市丸：それでは、よろしくお願いします。

小倉：取材される側は緊張しますね。番組の生放送では緊張しないのですけれど……。また、市丸さんとこういう機会でお会いすることになるとは（笑）。

市丸：予想などもさせていただいていますけれど、本業はライターなので取材なども……。

小倉：素人の時代に、雑誌などで拝見していました。

市丸：申し訳ない（笑）。まず、小倉さんと競馬の出会いのあたりからお話を……。出身は青森とのことですが。

小倉：今はWINS津軽がありますが、以前は競馬に関する施設がほとんどありませんでした。民放も日本テレビ系とＴＢＳ系の２つしかなくて、毎週競馬を見るような環境ではなかったですね。競馬に興味を持つきっかけもなくて、スポーツ新聞を隅々まで読む子供だったのですけれど、競馬が一面になるような時期は「やっかいな期間」でした。「なんだ一面は競馬か、つまらない」と。

市丸：そんな状況から今に至るきっかけというのは？

小倉：競馬のゲームです。過去のインタビューでもいらっしゃいましたけれど（第８回　棋士・渡辺明さん）、わたしも競馬のゲームをやって「ちょっとおもしろいんじゃないか」と、高校くらいのときに一歩を踏み出しました。

市丸：その後、東京に来られてからさらに踏み込まれた感じですか。

小倉：18歳で上京したのですが、テレビで毎週競馬はやっていますし、競馬場も近くなりました。それから「グリーンチャンネルっていうのがあるんだ、加入しようか」と、どんどんのめり込んでいきました。

市丸：ゲームから入られた方でも、血統などで馬券にはまる方と、スポーツとしての面が好きな方といらっしゃると思いますが、小倉さんはいかがですか？

小倉：競馬の裏にあるドラマとか、スポーツとしての部分が好き、というのは今でも根底にはありますね。それで、馬券が当たればなお楽しい、と（笑）。

市丸：最初はどんな馬が活躍していたころだったのですか？

小倉：メジロマックイーンとか……、ただ、そのあたりは毎週見られる状況ではなかったですね。本格的にはスペシャルウィークの世代です。

市丸：最初はセイウンスカイ、キングヘイローとの３強だった世代ですね。

小倉：「武豊騎手って（スペシャルウィークで）ダービー初めてなのね」とか。あとグラスワンダーにエルコンドルパサーと。

市丸：中でも好きだったのは……。

小倉：スペシャルウィークです。ただ、馬券はその年（98年）にグラスワンダーの有馬記念で儲かったり……。スペシャルウィークが勝ったときはヒモが荒れることが多くて、馬券であまりいい思いをしたことはないです。

市丸：ダービーも２着はボールドエンペラー（14番人気）でしたしね。

小倉：ですから（翌年の宝塚記念や有馬記念でスペシャルウィークを下した）グラスワンダーが嫌いになるような事はなくて、あの世代はみんな好きです。セイウンスカイは「色」がありましたし、キングヘイローも良血で期待されながらなかなかＧ１を勝てなくて、でもまさかスプリントのＧ１（00年高松宮記念）を勝つなんていう驚きもあって。

市丸：エルコンドルパサーの凱旋門賞挑戦もありましたよね。

小倉：もうテレビにかじりついて見ていましたね。エルコンドルパサーは早く亡くなってしまいましたけれど、なんとか血が残ってくれたらと思いますし、15年、20年経っても彼らの血は追いかけるのかな、と思っています。

市丸：こうして振り返ると、すごい世代でしたよね。

小倉：あと、実はひとつ上の世代にサイレンススズカがいて……。あの毎日王冠（98年）はしびれましたねえ。

市丸：あんな毎日王冠、ないですよね。競馬場もものすごい人で。

小倉：無敗のグラスワンダー、エルコンドルパサーに、サイレンススズカも出てきて……、もう伝説的なレースですね。