私の競馬はちょっと新しい
第27回 漫画家 つの丸さん
- 「iPhoneアプリは「こんな時代になっているのか」と驚きました」
- 1970年生まれ、千葉県出身。91年に漫画家としてデビュー。94年より競馬を取り上げた「みどりのマキバオー」の連載を開始(週刊少年ジャンプ)すると大ヒットを収め、後にテレビアニメ化。現在は週刊プレイボーイでその続編「たいようのマキバオー」を連載中。
競馬に詳しいように思われプレッシャーだった
市丸:描くにあたっていろいろ取材もされたと思います。
つの丸:当時は牧場にも行ったことがなかった、厩舎も見たことがない、なにも知らずにちょっと本を見る、という感じでした。まだインターネットもさほど普及していませんでしたし。
市丸:でも、1巻からまったく違和感がありませんよね。
つの丸:それでどうも勘違いされ、競馬に詳しいみたいに思われてしまって(笑)。連載の途中ではじめて北海道に行きました。
市丸:最初の「みどり牧場」が鵡川にあるというだけで渋いなあ、と思ってしまいます(笑)。
つの丸:ものすごい競馬通みたいですよね(笑)。「有名な馬産地じゃつまらないよな」と思って地図を見ていたら、鵡川というあまり聞いたことがない地名があって、調べるとどうも馬産地らしい。また、字面もかっこいいので「おもしろいかな」と。それで詳しいように思われてしまってプレッシャーでした(笑)。
市丸:それと、あの「ミドリマキバオー」の独特の姿は(笑)。
つの丸:打ち合わせをして「ギャグ寄りの競馬にしよう」となったとき、描いてみるとどうしても「馬」になってしまうんです。これは「なんか違うな」と。それで担当の編集に描かせてみたら絵ごころがまったくなくて、ものすごい下手くそなんですよ。「これはひどいな」と(笑)。「馬」っていってこれを描くのかと大笑いして、でも、とても馬には見えないのが逆にいいなということになりました。馬を描けと言われて、常識的に考えたら描けないようなものを描いてしまう担当がすごかったんです(笑)。
市丸:でも、あれでまた独特の世界を作り出していますよね。それともうひとつ驚いたのは「チュウ兵衛」の存在ですが……。
つの丸:あれもディズニーで育った影響がありますね。あと、子供のころに「ガンバの冒険」(75年、日本テレビ系)というネズミを描いたアニメを見ていたのもあって、どこかでネズミを描きたいという思いがあったんです。それでアタマに載せてみました。
市丸:ただ、すごく大きな役割を担っていますよね。最初はサブキャラクターだと思っていたのですけれど。
つの丸:レースを描くにしても、アタマにネズミがいなかったら、もう少し馬と人間がうまくいかなかったと思います。競馬ってムチを入れるとか、かわいいキャラクターに対して厳しい部分もありますし、虐待的なイメージが出るのは怖かったのですけれど、仲介役としていい形になったと思います。
市丸:ほかに少年誌ということでのご苦労などはありましたか?
つの丸:絵としてはハミを描くのに苦労しましたね。口の中まで入れてしまうと少しかわいそうな感じに見えてしまうので。
市丸:執筆中に強い馬が出てきて、それをモチーフにしたことはありますか?
つの丸:よく言われますが、同じ時代というのはないんです。たとえば、強い牝馬が出てきたら「牝馬を出してみようか」というのはありましたけれど、エピソードとしては少しずつ過去の馬を参考にしたくらいです。
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