ノーザンファーム 吉田勝己代表インタビュー

「世界に通用する馬をもっと出していきたいですね」

今年も吉田勝己代表のインタビューをさせていただきます。よろしくお願いいたします。

吉田代表

もう、こんな時期なんですね。

POGの季節ですね。

吉田代表

3月頃に、渡り鳥がちょうど牧場の上を通過するんですよ。その様子を坂路小屋から毎年見るのが楽しみなんです。

群れをなして、かなりの数が飛んでくるんですね。

吉田代表

近くにウトナイ湖(苫小牧市)という湖があって、そこで鳥が休んでいるんですよ。津軽海峡を渡って、ちょうどいい地点なんでしょうね。

3月の渡り鳥を見ると、クラシックが始まるな、という気になるんじゃないですか?

吉田代表

こういった風景を見て、心を穏やかにしないといけないなと思います(笑)。

忙しくお疲れの中で、毎年、穏やかにお話していただいて本当に感謝しています。

吉田代表

そうですか(笑)。でも、私は疲れていないですよ。

毎週のように北海道から飛び回っていらっしゃるので、移動だけでも大変だと思います。

吉田代表

移動中は寝ているだけですから(笑)。体力を温存しながらやっていますよ。

渡り鳥と引っ掛けるわけではないですが、この春はグンと南に飛んで行くあの牝馬に期待が高まりますね。(※取材日は3月6日)

吉田代表

勝ちますよ。間違いなく大丈夫。

アーモンドアイの強さには、レースのたびに驚かされるばかりです。

吉田代表

ちょっと変わった馬で、出会ったことがないタイプ。毎回、全力を出し尽くしている感じだから、終わったらグッタリしているんです。

ちなみに昨年のインタビューでは、「ロードカナロア産駒はマイルまでは強い」と、お話しされていました。ですので、オークスやジャパンカップでの走りは、想像を超えていたのではないでしょうか。

吉田代表

まさか2400mで圧勝するとはね。「吉田勝己は競馬を知らなすぎる」と書いておいてくださいよ。

そんなことを書けるわけがありません(笑)。

吉田代表

でも、それくらい競馬とは難しいということですよ。でも今年のサートゥルナーリアは距離が延びても大丈夫じゃないですか。1年で考えを改めました(笑)。

2000mのホープフルSを、あれだけ楽勝すると距離の不安はあまり感じませんね。

吉田代表

本来はステルヴィオのようなマイラーが出やすい種牡馬なのは間違いないと思います。カナロアは1年目からG16勝。走るとは思っていたけど、本当に立派ですね。

近年の新種牡馬の中では大成功と言っていいのではないでしょうか。

吉田代表

素晴らしいですよ。最近は1年目で評価が決まってしまう部分もありますからね。あとで少し走っただけでは、覆せないというか。そういう意味で、1世代目と2世代目でG1ホースを出したのは、立派としか言いようがないです。

来年にドゥラメンテ&モーリス産駒デビュー

サートゥルナーリアの話が出ましたが、昨年2歳馬の勝ち星が、一昨年と比べて1割以上増加し、過去最高を記録したそうですね。

吉田代表

毎年、何かしら進化しないとダメなのでよかったなと素直に思います。その反面、3歳馬の勝ち星の数が伸びにくい印象ですね。

本来3歳で勝つ馬が2歳で勝っているから、勝ち星がスライドしているということでしょうか。

吉田代表

そういうことです。デビューが早まっているので、大半が2歳時に勝ち星を挙げてくれています。それに加えて、レベルが上がったこともあるのでしょうね。2勝、3勝と勝ち星を重ねることが難しい状況になっていると思います。

特に牡馬は、ここ数年クラシック戦線が混沌としているような気がします。日本ダービーでもドゥラメンテが勝って以来、1番人気馬が3年連続で勝つことができませんでした。

吉田代表

そういえばそうですね。

そのドゥラメンテも、いよいよ来年、種牡馬として初年度産駒がデビューします。

吉田代表

素晴らしい出来で楽しみしかないです。同じく来年にデビューするモーリスと、この2頭の仔たちは期待しておいてください。走れる状態にするのが我々の仕事です。走るのはわかっているのだから、邪魔せずに才能を活かしてあげることだけを考えています。

先ほど、お話しされていたように、初年度というのが重要になってくるんですよね。

吉田代表

その通りです。繁殖も厳選していますし、勝負ですね。

では、今年初年度を迎える新種牡馬について印象をお聞かせください。エピファネイア産駒は、勝己さんの目から見て、どんな印象をお持ちですか。

吉田代表

エピファネイア自身が、デビュー前から能力が高かったですからね。15−15だと思って乗っていても、13−13とか出ていたんです。段違いのスピードを持った馬でした。そのぶんコントロールが難しくて、本気で走ったのは、スミヨンが乗ったジャパンカップ1回だけじゃないですか。

あのレースは本当に強かったです。

吉田代表

そんなお父さんの仔ですから、素晴らしい能力が遺伝しているはずです。

お父さんのイメージにある気の難しさみたいな面は見られませんか?

