私の競馬はちょっと新しい
第10回 旅打ちライター 井上オークスさん
- 「自分が見てきたものを生かしてリアリティのある競馬小説を書きたいです」
- 佐賀県生まれ、愛媛県出身。大学在学中にエッセイコンテストに応募したことをきっかけにライターとしてデビュー。現在は新聞、雑誌等での執筆活動のほか、テレビやイベントにも出演するなど多方面で活躍中。趣味は競馬のあるところ全国各地を飛びまわる「旅打ち」。
大学を卒業してすぐにライターとしてデビュー
市丸:その後は毎週のように競馬場に通っていたような感じでしたか?
井上:いえ、(住んでいたのが)京都といっても奈良寄りの京都で、往復1000円くらいはかかってしまうので……。毎週とはいかないけれど、行けるときは行く、という感じでした。あとはテレビで見たり。
市丸:そのころ、競馬の何に引かれましたか?
井上:最初のころに万馬券が当たったのが一番だと思います。オークスでメジロドーベルが1着、ナナヨーウイングが2着になって(馬連1万2250円)、「これはすごい!」と。もともとギャンブルみたいなものが好きで、子供のころから花札とか、パチンコのおもちゃで遊んでいたりしたのもあって、それに「走る」ということがマッチしたのかもしれません。
市丸:走るのは小学校のころから得意だったのですか?
井上:全然速くなかったんですけれど、長距離なら練習をすればある程度は伸びるので……。
市丸:どのくらいの距離を?
井上:800mと3000mですね。
市丸:800mってすごくキツい印象がありますけれど……。
井上:乳酸が溜まって(笑)。
市丸:それから、大学の「陸上同好会」で競馬に出会って、その後に応募したコンテストで、優勝されたのですね。
井上:そうですね。応募人数は三十数人とかだったのですけれど。
市丸:卒業後は、一度どこかに就職されたりは?
井上:していないです。コンテストが卒業間際だったのですけれど、ライター志望ということを言っていたら「競馬の達人」を紹介していただきまして、それでぼちぼち仕事を……。
市丸:まったく就職しないで突然ライターになったわけですよね。すごいなあ……。
井上:1年くらいでまったく仕事がなくなってしまいましたけれど……。
市丸:そのあとはどうされていたのですか?
井上:飲食店で働いたりしていました。
市丸:会社に勤めようとは思われませんでしたか?
井上:思わなかったですね。ライターを諦めたわけではなかったので、時間に融通が利くのが良かったですし、あと勉強にもなりそうだったので。
市丸:それで、ときどき書きながら「旅打ち」に出たり……。
井上:平日は近くの園田に行って「地方競馬も面白いな」と。ますます賭け事にはまって……、日払いのバイトはやばいですね(笑)。
市丸:もらったお金持ってそのまま、みたいな(笑)。それで馬券で儲かったら、もう少し遠くへ行ってみようとか。
井上:うまく資金がまわったためしがなかったので(笑)。そんな感じで2年くらいやっていたのですが、競馬の仕事から離れていってあまり「書く」ことをしなくなって。それで「これはやばい」と思って「旅打ち」に出ました。
市丸:そのころ、なにか印象に残るようなことはありましたか?
井上:西原さんが大けがから復帰される前、その取材で「リハビリを取材するのは辛いな」とか思っていたんです。でも、すごく前向きにリハビリをされていて、とても勇気づけられました。その後「旅打ち」に出たのですけれど、そのことと、西原さんが復帰して初めて勝ったレースのことを書いて「優駿」のエッセイ賞に出したら佳作に入りました。それからだんだんと競馬の仕事がくるようになって、息を吹き返しました(笑)。
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