私の競馬はちょっと新しい
特別編 予想家 小林弘明さん
- 「いろいろな人に会って、もっと勉強していきたいと思っています」
- 1973年生まれ、東京都出身。自前のスピード指数をベースに、さまざまな要素を組み入れた予想を行い、フジテレビONE「競馬予想TV!」では高回収率を記録し多くの視聴者から支持を得ている。4月からJRA-VANで「先週の風」の連載を開始する。
ヒントが少ない2〜3歳戦は指数の精度が問われる
市丸:では、風からは少し離れて、予想の基本となっているスピード指数について教えてください。
小林:92年ころから使い始めましたが、風の要素を入れるなど徐々に独自路線に進んでいきました。
市丸:指数の計算に関して、こだわっているところはありますか?
小林:さきほども少し話しましたけれど、実測タイムを取っています。
市丸:ゲートが開いた瞬間から計測しているのですね。
小林:具体的には、勝ち馬についてタイムを実測して、ラスト1ハロンが12秒0で1馬身差なら0.15秒、1ハロンが10秒9なら1馬身で0.13秒、などと100分の1秒単位で算出しています。
市丸:終いがバタバタになっている馬と、バテずに脚を伸ばしている馬では、同じ1馬身でもタイム差が違ってくるわけですね。それを指数にすると差は「1」とか僅かですが……。
小林:半馬身に近いクビ差は「1」の差をつけたいとか、いろいろなことが積もり積もって全部やるようになって、それで時間がかかるようになってしまいました。そこまでの費用対効果はないと思うのですが……。ただ、時間の使い方も実力のうちですから、今年からはムダになる部分をやめようと、少し削っています。今まで、スーパー未勝利(秋に行われる未勝利戦最後の出走機会)で6着以下の実測時計なども出していましたが、その馬が後に中央競馬に出てくることはほぼありませんよね。
市丸:次に使えるものに力を注いでいくわけですね。
小林:また、着順が後ろの方の馬は、最後に流していたりもしますからね。別にそれで2.1秒差だろうと2.2秒差だろうと関係ない、と考えるようにして、やっと、少しだけ時間を短縮できるようになりました。また、馬券は最終的には「買い方」の問題もあって、そこがおろそかになってしまっては本末転倒で、平日の作業に忙殺されるのも良くないと考えています。
市丸:指数に関しては、小林さんはよく「跳ね上げ」と言っています。成長過程にある馬はさらに高い指数を出す可能性があるとか、次走でどれだけの指数を出すのか、というのが大きなポイントになっていますね。
小林:過去はあくまで過去で、特に2〜3歳戦では、今回どれだけ出すかが肝になります。ヒントが少ない中で、いかに精度の高い指数でアドバンテージを得て勝っていくか、そこを考えられる2〜3歳戦は好きですね。
市丸:古馬になって実力が固まると、どの馬も時計的な価値が人気に反映されやすくなってしまいますからね。
小林:指数を見なくても力関係がわかってしまうと、アドバンテージがありませんから。2〜3歳戦はキャリアが浅く、ヒントが1戦とか2戦しかない中で、指数の精度が低いと、まったくとんちんかんな答えを出してしまいます。結果、弱い人気馬を追いかけてしまったり、本当は強いのに人気がない馬を見落としてしまったりします。精度を上げることができれば、大きいのではないかと考えています。
市丸:最近の2〜3歳戦でなにかヒットはありましたか?
小林:コマノインパルスの葉牡丹賞(9番人気でレイデオロの2着)は、新馬戦(東京芝2000m2分5秒7)の指数は高かったのに人気がなかったですね。新馬戦はスローばかりで、勝ち時計を比較してもあまり意味がないので……。
市丸:スローペースの新馬戦を勝った馬が、次にペースが上がりそうなときにどう判断するかは難しいですね。
小林:馬によっても違いますよね。スローペースの補正については、改良に改良を重ねて、ラスト200mで補正をかけるようにしています。最近メールで「上がり3ハロンで補正をかけているけれど、うまくいかない」という質問を受けましたが、同じ33秒0でも、10秒5−10秒5−12秒0と、11秒0−11秒0−11秒0では中身が違うんですね。余力を判定するには、3ハロンではなくラスト200mを見るのがいいと思います。
市丸:ラスト200mは全馬を見て補正をかけているのですか?
小林:補正が入りそうなレースは見ています。新馬戦はほぼ全馬を取ることになりますし、全馬がバタバタでゴールに入ったレースは必要ないですね。基本は、2000mを2分ちょうどで走れば1ハロン平均が12秒0で、それよりラスト1ハロンを速く走ったら補正対象として考えます。ただ、それでは対象が多すぎるので、さらにコース形態や風向き、坂の有無などを考慮すると、11秒8でも補正が入らないこともあります。昔に比べて補正が入る馬は減って、今は本当に余力があった馬しか入れていません。そういった改良をして、だいぶ納得できるものになりましたし、成績も良くなりました。
(取材・文:市丸博司/パソコン競馬ライター)
(写真:森内智也)
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