吉田代表

うるさくないし、難しくないですよ。むしろ乗りやすいから安心してください。体は比較的大きい馬が多いですね。骨も丈夫だし走りにブレがなく、ダートでも活躍する馬が出てくると思いますよ。

マイルで強い馬が最も実力がある!

現2歳馬で注目のエピファネイア産駒はどの馬ですか。

吉田代表

一番早くデビューするのは、レッドソンブレロ17 (牡)ですね。6月阪神から行きます。7月に入ったら3〜4頭出てくるんじゃないかな。セリ(セレクトセール)前には、勝ち上がってもらいたいですね(笑)。

他に大物になりそうな馬はいますか。

吉田代表

早くない組ですが、ディアデラマドレ17(牝)はかなり奥がありそう。体重がまだ軽いので、これから増えていくはずです。9月にデビューする予定ですね。

あと、リアルインパクトの評価が非常に高いですね。

吉田代表

筋肉質なディープの仔というのが、種牡馬には適しているんじゃないですか。

3歳で安田記念を制しただけでなく、7歳でオーストラリアのG1を制するなど、息の長い活躍をした馬でした。

吉田代表

個人的にはマイルの馬≠ェ、一番力があると思っています。それが、しっかり産駒に伝われば走ってくれるだろうし、現時点では見映えの良い馬が多いですよ。かなりの確率で走ってくれると思いますよ。

やはりリアルインパクト産駒から目を離してはいけないですね。それでは、新種牡馬の産駒以外の具体的な期待馬についてお聞きしたいと思います。勝己さんが期待している馬を教えていただけますか。

吉田代表

みんな期待しています(笑)。それでも、一番良いのはタピッツフライ17 (牡・父ディープインパクト)だね。お姉ちゃんも相当な能力の持ち主だけど、弟も遜色ないと思います。6月にはデビューするだろうし、お姉ちゃんと同じように勝ち進んでいくんじゃないかな。年末のG1の結果は違うといいのですが(笑)。

ディープとお母さんの相性が良いから、素晴らしい仔が出ているのでしょうか。

吉田代表

そうでしょうね。お母さんは2歳時にブリーダーズカップのジュベナイルフィリーズターフを勝っています(当時は国際グレードなし)。ですので、完成も早いのでしょう。とはいえ、古馬になってからもG1を勝っているので、早熟ってわけでもないと思いますよ。

他に気になっている馬はいますか。

吉田代表

ダービー馬の半弟のラドラーダ17 (牡・父ダイワメジャー)。これもお母さんがすごい。走る馬しか出てきませんから。

毎年、ラドラーダの名前を聞いている気がします。

吉田代表

お兄さんの実績を抜きにしても、動きが違うからね。でも、こんな普通で大丈夫ですか? 中島場長は昨年、バゴの仔の名前を出したと聞きましたよ。あれを当てたのはすごいね(笑)。

クロノジェネシスですね。勝己さんにも穴で考えている馬はいますか。

吉田代表

今年も場長に聞いてください。私は馬を見る目がありませんから(笑)。

また(笑)。最後に牧場としての目標、今年の展望をお聞かせいただけますか。

吉田代表

毎年、各牧場で目標の数値を決めて、昨年も無事に達成することができました。常に昨年より勝ち星を増やして、強い馬を作るということは、今後も変わりません。

ただ、2010年以来、8年ぶりに日本馬が海外G1を勝つことができませんでした。毎年、日本馬のレベルは上がっているはずですから、何かしら海外で勝つには足りなかったということだと感じます。

コアなファン以外にも競馬を見てもらいたい

それだけ日本馬のマークが厳しくなったのでしょうか。

吉田代表

モレイラを乗せたことからも、「この日本馬は強い」ってバレましたね(笑)。

ファンの関心も海外のレースに向いています。

吉田代表

ファンの方たちはよく見ていますよ。日本馬が負けたのに、オッズがあまりつかない。それだけ海外のレースを見ていらっしゃるということで、競馬に携わっている人間としてはうれしいことです。

サッカーのW杯や、テニスの国際大会を見る感覚で、競馬を楽しんでいる人も多いと思います。

吉田代表

コアなファン以外に、競馬を見てもらえる場所を作るためにも、日本馬が海外で活躍することは必至ですね。凱旋門賞を勝てばNHKのニュースでも取り上げてくれるでしょうから。サクソンウォリアーのようなディープインパクト産駒がヨーロッパで頑張っていますし、もっと世界に通用する良い馬をうちの牧場から出していきたいですね。

ありがとうございました。この世代からもスーパーホースが誕生するはずです。

吉田代表

ありがとうございました。6月が本当に待ち遠しいです(笑)。

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