過去データを分析して予測モデルを作成する場合には、データが多ければ多いほど良いのです。
しかし競馬では、競馬場が年々整備され、またレース展開も変わってきているために、あまり過去のデータを使用すると逆に予測精度が落ちることが懸念されます。
最近では、2006年に阪神競馬場、2003年には東京競馬場において改修が行われています。そこで、阪神・東京競馬場における改修前後の競走馬の速度変化を調べてみました。
上の図は、阪神競馬場の芝1600 mのレースについて、改修前後それぞれ6ヶ月間に出走した各競走馬(上位 5頭)のスタートからゴールまでの速度(以下、走破速度)〔図1〕と上がり3F速度〔図2〕の速度変化を調べたものです。
阪神競馬場においては、走破速度、上がり3Fの速度共に改修後に速くなっていることがわかります。平均速度を求めると、走破速度は以前に比べて分速約14.4m/分(タイムで約1.4秒)速くなっています。
上の図は、東京競馬場の芝2000 mのレースについて、改修前後それぞれ13ヶ月間に出走した各競走馬(上位 5頭)の走破速度(図3)と上がり3F速度(図4)の速度変化を調べたものです。
東京競馬場においては、走破速度に大きな差はありませんが、上がり3Fの速度は改修後に速くなっていることがわかります。
ちなみに、JRAのホームページにある「JRAのあゆみ」をみると、以下の通り改修工事が行われたことがわかります。
・平成9年(1997) 6月福島競馬場がリニューアルオープン
・平成11年(1999) 7月小倉競馬場で馬場改造とスタンド改築の全面改築工事竣工
・平成13年(2001) 7月新潟競馬場新スタンド(NiLs21)完成、周回コースは左回りとなり直線芝1000 mコースを新設
・平成15年(2003) 4月馬場改造および第 1期スタンド改築工事が竣工した東京競馬場がリニューアルオープン
・平成18年(2006) 12月阪神競馬場に外回りコースを新設
※以上のように競馬場改修前後での走破速度に大きな変化が見られるので、データマイニング分析を行う 2000年以降のデータのうち、新潟競馬場は
2001年7月以降、阪神競馬場は、分析時点(2007年 7月)では競馬場改修後の蓄積データが少なかったため改修前までのデータも使用しましたが、現在毎週更新している予測モデルは、改修後のデータのみ使用しています。
したがって、現在JRA-VAN NEXTサービスにおいて提供している予測結果は、すべて改修後のデータを使って予測した結果となります。