追分ファーム・リリーバレー 厩舎長リレーインタビュー

2011年の開場以来、着実に歴史と実績を重ねてきた追分ファーム・リリーバレー。昨年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、震源地から近かったこともあり同牧場もかなりの揺れを計測したようで、現在でも牧場へと向かう道路は、まだ工事が行なわれていた。

そうした天災に負けず、若駒たちはデビューに向けて、黙々とトレーニングを積み重ねていた。今年も昨年に続いて、4厩舎の厩舎長にリレー形式でインタビューを敢行。自厩舎の中からPOGの注目馬を選んでいただいた。

昨年は牝馬から話を聞かせていただいたので、今年は牡馬から進めましょう。最初はT−3厩舎の河野義大厩舎長です。よろしくお願いいたします。

まずは、さきほど取材で実馬を見させていただいたアンチュラス17 (父ルーラーシップ)について、教えてください。

河野厩舎長

今、一番進んでいる組で、動きも良好ですし、こちらの狙ったとおりに成長しているので、かなり期待しています。毛艶も良いですしね。

1つ上の世代のスカテナート(父キングカメハメハ)もT−3厩舎にいたんですよね。

河野厩舎長

2着が3回あるものの、いまだに未勝利で、歯がゆさを感じています。そんなお兄さんも手応えよく坂路を上っていたのですが、弟のほうがルーラーシップに変わったぶん、キレが増した気がします。活躍してほしいですね。

ルーラーシップの仔は比較的ゆっくり成長するイメージがあるのですが、同馬のデビュー時期はどれくらいをお考えですか。

河野厩舎長

確かにルーラーの2歳戦の成績が伸びていないのは心配な点ですが、お母さんは2歳戦から活躍した馬(ファンタジーS2着)。実際に状態も良いので、早期のデビューを目標にしています。

国枝厩舎ということですから、状態次第だと思いますが東京のマイル戦が候補になりますよね。

河野厩舎長

そうですね。今年は難しいものの、私の個人的な目標なのですが、毎年、東京開幕週のマイル新馬に馬を送り出し、勝利するというのを意識するようにしています。一昨年が2着で昨年が7着。グランアレグリアのような馬が出てきたら、「はぁ……」って感じですけど、来年以降も、諦めずに挑戦したいですね。

ノーザンファームからも、かなりの強豪馬が東京開催の出走を目指していました。

河野厩舎長

去年は本当にやられました。喜ばしいことに、昨年は1番人気に支持されることが多かったんですよ。でも、ことごとくノーザンファームの馬に勝たれたような印象です。ネット掲示板を見るのが怖かったですよ(笑)。

見ないほうが良いですよ!では、話をアンチュラス17に戻して……。

河野厩舎長

今年は開幕戦で爪痕を残したいですね。ルーラーの仔なので、雨が降ってくれたら最高なんですけどね(笑)。ただ、良馬場だとしても、互角以上に戦えるポテンシャルはあると感じています。

それでは続いてメモリアルサマー17(父エイシンフラッシュ)はいかがでしょうか。

河野厩舎長

この産駒の中では、一番ソングオブウインド(父エルコンドルパサー)に似ている気がします。この血統もカーッとなりやすいし、エイシンフラッシュも同じような仔が多いのですが、互いに打ち消しあったのか、現状では調教に対して真面目で、我慢が利いています。お母さんも高齢なので、なんとかもうひと花咲かせてほしいですね。

タスクミストレス17について教えてください。お父さんは新種牡馬フェノーメノです。

河野厩舎長

兄姉も500キロ超えの仔が多く、お父さんも500キロ強。飛節や後肢が緩く出る血統なので、大きく出ると厄介だなと思っていたのですが、幸いなことに現状でも450キロ前後に収まっています。まだタイム慣れしてない面はあるのですが、1回目より2回目、2回目より3回目で確実に動きが良化していて学習能力が高いです。新潟あたりから行けるんじゃないでしょうか。

