データde出〜た
第1148回 オークス組の取捨がカギを握るローズS
2017/9/14(木)
今週日曜には阪神競馬場で、秋華賞トライアルのローズSが行われる。過去10年の秋華賞馬10頭中7頭を輩出する、最重要ステップだ。そのため、春のクラシック・オークス以来の出走となる馬も数多いが、一方で近年は条件戦組の好走も多く、オークス組がどこまで信頼できるか、その取捨がカギを握る一戦である。今年はどんな結果になるのか、過去の傾向を探りたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV、馬天楼 for データde出〜たを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 過去6年 |
1 | 5-2-1-2/10 | 50.0% | 70.0% | 80.0% | 113% | 100% | 4-1-0-1/6 |
2 | 1-2-1-6/10 | 10.0% | 30.0% | 40.0% | 25% | 54% | 1-1-1-3/6 |
3 | 0-0-2-8/10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 34% | 0-0-1-5/6 |
4 | 1-0-0-9/10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 116% | 45% | 0-0-0-6/6 |
5 | 1-0-1-8/10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 282% | 95% | 0-0-0-6/6 |
6 | 0-1-1-8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0% | 106% | 0-0-1-5/6 |
7 | 2-0-1-7/10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% | 354% | 144% | 1-0-1-4/6 |
8 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | 0-0-0-6/6 |
9 | 0-2-1-7/10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0% | 190% | 0-1-1-4/6 |
10 | 0-1-2-7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0% | 240% | 0-1-1-4/6 |
11〜 | 0-2-0-51/53 | 0.0% | 3.8% | 3.8% | 0% | 72% | 0-2-0-29/31 |
過去10年、1番人気は【5.2.1.2】で連対率70.0%の好成績。ただ、その他は好走馬が分散しており、9〜10番人気でも複勝率は30.0%。昨年はそのひとつ下、11番人気のクロコスミアが2着になっているため、10番人気前後の馬にも好走のチャンスは十分ある、くらいに考えたい。特にここ6年の連対馬は、1〜2番人気以外なら7番人気以下。昨年も断然人気・単勝1.6倍のシンハライトが優勝し、前述の11番人気・クロコスミアがハナ差2着で、馬単万馬券になっている。
■表2 枠番別成績
枠 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 6番人気以下 |
1枠 | 1-2-1-11/15 | 6.7% | 20.0% | 26.7% | 25% | 123% | 0-1-1-9/11 |
2枠 | 1-1-2-12/16 | 6.3% | 12.5% | 25.0% | 176% | 273% | 0-1-2-10/13 |
3枠 | 1-0-0-17/18 | 5.6% | 5.6% | 5.6% | 13% | 6% | 0-0-0-10/10 |
4枠 | 2-1-0-15/18 | 11.1% | 16.7% | 16.7% | 17% | 18% | 0-0-0-8/8 |
5枠 | 2-1-1-15/19 | 10.5% | 15.8% | 21.1% | 75% | 72% | 0-1-0-10/11 |
6枠 | 1-2-1-16/20 | 5.0% | 15.0% | 20.0% | 7% | 23% | 0-0-0-12/12 |
7枠 | 0-3-3-17/23 | 0.0% | 13.0% | 26.1% | 0% | 146% | 0-3-1-14/18 |
8枠 | 2-0-2-20/24 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 147% | 84% | 2-0-1-17/20 |
