ノーザンファーム空港 場長インタビュー

「今年はしっかり作られていてディープインパクト産駒の層が厚い」

昨年は、3歳馬のワグネリアンが日本ダービーを勝ち、ブラストワンピースが有馬記念を制覇。2歳馬でも、朝日杯FSの覇者であるアドマイヤマーズを筆頭に、グランアレグリア、ダノンチェイサーなど次々とクラシックに有力馬を輩出しているノーザンファーム空港。昨年に引き続き、菅谷清史場長に話をうかがった。

昨年、現3歳世代に対して、(2歳時)12月までの勝ち上がり率が30%。そして勝ち鞍が延べ90勝と設定されたことをお聞きしましたが、その目標は達成されたのでしょうか。

菅谷場長

おかげさまで無事にクリアすることができました。

ものすごい記録ですよね。

菅谷場長

調教スタッフのみならず、牧場一丸となって成し得たものだと思っています。毎年同じですが、新馬戦が始まる前が1番気をもむと同時に、結果を見るのが楽しみでもあります。

昨年、6月の新馬戦から絶好のスタートを切りました。ホッとされたのではないですか。

菅谷場長

正直ホッとしました。新馬戦が始まる最初の週、6月3日の東京の新馬戦を勝ったのがグランアレグリアでした。

実際、昨年の取材でもグランアレグリアの名前を出す時は、菅谷さんの気合いも込められていたように思いました。

菅谷場長

自信のある1頭でした。勝ったから言うわけじゃないですよ(笑)。だからこそ、グランアレグリアには今年、何としてもG1を獲ってほしいですね(取材後、桜花賞を勝利)。

昨年の朝日杯FSは惜しくも3着でしたが、このレースを勝ったアドマイヤマーズも空港牧場育成の馬でした。

菅谷場長

勝ち上がり率が高まると、自然と大舞台でぶつかってしまいますので、番組選びから慎重に進めていきたいなと思っています。ただ、ここまで目標を達成できたというお話をしましたが、空港牧場育成馬で牡牝ともに2歳G1を勝利するという目標は、達成できませんでした。そこは宿題として、今年の2歳馬には頑張ってもらいます。もちろん、その手応えはありますよ。

手応えを最も感じるのは、どういったところですか。

菅谷場長

まず厩舎スタッフについてですね。毎年、各厩舎で課題が見つかります。それを解決することで得る経験は、何物にも代えがたい価値があると思うんですよ。それゆえに、1年1年成長しないとおかしいですし、実際に経験値が上がっていることを私は肌で感じています。

昨年、馬産地は大きな地震に見舞われました。その影響はありましたか。

菅谷場長

昨年9月6日に起こったのですが、ちょうど1歳馬の馴致が始まった時期でした。そして、地震の前日が台風だったんですよ。その時の突風で、昨年まであった周回コースが破壊されてしまって。

ただ、運よくというか、昨年12月の完成を目指して、別の場所に新しく周回コースを建設していたんです。ですので、予定が変わったのは、周回コースが使えなかった4カ月間だけでした。それがどう出るかは、これからですが、私自身は周回コースを新しく建設していて本当に助かったと思っているし、そんな中で各厩舎スタッフたちがよく対応してくれました。

それでは具体的な話を聞いていこうと思うのですが、まずは新種牡馬について、どんな印象をお持ちでしょうか。

菅谷場長

エピファネイアとリアルインパクトは、みんな体がしっかりしていていいですね。牝馬でも、体がしっかりしているというのは、育成に携わる者としては大変ありがたいことです。

エピファネイア産駒から注目馬を教えていただけますか。

菅谷場長

牡馬だとシーディドアラバイ17。前向きでスピードがあって、背中がよくて……って厩舎取材をした時に、聞き飽きたんじゃないですか(笑)。本当にいい要素を、すべて兼ね備えていますよ。他に言葉はいりません。あとは、エフティマイア17 と、牝馬ならアロマティコ17

厩舎でもオススメでした。

菅谷場長

私は、どの馬がいいかについて各厩舎長と打ち合わせしていませんからね(笑)。どちらも扱いやすいエピファネイアの仔。馬を見て、悪そうな印象はまったくないですよ。

正直なところ、リアルインパクト産駒は、そこまで注目していませんでした。

菅谷場長

ビシビシ鍛えられますからいいんですよ。ディープインパクトの仔は走る馬が多いけど、この時期は華奢で、扱う側は神経を使う。その点、リアルインパクト産駒は、早くから活躍してくれそうな馬体をしていますね。

「リアルインパクト産駒は19年の新馬戦線で活躍!」と書いてしまって大丈夫ですか。

菅谷場長

もちろんです! その中でも覚えておいてほしい名前は、アンティフォナ17です。あとは、黒くて体が立派なメジロヒラリー17スネガエクスプレス17

父譲りの快速馬ラテアート17

キズナ産駒のお話も聞かせていただけますか。

菅谷場長

体格が色々なタイプがいますので、どれがいいのか今のところ私には何とも言えません。ただ、バシッとハマった馬は必ずいるはずです。宿題にさせてください。

あとカレンブラックヒルも新種牡馬ですが、産駒のラテアート17もいいですよ。父親譲りのスピードがあります。誰が見ても走りそうな馬ですね。

お父さん超えに期待したいですね。それでは、ディープインパクト産駒について……。

菅谷場長

今年も走りますよ!