では最後にエスプリドパリ17。こちらも新種牡馬エピファネイアの産駒になります。

河野厩舎長

エピファネイアの仔はカーッとなりやすい部分があると聞いていて、この仔も最初は力みがありました。

そこで、技術がある乗り役にスイッチしたら、首が楽に使えるようになり、折り合い面も問題なくなりましたね。体は筋肉にメリハリがついており、削ぎ落したい部分は落ちていて理想的。なんとか気持ちをコントロールしてデビューまで持っていきたいです。

あと注目馬について名前だけでも教えてください。

河野厩舎長

レジネッタ(父ロードカナロア)は、金子オーナーに買っていただいた馬ですし、良い動きをしているので、強運を味方にしたいですね。

河野厩舎長ありがとうございました。

続いてT−4厩舎の平沼敏幸厩舎長です。ワイ17 (父ディープインパクト)から教えてください。

平沼厩舎長

モノは素晴らしいのですが、まだトモが緩いかなと言うのが本音です。ただ、兄姉みんな時間がかかっているので、そこは当初から織り込み済み。焦らずにやっているといった感じですね。それに思ったより遅くはないという気がします。

デビューはいつ頃を予定していますか。

平沼厩舎長

1つ上のお兄さんは年末デビューでしたが、この仔はそれよりは早いと思います。使いながら、仕上げていくかもしれないですしね。

まだ兄姉が思ったような成績を残せていないので、何か違うことをしないといけない。ですので、矢作調教師で変わってくるかもしれませんよね。母系は評価されているので、キッカケをつかんでほしいと思います。

続いてレッドサン17(父Siyouni)はいかがですか。

平沼厩舎長

どうなんですかね?

質問で返されても(笑)。

平沼厩舎長

馬は良いんですけど、父や父の産駒にあまり馴染みがないので、模索中です(笑)。筋肉の感じからは、血管が浮き出てくるような馬体にはならなそうですね。比較的長めの距離が合っていそうです。

続いて、ミッキーレモン17。お父さんはダノンバラードですね。

平沼厩舎長

どう思いますか?

返さないでください(笑)。平沼さんらしいチョイスだと思います。

平沼厩舎長

ダノンバラード産駒って早くから使える馬が多いんですよ。6月の東京で使えます。POG向きですよね?

確かにそうですね。上も勝っていますよね。

平沼厩舎長

1つ上が新馬勝ち。2つ上も2歳時に1つ勝っています。堅実ですし、この仔は仕上がりが早いはずです。

続いてベルロワイヤル17(父キングカメハメハ)です。

平沼厩舎長

動きは固めなんですが、だんだんとほぐれてきました。

セレクトセールで9000万円。素質は高いんでしょうね。

平沼厩舎長

高い評価をいただき、力が入ります。素質馬ですが、体はまだ小さいので、これからの成長に期待しています。あまり大きいことは言いたくないので、その感じで書いてください(笑)。

わかりました(笑)。では、他に注目しておいた方が良い馬を教えてください。

平沼厩舎長

チェリーペトルズ17(父ハービンジャー)は絶対にいけます。

平沼さんにしては、珍しく強気な言葉が出ましたね。

平沼厩舎長

そういうこともたまには言いますよ(笑)。あとゴールデンドックエー17(父ディープインパクト)は血統的にも注目ですが、誰に見せても「良い馬ですね」と言ってくれる。これはダービーに出走させないとダメだと思っています。

平沼厩舎長ありがとうございました。

続いて牝馬にいきましょう。T−1厩舎の加地洋太厩舎長です。最初にお聞きするのは厩舎ゆかりの血統である、ペルシアンナイトの半妹オリエントチャーム17 (父ルーラーシップ)です。