枠番別では、7枠以外からすべて優勝馬が出ている一方で、複勝率ではその7枠が、1枠(26.7%)に次ぐ2位の26.1%。3枠【1.0.0.17】同5.6%は明らかに悪いが、特に内外で有利不利はなさそうに見受けられる。 ただ、表の右に記した6番人気以下にかぎった成績を見ると、3〜6枠は【0.1.0.40】で、08年にムードインディゴ(5枠10番)の2着があるのみ。1〜2枠は【0.2.3.19】で複勝回収率227%、7〜8枠は【2.3.2.31】で同119%。穴馬を買うなら内か外を引いた馬からまず選びたい。
■表3 前走クラス別成績(芝のみ)
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
未勝利 | 0-1-0-3/4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 737% |
500万下 | 1-1-1-30/33 | 3.0% | 6.1% | 9.1% | 36% | 46% |
1000万下 | 0-0-7-21/28 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0% | 108% |
1600万下 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
OPEN特別 | 0-1-0-5/6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 115% |
G3 | 0-1-1-4/6 | 0.0% | 16.7% | 33.3% | 0% | 128% |
G2 | 0-1-0-1/2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 440% |
G1 | 9-5-1-42/57 | 15.8% | 24.6% | 26.3% | 134% | 70% |
前走クラス別の成績を見ると、G1組が10勝中9勝をマーク。冒頭でも触れたようにオークス以来の出走馬が多く、オークス組は合計で【8.5.1.35】、回収率は単勝153%、複勝80%となり、1着候補はオークス組から選ぶのが妥当だ。一方、3着には条件戦出走馬も多く、特に1000万条件組は、連対なしながらも3着7回。近6年の3着馬のうち5頭は1000万条件組が占めている(残る1頭は500万)。なお、表3は前走が芝の馬だけを対象としたが、ダート組は計【0.0.0.16】で、07年ニホンピロシェリー(前走500万・小倉ダート1700m5馬身差勝ち)の5着が最高である。
■表4 前走オークス組の好走馬
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走人気 | 前走着順 | 主な実績 |
07 | ベッラレイア | 2 | 2 | 1 | 2 | フローラS |
08 | マイネレーツェル | 7 | 1 | 9 | 9 | フィリーズR |
09 | ブロードストリート | 5 | 1 | 6 | 4 | スイートピーS |
レッドディザイア | 1 | 2 | 2 | 2 | 桜花賞2着 | |
10 | アニメイトバイオ | 4 | 1 | 11 | 4 | 阪神JF2着 |
エーシンリターンズ | 5 | 3 | 7 | 14 | エルフィンS | |
11 | ホエールキャプチャ | 1 | 1 | 2 | 3 | クイーンC |
マイネイサベル | 10 | 2 | 6 | 6 | 新潟2歳S | |
12 | ジェンティルドンナ | 1 | 1 | 3 | 1 | 桜花賞 |
ヴィルシーナ | 2 | 2 | 2 | 2 | クイーンC | |
13 | デニムアンドルビー | 1 | 1 | 1 | 3 | フローラS |
14 | ヌーヴォレコルト | 2 | 1 | 2 | 1 | オークス |
15 | ミッキークイーン | 1 | 2 | 3 | 1 | オークス |
16 | シンハライト | 1 | 1 | 1 | 1 | オークス |
表4は、カギを握る前走オークス組の好走馬14頭である。以前はオークス凡走馬でもチャンスはあったが、12年以降は傾向に大きな変化があり、ここ5年の好走馬はすべてオークスで3番人気以内かつ3着以内。この「オークス3番人気以内3着以内」は過去10年でも【5.4.0.1】で、連対を外したのは10年4着のアパパネしかいない。 ただ、オークス4番人気以下や4着以下の馬も6〜10年前には5頭好走しており、もしこのタイプを買うなら、オークスでは6番人気以下、そして今回も4番人気以下の馬。加えて、オープン・重賞優勝実績(5頭中4頭)か、G1で2着(1頭)の実績を持つことが条件だ。
