私の競馬はちょっと新しい
第55回 漫画家 甲斐谷忍さん
- 「競馬の楽しさが伝わればいいなあ、と思います」
- 1967年生まれ、鹿児島県出身。大学卒業後、一般企業に就職し、その後漫画家に転身。「ONE OUTS」(ビジネスジャンプ)、「LIAR GAME」(週刊ヤングジャンプ)などのヒット作を送り出した。11年より「ジャンプ改」において、競馬を題材に描いた「ウイナーズサークルへようこそ」を連載中。
オグリキャップの有馬記念で競馬と出会う
市丸: | それでは、よろしくお願いします。 |
先生は鹿児島のご出身で、 | |
鹿児島大学の工学部を出られたそうですね。 | |
甲斐谷: | 「これからはコンピューターの時代だ!」と |
電子工学科に行っていました。 | |
市丸: | 大学に進まれる以前から興味をお持ちで? |
甲斐谷: | パソコンは中学のころから使っていましたし、 |
わりと得意でしたから、そういう分野に進もうと | |
あまり深く考えないで進みました。 | |
市丸: | 競馬ファンには、 |
学生時代に競馬に出会った方も多いと思いますが | |
鹿児島というと馬産はありますけれど、 | |
競馬とは縁の薄い土地柄ですよね。 | |
甲斐谷: | 学生のときに、 |
世間で言われる「競馬ブーム」が起きましたが、 | |
ぼくらのまわりには全然なくて、 | |
東京の大学へ行った友人が帰省してきたときに | |
話を耳にするくらいでした。 | |
市丸: | 漫画のほうはいかがでしたか? |
甲斐谷: | 漫画も描いてはいませんでした。 |
大学に入るまではゲームのプログラマーなどを | |
やってみたいと思っていたのですが、 | |
大学で4年間勉強していくうちに | |
「こういう仕事は向いてないな」と思ったんです。 | |
それで、卒業後は製紙メーカーの | |
プラント設計などをする仕事に就きました。 | |
その時点でも漫画は考えていませんでしたね。 | |
市丸: | では、どのようなきっかけだったのでしょう? |
甲斐谷: | サラリーマンになったらなったで、今度は |
「サラリーマンは向いてないな」と思って(笑)。 | |
市丸: | ええっ!?(笑) |
それで今度は漫画家を目指そうと? | |
甲斐谷: | ちょうどそのころ |
青年漫画誌の週刊化が進んだ時期だったんですね。 | |
青年誌に勢いがあって、 | |
漫画家が足りない状況だったんです。 | |
それで「今なら簡単に漫画家になれるだろう」と、 | |
漫画家を目指しました。 | |
市丸: | それまでも趣味では漫画を描かれていたのですか? |
甲斐谷: | 漫画のようなアプローチで描くことはなかったです。 |
落書きとかは好きでしたし、 | |
美術の成績も良かったですけれど、 | |
その程度でしたね。 | |
市丸: | 漫画家を目指すと決められて、 |
会社を辞められたのでしょうか。 | |
甲斐谷: | 自分にどれだけ力があるかわかりませんでしたから、 |
最初は会社に内緒で新人賞に応募していました。 | |
それで3つめの賞をいただいたときに | |
会社にバレてしまったんです。 | |
ただ、そのときに | |
「これだけ賞を取ったのだから頑張れば?」と | |
逆に応援して、送り出されるような形でした。 | |
市丸: | いきなり新人賞を3つも! 凄いですよね。 |
競馬と出会われたのもこの時期でしたか? | |
甲斐谷: | そうですね。 |
会社では富山に配属されたのですが、 | |
東京の大学を出て来る人も多かったんです。 | |
それで、年末年始に帰省しない人たちは | |
独身寮で年を越すわけですが、 | |
そのときにはじめて、 | |
オグリキャップの引退レースを見たんですよ。 | |
市丸: | あの有馬記念ですか! |
甲斐谷: | それまで、テレビをつけたら |
たまたま競馬中継をやっていたことはありましたが、 | |
あのときは、有馬記念の以前から | |
かなり特集が組まれていたんですね。 | |
それで、さすがに | |
オグリキャップについての知識はついていました。 | |
そんな中、みんなでオグリキャップの引退レースを | |
食堂のテレビで見ようという話になったんです。 | |
ああやって、みんなで競馬を見るというのは | |
初めての体験でした。 | |
市丸: | 盛り上がりますよね。 |
甲斐谷: | 先輩の一人が、オグリキャップが |
優勝したら泣いたんですよ。 | |
ぼくももらい泣きしそうになって、 | |
「競馬ってすごいな」と思いましたね。 | |
それからです、競馬をやりたいなと思ったのは。 |
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