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第1159回 将来性を見抜けるか!? スワンを分析

2017/10/23(月)

今週は日曜日に天皇賞(秋)が控えているが、その前に土曜日に京都で行われるスワンSにも注目してみたい。マイルCSの前哨戦として位置づけられるレースで、実力馬の出走は多い。特に近年はその他のG1レースでの勝ち馬も続々と出ている。そんな同レースの分析をいつものように過去10年の結果から考えてみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した

■表1 スワンS出走馬の年齢別成績(過去10年)

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
3歳 3-  1-  0- 16/ 20 15.0% 20.0% 20.0% 142 130
4歳 4-  4-  4- 20/ 32 12.5% 25.0% 37.5% 80 150
5歳 1-  4-  4- 41/ 50 2.0% 10.0% 18.0% 8 74
6歳 2-  1-  1- 34/ 38 5.3% 7.9% 10.5% 37 33
7歳 0-  0-  1- 11/ 12 0.0% 0.0% 8.3% 0 33
8歳 0-  0-  0-  6/  6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

まずは過去10年のスワンS出走馬の年齢別成績を見ていく(表1参照)。3歳馬にとっては秋華賞や菊花賞が大目標となるレースだが、案外出走馬はいる。13年から15年まで3連勝をマークしており、近年活躍が目立つ傾向である。09年には16番人気のアーリーロブストが2着に激走するなど、意外性もある。14年のミッキーアイルは春にNHKマイルCを勝っていた馬だが、過去の実績はそこまで必要ない。芝の重賞勝ちの実績がある程度でも、ここでは通用するケースがある。

2014/11/1 毎日放送賞スワンステークス(G2) 1着 11番 ミッキーアイル

4歳馬は【4.4.4.20】という成績。複勝率37.5%は優秀で、好走率の高さが目立つ。07年スーパーホーネット、08年マイネルレーニアが勝利。11年にはリディルが勝利と、前走芝1600mのオープン特別を勝ってきた馬がその勢いで駆け抜けてくるケースが目立つ。

5歳馬は昨年、サトノアラジンが勝利したが連下候補という印象。2着、3着馬の数が多くなっている。とはいえ6歳馬が【2.1.1.34】なので、若い馬だけに勝機があるわけではない。ベテランの馬にもチャンスはある。それでも7歳以上になると厳しい傾向。割り引きが必要になるだろう。

■表2 スワンS出走馬の脚質別成績(過去10年)

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
逃げ 3-  2-  2-  3/ 10 30.0% 50.0% 70.0% 324 310
先行 2-  3-  2- 32/ 39 5.1% 12.8% 17.9% 30 108
差し 4-  3-  3- 50/ 60 6.7% 11.7% 16.7% 40 60
追い込み 1-  2-  3- 44/ 50 2.0% 6.0% 12.0% 8 37

次に脚質別成績を見ていく(表2参照)。注目は逃げ馬の好走率の高さ。【3.2.2.3】で複勝率は70%ある。10年は10番人気のジョーカプチーノが3着に粘るなど、伏兵馬の残り目も十分ある。常に目が離せない存在になるだろう。先行馬と差し馬ではほぼ互角だが、若干先行馬の方が好走率は高い。追い込みは連対までとなるとやや厳しい印象。3着候補だ。

■表3 スワンS出走馬の枠順別成績(過去10年)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1枠 1- 1- 1-13/16 6.3% 12.5% 18.8% 19 71
2枠 0- 1- 0-16/17 0.0% 5.9% 5.9% 0 37
3枠 0- 0- 2-16/18 0.0% 0.0% 11.1% 0 82
4枠 0- 1- 1-18/20 0.0% 5.0% 10.0% 0 22
5枠 0- 1- 2-17/20 0.0% 5.0% 15.0% 0 71
6枠 4- 3- 0-13/20 20.0% 35.0% 35.0% 119 171
7枠 3- 1- 3-17/24 12.5% 16.7% 29.2% 119 124
8枠 2- 2- 1-19/24 8.3% 16.7% 20.8% 70 52

次に枠順別成績を見ていく(表3参照)。傾向としては一目、外枠が強い。6枠の4勝を筆頭に、7枠が3勝、8枠が2勝と勝ち馬が外目の枠に集中している。2〜3着馬も多く、かなりかたまっている印象だ。その一方で、2〜5枠がかなり不振。一般的には枠順の有利・不利はないコースではあるが、これほど偏りが出るのはめずらしい。外枠から内目の馬を見ながらレースを進めるほうが理想的なのかもしれない。

