれに応えられるよう、頑張っています」

続いて現3歳世代の結果について聞いてみた。

「新馬勝ちが年々難しくなっていますね。今年は5頭が新馬勝ちでした。着に来ている馬は多いんですが、勝ちきるのは・・・常に強い馬が他から出ているという状況です。他の育成場さんも勝ち星は減っていると思うのですが、そんな中でも存在感は出さないといけないですし、新馬が一番注目されるので。今年は1頭でも多く新馬勝ちの馬を作りたいですね」

それでは牧場期待の若駒について紹介してもらおう。まずはサトノスバル (牡・父ディープインパクト、母コンクエストハーラネイト)。

「お兄さん(サトノファラオ)は、American Pharoahの産駒ということでゴツい馬だったのですが、ディープに変わって軽さが加わりました。でも華奢というわけではなく、全体にしっかりしていて、柔らかいだけでなくパワーを感じます。芝のマイル戦で出走できれば、早くから走りを見たいですね。時期は限定してプレッシャーをかけたくないですが、スカッと早めに決めてもらって、牧場全体に勢いをつけてもらいたいです」

続いては、現在の下河辺牧場の看板といえる活躍を見せるキセキの全妹ビッグリボン (牝・父ルーラーシップ、母ブリッツフィナーレ)。

「有馬記念にも駆けつけて応援したんですが・・・お兄さんは歯がゆい競馬が続きますね。記憶には残る走りはできているんですが、もう1つ記録が欲しいのが本音です。適した舞台があれば、まだまだ勝つチャンスはあると思っていますよ。そして妹は、キセキの当時と比べたら、何倍も現時点でしっかりしています。この馬もマイル以上で先行してというレースになるのでしょう。血統的にスピードがあることは間違いないので、後は調教師とジョッキーの味付けに期待ですね。お兄さんのGI2勝目と、この仔のGI初勝利。どっちが早いか争う、そんな馬に育ってほしいなと思っています」

そして今回の取材で、馬房から出していただき見させていただいたカイザーバローズ (牡、父ディープインパクト、母ジェニサ)。

「柔らかくて芯がしっかりしている。体の形もカッコ良いし、走る気満々。うちの牧場では、いろんなタイプのディープ産駒を扱ったけど、この馬はごく一般的な、軽い馬場でビュッと切れるタイプだと思います。身が入ったら、更に大物感は増すと思うので、順調に行って欲しいですね」

カイザーといえばドイツ語で皇帝や帝王を意味する言葉。世代の頂点に君臨する。そんなイメージを沸かせる凛々しい立ち姿だった。