私の競馬はちょっと新しい
第40回 競馬ライター 井内利彰さん
- 「自分の目とデータを分け隔てなく使えるように心がけています」
- 1976年生まれ、大阪府出身。大学卒業後に株式会社JRDBに入社。予想理論「調教Gメン」を操り、「競馬予想TV!」出演や、競馬誌の連載、書籍の執筆など、さまざまなメディアで活躍。その後フリーとなり、テレビやイベント出演、JRA-VANの「若駒情報(デビュー前)」執筆などを行っている。
4頭分の調教時計を同時に取る
市丸:調教時間の様子を拝見すると、たいへん多くの方がいらっしゃってお話しをされたり、「あの馬の時計を取って」と頼まれていることもありますね。
井内:厩務員の方が調教時計を知りたくても、3階のスタンドまで行くにはちょっと遠いですよね。ただ、わたしは厩務員スタンドで取っているので、むこうで取るのとは多少の誤差があっても目安にはなるので、頼まれることは多いです。また「取って」と言われると間違った時計は渡したくないですから、自分なりに努力していきました。
市丸:何人も同時に頼まれることはないのですか?
井内:ありますね。「頼むわ」「わかりました」と言った10秒もたたないうちに「俺のも頼むわ」。いや、2つも無理でしょ、と(笑)。無理なものは無理だと言ったほうがいいと思うタイプなので、そんなときは「すみません」と断っていたんです。ただ、それで「ああ、そうかあ」と言われると、とても寂しい感じになってしまって、なんとか2人分くらいは取れるようにしようと頑張りました。そうすると、今度は2人分取っているときに「ああ、俺のも、あそこあそこ!」って。これも「なんとかせなあかんなあ」と、ストップウオッチを3つにしてみました。
市丸:それで取れるようになったのですか?
井内:難しかったです。ただ、頼まれた時計をメモに書いて渡すときに、ハロンごとのタイム(14.0-12.5-12.0など)を足して全体の時計を出す計算時間が大きなロスになっていることに気づいたんですね。それで、Excelにラップタイムを入力すれば、自動的に足し算をしてくれるようにしました。
市丸:そうすると、今は3頭同時に……。
井内:いえ、それから、ついに3つでも足りないときが来たんですね(笑)。それで、まずはとにかくストップウオッチを買って、やってみたら取れたんですよ、1回。それで調子に乗って安請け合いしたら、その後、もう全然ダメなんですよ。取るだけならなんとかなっても、厩務員さんが馬を連れて帰りに行く5分にも満たない間に、時計を書いて渡すという作業が難しいんです。だから今は4つで取れるように頑張って、取れるようになったら来年の目標は5つということで(笑)。
市丸:パソコンに繋いで、パッパッと取れるようになるといいですよねえ。開発費がかかかりそうですけれど(笑)。
井内:それができたら楽ですね(笑)。
市丸:今は大阪から転居されて、栗東に住まわれていますね。
井内:佐々木先生とのおつきあいが始まってから格段に人脈が広がって、ご飯に誘われる機会も増えました。行くと自分の知らない話をたくさん聞くことができ、「昔はこうだった」とか、競馬ファンとしても楽しいですし、また、そんなお話しが後々に役立っていることにも気づいたんですね。ただ、日帰りではなかなかそういう機会も持てないですから、まずは一泊して水、木と2日間いることにしました。ただ、木曜までいると今度は金曜までいたくなって(笑)、栗東に住む決意をして07年の9月に転居しました。当初は大阪に比べれば不便でしたけれど、その後ショッピングモールができるなどいろいろと便利になって、今は不自由ないですね。いいところです。
市丸:栗東に住むようになってからは、毎日トレセンへ?
井内:トレセンが開いているときは火曜日から金曜日まで毎日です。土日はテレビやイベントの仕事がありますけれど、火曜から金曜までは必ず行っています。
市丸:土曜は東京で「競馬予想TV!」ですからね。
井内:「競馬予想TV!」といえば、以前、音無厩舎に取材にいって厩舎の前に立っていたら、初対面なのに先生が「ああ、井内くん!」と声をかけてくださったんです。どうしてご存じなのかと思いながら「はじめまして」とご挨拶すると、「知ってる知ってる、見栄晴くんと一緒に出ているでしょ?」と。あの番組をよく見て下さっていたんですね。それから音無先生とは親しくしていただき、橋口先生などいろいろな方も紹介していただきました。
安田隆行厩舎にて。安田先生を取材中
市丸:その「競馬予想TV!」のほかに、イベントや執筆活動など、お忙しいですね。また、無記名なのでご存じない読者の方がほとんどかと思いますが、JRA-VANではNEXTやケータイサービスで、デビュー前の若駒情報も執筆いただいています。
井内:かなり前から書かせていただいていますね。あのコラムは「いつデビューするか」という情報が必要なのですが、年が明けるとだんだんデビューする馬も減ってきますし、また坂路で51秒とか出している馬なら絶対に読者の方は知りたいでしょうから、顔見知りではない調教師の方にお話しを聞きにいく機会も多いんです。でも「JRA-VANの2歳馬情報で使わせていただきたいので」と言うと、「おお、そう、JRA-VAN載るの!」と快く取材に応じていただいています。また、あそこに載るということは勝ち負けになりそうだということですから、馬主さんにも喜んでいただけますね。見ておられる馬主さんも多いですし、JRA-VANのおかげで知り合った方も多いですよ。
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