■表4 スワンS出走馬の人気別成績(過去10年)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1番人気 2-  1-  0-  7/ 10 20.0% 30.0% 30.0% 56 41
2番人気 2-  0-  1-  7/ 10 20.0% 20.0% 30.0% 95 51
3番人気 3-  2-  1-  4/ 10 30.0% 50.0% 60.0% 190 159
4番人気 1-  2-  1-  6/ 10 10.0% 30.0% 40.0% 86 112
5番人気 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 94 66
6番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0 88
7番人気 0-  0-  1-  9/ 10 0.0% 0.0% 10.0% 0 44
8番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 205 156
9番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0 63
10番人気 0-  1-  3-  6/ 10 0.0% 10.0% 40.0% 0 328
11番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
12番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
13番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
14番人気 0-  0-  0-  8/  8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
15番人気 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
16番人気 0-  1-  0-  5/  6 0.0% 16.7% 16.7% 0 288
17番人気 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

表4は人気別の成績。馬券的には波乱傾向のレースだが、荒れ方としてはやや独特だ。二けた人気馬が絡むケースは案外少ない。1番人気が弱く、中位人気同士の組み合わせで決まるケースが多々ある。元々オッズ的にもバラつきがあり、難しい傾向だが、狙いどころは絞りにくい。

■表5 過去10年のスワンS好走馬

着順 馬名 人気 前走レース名 前着 主な実績
16年 1 サトノアラジン 2 安田記念G1 4 京王杯SC1着
2 サトノルパン 8 スプリンG1 7  
3 エイシンスパルタン 6 京王杯スG2 7  
15年 1 アルビアーノ 2 オータムHG3 7 NHKマイルC2着
2 フィエロ 1 安田記念G1 4  
3 オメガヴェンデッタ 4 キーンラG3 4 京王杯SC3着
14年 1 ミッキーアイル 1 安田記念G1 16 NHKマイルC1着
2 サンライズメジャー 4 ポートア 3  
3 フィエロ 2 安田記念G1 8  
13年 1 コパノリチャード 8 ポートア 16  
2 ダイワマッジョーレ 4 安田記念G1 9 京王杯SC1着
3 サダムパテック 10 安田記念G1 13  
12年 1 グランプリボス 3 毎日王冠G2 6 安田記念2着
2 テイエムオオタカ 6 オパール 1  
3 アドマイヤセプター 7 白秋S1600 1  
11年 1 リディル 1 米子SH 1  
2 ジョーカプチーノ 3 キーンラG3 9 京王杯SC3着
3 オセアニアボス 10 オータムHG3 4  
10年 1 マルカフェニックス 3 スプリンG1 9 京王杯SC2着
2 ショウナンアルバ 9 セントウG2 11  
3 ジョーカプチーノ 10 東京優駿G1 18  
09年 1 キンシャサノキセキ 4 スプリンG1 12  
2 アーリーロブスト 16 白山大G3 3  
3 マルカフェニックス 3 スプリンG1 8 阪神C1着
08年 1 マイネルレーニア 5 ポートア 1  
2 ローレルゲレイロ 3 高松宮記G1 4 阪急杯1着
3 ジョリーダンス 8 スプリンG1 13 阪神C2着
07年 1 スーパーホーネット 3 ポートア 1  
2 フサイチリシャール 10 セントウG2 12 阪神C1着
3 ドラゴンウェルズ 5 セプテン1600 1  

最後に過去10年のスワンS好走馬を記しておく(表5参照)。前走レースとしては安田記念とスプリンターズSが多い。ただ、前走安田記念組は13年以降のここ数年に集中している。それ以前はスプリンターズS組の好走が多かった。それ以外のレースではオープン特別のポートアイランドSからの出走馬が多い。しかし、実際の好走馬はかなり多様。芝1200mのレースもあればダートグレードもある。1600万クラス組はやや苦しいが、3着ならば好走馬が出ている。高松宮記念や日本ダービーからの直行もある。前走レースに関しては、どこからでも狙えると見た方がいいだろう。

過去の実績としては同年の東京芝1400〜1600mのG2以上で好走実績がある馬に注目したい。具体的には京王杯SCやNHKマイルC、安田記念で好走していた馬が多い。昨年優勝のサトノアラジンや、アルビアーノ、ミッキーアイルなど、近年の勝ち馬が該当する。当日上位人気になるタイプかもしれないが、連軸としては有力視できるだろう。

あとは前年の阪神Cや同年の阪急杯好走馬にも注目。同じ1400mのレースとして関連性が高い。07〜09年にかけては多数の好走馬が出ている。近年は出ていない点がやや気になるが、レースレベルとしては変わっていないのでいつまた好走馬が出てもおかしくはないだろう。

2016/10/29 毎日放送賞スワンステークス(G2) 1着 11番 サトノアラジン

 

あとは冒頭で述べたように後にG1で好走する馬が多く出ている。スーパーホーネットやキンシャサノキセキ、グランプリボス、コパノリチャード、そして近年はミッキーアイル、サトノアラジン。本番のマイルCSだけでなく、その後のスプリントG1や、安田記念の好走馬が出ている。マイル以下のレースで将来性がある馬を見抜けるかも予想のカギになるだろう。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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