ですよね(笑)。その中でも注目馬を教えてください。

菅谷場長

今年目立つのはアパパネ17。かなり順調で注目ですよ。あとコンドコマンド17スターアイル17リアアントニア17シユーマ17ミュージカルウェイ17サファリミス17ミスパスカリ17メジロツボネ17……。

次々と出てきますね。

菅谷場長

甲乙付けがたくて選べないです。その中でも選べと言われたら、牡馬はスウィートリーズン17リッスン17 。牝馬はピラミマ17と、ここにきて一気に成長してきたヒルダズパッション17。これはいいんじゃないかなと思います。

POGファンも、最近はディープインパクトを負かす種牡馬探しを積極的にしているんですが、結局はディープが持っていっている気がします。

菅谷場長

今年は本当に順調にきています。去年は比較的、順調な馬と体力が足りない馬がはっきりしていました。

そういう意味でグランアレグリアは完成度の高さで選びやすかったけど、今年は熱いですよ! 全頭で底上げした印象ですね。

POG各誌で違う馬が載ったほうが面白いから、自分たちの目で選んでみてください。数打ちゃ当たる≠カゃなく数打ちゃ当たりが増える≠ニ思っていて大丈夫です。

ディープ産駒だけで話が終わってしまいそうなので、次に進みましょう。キングカメハメハ産駒はいかがですか。

菅谷場長

キンカメは1頭。レーヴディソール17。15−15をやっても走りに余裕があるし、非凡な才能を感じます。

「急激によくなった」エノラ17

続いてロードカナロア産駒をお願いします。

菅谷場長

キャレモンショコラ17。あとルージュクール17シャムロッカー17。牡馬はこの3頭ですね。

牝馬はサトノユリア17。これは早くいけるはずです。完成度が高く、走りにブレがありません。あと、ゆっくりめだけど、ラッキーライラックの半妹になるライラックスアンドレース17クルミナル17。あと、今日見ていいなと思ったのがエノラ17。この時期急激によくなる馬がいるんですよ。

続いてダイワメジャーについてお願いします。

菅谷場長

今年は頭数が少ないですね。いい種牡馬なんだけど、この世代はそんなに回っていないのかもしれませんね。

アドマイヤマーズが走ったので、見る目も変わりそうですね。

菅谷場長

ここはヴィヤダーナ17を推しておきます。始動も早いし、動きも力強いですよ。

続いて、先ほど難しいと話されていたオルフェーヴル産駒。

菅谷場長

難しいんじゃないんです、わからない(笑)。それでもいいのは、牡馬だとパレスルーマー17。牝馬ならローブティサージュ17ツルマルワンピース17コケレール17の3頭ですね。オルフェの仔は大きいのがよさそうなので、そういう面でこの馬たちはクリアしています。

ハーツクライも毎年、活躍馬が出てきます。

菅谷場長

今年はライフフォーセール17ムーンライトダンス17 がよさそうです。

他には、ブラックタイド産駒もいいと思いますよ。マルティンスターク17ファイナルスコア17

その2頭は、名前は挙がりましたが、厩舎では見ていないですね。

菅谷場長

それから、マジェスティックウォリアー産駒のフラーテイシャスミス17。これは体もしっかりしていて脚も速そうです。

あと、これは名前を出さなきゃいけないのが、ノヴェリスト産駒のディアデラノビア17ですね。

毎年、注目されているお母さんですよね。

菅谷場長

産駒が走りますからね。ただ、どうしてもちょっと性格に難がある馬が多くて……。今年も体は良いと思います。あとは燃えすぎないでレースに行ければ、相当楽しみな存在ですよ。

あと、ヴィクトワールピサ産駒からロレットチャペル17。ヴィクトワールピサの仔は、少々動きの重い馬がいますが、この馬はパリッとしていて、スピードがありそうです。

まだまだいますね。

菅谷場長

どの馬もいいから仕方ないですね。ルーラーシップも昨年に引き続き今年もよくて、メテオーリカ17ピサノグラフ17

牝馬ならトップセラー17 。そしてラキシス17は外せません。キンシャサノキセキ産駒も今年はいいですよ。

キンシャサノキセキ産駒なら、ヴィアメディチ17 が注目ですね。アドマイヤマーズの半妹です。

菅谷場長

お兄さんも、去年名前を出したけど、妹もいい雰囲気を持っています。同じくキンシャサノキセキ産駒のシーカーマ17。これは平田厩舎に入厩予定です。たぶん6月のレースに使うはずです。

今年は例年以上に6月の東京や阪神で、という声が多く聞かれます。

菅谷場長

ここ数年で、新馬戦のレベルが異常に高くなっていますからね。それだけ、日本全体の育成レベルが高くなっているということでしょう。うちだけでも1レースに、複数頭出走することがありますから。

ワンツーになったら複雑ですね。

菅谷場長

2着の馬も勝たせてあげたくなっちゃうけど、それは仕方ないでしょう。やって来たことは間違っていなかったんだと考えるようにしています。

本当に菅谷さんから、スラスラと名前が挙がって、全体的に層が厚いのだなと改めて感じました。

菅谷場長

1歳の12月の時点で2歳の成績は左右されると思っているんです。その時点で下地ができていないと、いざ調教スピードを上げると体がついていきません。

この世代は12月でしっかり基礎的な体力がついている馬が多かったんです。さっき華奢と話したけど、ディープインパクトの仔ですら例年よりしっかり作られています。そういう面で「今年のディープは層が厚い」と強調して書いてもらっていいですよ。

では、最後に今年の目標をお願いいたします。

菅谷場長

数字は去年より当然上乗せして、2歳の12月までに勝ち上がり率33%。勝ち星115勝。出走率78%という目標を掲げています。

あとは、世界に通用する馬づくりを現実のものにしていきたいですね。そのためにも、優秀な人材は欠かせないので、ホースマンシップを持ったスタッフが育つ環境を構築しているところです。その一環として、馬を扱う基本的な技術や思考を皆で引き続き、学びながらやっていこうと思っています。

今日は、いろいろお話いただきありがとうございました。

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