私の競馬はちょっと新しい
特別編 予想家 小林弘明さん
- 「いろいろな人に会って、もっと勉強していきたいと思っています」
- 1973年生まれ、東京都出身。自前のスピード指数をベースに、さまざまな要素を組み入れた予想を行い、フジテレビONE「競馬予想TV!」では高回収率を記録し多くの視聴者から支持を得ている。4月からJRA-VANで「先週の風」の連載を開始する。
スピード指数で無視できない「風」の影響
市丸:いつも会っているだけに変な感じですが(笑)、今回はよろしくお願いします。
小林:よろしくお願いします。JRA-VANはパソコン通信でデータが提供されていた時代から使わせてもらっています。
市丸:そうでしたか、かなり長いんですね。ありがとうございます。さて、小林さんはスピード指数をベースに、当日の風の影響などを考慮して予想をしています。JRA-VANでも4月から「先週の風」という連載を始めますが、そもそも予想に「風」を組み込もうとしたきっかけを教えてください。
小林:競馬をはじめたころから時計は重視していて、早い段階から自作のスピード指数も活用していました。ただ、同じ日の同じ競馬場でも、距離によってタイムの出方に差が出てしまうことがあったんです。たとえば札幌競馬場を例に取ると、ダート1000mはすべてのレースが基準タイムより遅いのに、1700mでは逆にすべてのレースが基準タイムより速かったりという感じで。
市丸:同じ日の同じダートなのに、コースによって時計の出やすさが違うということですね。
小林:それには距離ではなく、なんらかの要因があると思っていたんですが、当時はまだグリーンチャンネルが開局してなかったんですね。それで、毎週広報コーナーへ行って、レースリプレイをビデオカメラで撮っていました。
市丸:画面に向けてカメラを構えて録画して、それを持ち帰って家で分析していたんですか? それはすごいですね(笑)。
小林:そうなんですよ(笑)。それを見て、ゲートが開いた瞬間からの実測タイムをとっていました。すると、札幌の1000mではスタート時に時計の旗を持っている人が映るんですが、その旗が向かい風方向にたなびいていたんです(注:JRAではレース距離よりも手前にゲートを設置し、数歩走ったところから計時が開始される。また、計時開始地点を通過したときに係員が旗を振り下ろす)。
市丸:旗を持っているだけでも大変そうな強風が吹くこともありますね。
小林:そのときも強風で、たまたま札幌競馬場に行っていた友達に聞いたら、やはり風が強かったと言うので、「これだな」と思いました。それから旗を頼りに風を見るようにしたら、これがしっくり来たので、ほぼひとレースごとに馬場指数を設定するようになりました。
市丸:ラップタイムがおかしかったり、距離によってタイムの出やすさが違ったりする理由には、実は風があるんだ、ということですね。
小林:それに気づいてから、もう20年以上になります。
市丸:競輪などの自転車競技では、前の選手を風よけにするという話もありますが、競馬では馬群に入っていたら関係ないとか、向かい風だと逃げ馬がバテやすいとか、そういったことはないんでしょうか。
小林:競馬においての風を長年見てきた限りでは、馬群全体に影響は出ますけれど、個々の馬にはそれほど関係ないようです。強風のレースを走った馬の次走を見ても、それほど指数が変化するということは無いですし、また、もし関係あれば、常に風を受けている逃げ馬がこれほど勝つことはありませんから。よほどの強風なら多少は考慮しますが、ふだんはそこまでではないです。
市丸:個々の馬について考えるよりも、全体のタイムが落ちた、速くなったということを考えた方がいいのですね。
小林:それが長年見た結論です。できれば、JRAが模型を使った風洞実験をしてくれるといいんですが(笑)。今のところは、馬群の中で馬の後ろにいてもそんなにアドバンテージはないと考えています。
(取材・文:市丸博司/パソコン競馬ライター)
(写真:森内智也)
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