加地厩舎長

走るというか、走ってもらわないと困る馬ですね。イヤリングで移動してきたときは420キロで今が472キロ。成長期が秋から冬にかけて、一気に立派になりました。

以前、この血統に携わったことはありますか。

加地厩舎長

何頭か携わったことはありますが、今回はセンスが1つ抜けている気がします。ルーラーの仔ということで、まだ緩さはあるのですが、背中の使い方が上手ですし、伸びしろも大きそうです。

続いてフィーリングトーン17(父ダイワメジャー)はいかがでしょうか。1つ上のエールヴォア(父ヴィクトワールピサ)はフラワーC2着。桜花賞へと駒を進めました。

加地厩舎長

毎年、クラシックに乗せたいという目標を掲げているのですが、15年のディアマイダーリン以降、間隔が空いてしまっていたんです。そういう意味でお姉さんには、気持ちの面で助けられました。

この仔は上とは違うタイプなのですが、スピードは上。短いところでビュンビュン行けると思います。移動時期も決まってはいませんが、早めに行けるかと思います。

続いて、毎年お名前をいただいているインコグニート17。今年はゴールドシップ産駒ですね。

加地厩舎長

立ち写真だとわかりにくいのですが、右半分が真っ白という派手な顔をしているんです。競馬場に行ったら話題になるんじゃないですか。この血統は馬格もあるし内臓面が強くて、とにかく順調。長く活躍できると思います。馬名は見た目からつけられて、"二面性"という意味があるようです。

スパニッシュクイーン17(父フェノーメノ)はいかがですか。

加地厩舎長

父母ともに初めて扱う血統です。体力とスタミナがあるので、ある程度距離があったほうが良いかもしれませんね。気性も前向きだし、穴っぽい馬だと思いますよ。

この4頭以外に覚えておいた方が良い馬はいますか。

加地厩舎長

体の良さが光るサンレガーロ17(父ヘニーヒューズ)に注目してください。

加地厩舎長ありがとうございました。

最後は、T−2厩舎の藤澤通浩厩舎長です。よろしくお願いいたします。

藤澤厩舎長

私のほうから最初に紹介するのは、ワッツダチャンセズ17(父ディープインパクト)です。まだ410キロと小さいのですが、バネのある走りを見せていてセンスを感じます。

最初に挙がるということは、エース級なんですね。

藤澤厩舎長

続いては、ボンバルディーナ17です。しばらくディープインパクトが続いていたのですが、今年はオルフェーヴル。

1月生まれということもあって、早くからハードに調教を重ねられています。成長時期が早いので、早めにデビューさせて1つ勝ちたいですね。小回りというタイプではなく、東京や新潟といった広いコースで伸び伸び走らせたいです。

半姉にジュールポレール(父ディープインパクト)がいる血統の、サマーナイトシティ17(父オルフェーヴル)はいかがですか。

藤澤厩舎長

血統的には遅めですね。ただ、もっと内面が弱いかなと思っていたけど、毛艶も良いし思った以上の成長を見せてくれています。現時点ではお姉さんより、スピードがあるような気がします。

最後にスヴァラッシー17 (父エピファネイア)について教えてください。

藤澤厩舎長

母父がディープインパクトなんですが、ディープらしい柔らかさがあって、乗り役の評価が高いです。あくまでイメージだけですが、夏の新潟とかが合いそうな気がします。これは私の意見ですが、エピファ×母父ディープが今後トレンドになっていくような気がします。それだけ、この馬の状態は良いですよ。

他に注目馬はいますか。

藤澤厩舎長

血統だけでいうと、昨年の方がラインナップは揃っていましたが、状態は今年の方が良いですね。

その中でも期待しているのがソベラニア17(父キングカメハメハ)。1つ上が弥生賞2着のシュヴァルツリーゼ。順調にいけば出世は約束されたような馬ですので、かなり期待していますよ。

藤澤厩舎長ありがとうございました。

各厩舎、それぞれの個性が出ていて有意義な厩舎取材となりました。ぜひ皆さんも、今回選んでいただいた馬から、ドラフトで何頭か選んでみてはいかがでしょうか。

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