私の競馬はちょっと新しい
第7回 ノーザンファーム空港 調教主任 犬伏健太さん
- 「競走馬の育成は経験の積み重ねです」
- 1973年生まれ、大阪府出身。大学卒業後にノーザンホースパークに就職。現在はノーザンファーム空港の調教主任として競走馬の育成に携わる。昨年はオウケンブルースリが菊花賞を制するなど、活躍馬を続々と輩出中。
もっとも大切なのはオーナーに喜んでもらうこと
市丸:今は「調教主任」をされているそうですが、朝から拝見していると、ほとんど調教師のようなお仕事ですね。
犬伏:そうですね。トレーナーだと思っています。
市丸:主任としてはどのくらいになりますか?
犬伏:主任としてはまだ3年くらいですね。私は概ね5〜6年くらいで「厩舎長」になって、そのつぎに調教主任になりました。
市丸:その厩舎長というのは、どういったお仕事なのでしょう?
犬伏:わたしが厩舎長だったころと今は状況が違う部分もありますが、基本的には厩舎長が自分の厩舎の馬の調教メニューを考えたり、健康面を管理したり、一日の仕事の流れを作ったりしています。
市丸:その上に調教主任がいて……、いくつかの厩舎をまとめて見られるのですか?
犬伏:わたしは都合で1厩舎になっていますが、基本的には2厩舎くらいを見ることになっています。
市丸:1厩舎あたりどのくらいの頭数になりますか?
犬伏:わたしの厩舎では2棟で56頭です。これがノーザンファームで一番大きな厩舎ですね。建てた時期にもよって違うのですがノーザンファームの場合は、平均すると40頭くらいになると思います。
市丸:一日の流れはどのような感じでしょうか。
犬伏:朝5時くらいに職場に来て、スタッフから報告を受けたり打ち合わせをして、1鞍目を乗り始めるのが6時くらいです。それから調教、手入れと1鞍がだいたい1時間半くらいで、午前中に4鞍乗るとちょうど昼になりますね。
市丸:調教というと朝のイメージが強いですけれど、午後のお仕事というのは?
犬伏:日によって違いますね。昼休みが2時間ほどありまして、午後はお客様の対応をしたり、なにもない日は管理馬の状態をチェックしたり、その日その日に合わせた仕事になります。それから夕方、もう一度スタッフからの報告と打ち合わせがあって、厩舎は5時くらいに終わります。そのあとはデスクワークとか。
市丸:「そのあと」もあるんですか!
犬伏:7時くらいまでですかね。新人の練習とかもありますし、6時より前に帰ることはほとんどないです。夕方には必ず今後の予定を考えるので……。
市丸:予定といっても短期的なものと、長期的なものがありますよね?
犬伏:基本的に主任が長期的な部分を組んで、短期的なものは厩舎長に任せる形なのですが、都合で今は両方やっています。自分がやりたい、というのもありますが(笑)。
市丸:管理する調教師さんによっても、いろいろな方がいらっしゃいますよね。ここまで作ればあとはこっち(トレセン)でやるとか、使えるくらいまで仕上げて欲しいとか。
犬伏:ケースバイケースですね。どこまで要求されているのか、こちらでどこまでやりたいのか、それを調整するのがわたしの仕事です。
市丸:やはり調教師の先生の意向が一番になるのでしょうか。
犬伏:それもありますが、一番重要視するのはオーナーの意向ですね。わたしたちは財産をお預かりして、お金をいただいてやっているわけですから。
市丸:ただ、オーナーといっても、馬のことを良くご存じな方ばかりではないですよね?
犬伏:熟知されている方もいらっしゃいますが、皆さんがそうというわけではないですから、必要とあらば進言もします。「この馬は体質が弱くて、今すぐ調教のレベルを上げると故障してしまいます。待ってあげれば、我慢してあげれば必ず走りますから」とか。
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