■表5 前走重賞(オークス以外)からの好走馬
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 |
07 | ダイワスカーレット | 1 | 1 | 桜花賞 | 3 | 1 |
08 | ムードインディゴ | 9 | 2 | クイーンS | 11 | 8 |
レジネッタ | 1 | 3 | クイーンS | 1 | 2 | |
16 | クロコスミア | 11 | 2 | フローラS | 8 | 14 |
前走でオークス以外の重賞に出走していた好走馬は4頭のみである。このうち、ダイワスカーレットとレジネッタは桜花賞馬。ムードインディゴは阪神でオープンの忘れな草賞勝ちがあり、昨年のクロコスミアは1800mで牡馬相手に札幌2歳S3着(ほかにアルテミスS3着)。単に重賞に出走していただけでは通用せず、阪神や、同距離となる芝1800mで一定の実績は必要だ。
■表6 前走条件戦からの好走馬
年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走 | 人気 | 着順 | 重賞経験 |
07 | レインダンス | 3 | 3 | 三面川特別 | 2 | 1 | チューリップ賞3着 |
09 | クーデグレイス | 10 | 3 | ルスツ特別 | 5 | 2 | 未経験 |
11 | キョウワジャンヌ | 7 | 3 | エクセル浜松 | 1 | 1 | ファンタジーS15着 |
12 | ラスヴェンチュラス | 3 | 3 | 三面川特別 | 1 | 3 | フローラS6着 |
13 | シャトーブランシュ | 9 | 2 | 鳥栖特別 | 2 | 1 | 未経験 |
ウリウリ | 10 | 3 | 500万下・牝 | 1 | 1 | チューリップ賞6着 | |
14 | タガノエトワール | 15 | 2 | 未勝利・牝 | 1 | 1 | 未経験 |
リラヴァティ | 9 | 3 | 西海賞 | 1 | 4 | チューリップ賞3着 | |
15 | タッチングスピーチ | 7 | 1 | 500万下・牝 | 4 | 1 | チューリップ賞9着 |
トーセンビクトリー | 2 | 3 | 西部スポニチ | 1 | 1 | 未経験 | |
16 | カイザーバル | 6 | 3 | 道新スポーツ | 1 | 6 | チューリップ賞6着 |
そして近年好走馬を多く出しているのが、前走条件戦(未勝利戦含む)組である。該当馬11頭のうち8頭は近5年、つまりここ5年の3着以内馬15頭中8頭と半数以上がこの組だ。好走馬11頭中7頭は前走1着馬。そして11頭中9頭は前走1〜2番人気で、特に前走で敗れていた4頭のうち3頭は前走1番人気だった。 また、前走こそ条件戦でも、重賞でひと桁着順の実績くらいは持つことが望ましい(11頭中6頭)。その他の5頭中4頭は、2戦以上の連続連対中と好調でここに駒を進めていた。
【結論】
前走オークス組が10年で8勝を挙げるローズS。ただ、近年の連対馬は1〜2番人気か7番人気以下に偏っているほか、条件戦組の好走も増えており、穴馬への警戒が怠れないレースだ。オークス組なら、近5年は3番人気以内かつ3着以内。条件戦組なら、1〜2番人気で勝ってきているのが理想だ。また、3〜6枠を引いた穴馬の好走はあまり期待できないため、枠順にも注目したい。
今年は、オークスを1番人気で制したソウルスターリングが不在、そしてアドマイヤミヤビは残念ながら回避し、オークス組近年の好走条件である「3番人気以内かつ3着以内」を満たす馬はいなくなった。そこで、近年の好走が多い条件戦組(表6)に注目すると、重賞でひと桁着順(チューリップ賞4着)があり、1番人気で連勝してきているミリッサが筆頭格。ただ、7番人気以下(表1本文)になるかは微妙だろうか。ほかに、前走1着でファルコンS8着のあるメイショウオワラ、そして本稿執筆段階では抽選対象のメイズオブオナーも連続連対(連勝)中のため、このあたりにも一発の期待はかけられる。人気次第で柔軟に対応したい。
一方、オークス組では「3番人気3着以内」を満たせない場合は、6〜10年前の好走例にはなるものの、オークスが6番人気以下・馬券圏外で、今回も上位人気(3番人気以内)にはならない馬。さらに、オープン・重賞優勝かG1で2着の実績が必要だ(表4)。今年のメンバーでは、忘れな草賞を勝ったハローユニコーンや、スイートピーS勝ちのブラックスビーチが、オークス組の中ではおもしろい存在になる。
判断が難しいのは、皐月賞7着以来となるファンディーナだ。前々走で同距離・1800mのフラワーCを制し表5の条件はクリア。ただ、前走がオークス以外のG1だった馬は【1.0.0.7】で、桜花賞馬・ダイワスカーレット以外は馬券圏外だった。ちなみに、牡馬クラシックに出走した牝馬の次走を調べると【0.1.1.5】(92年ダンスダンスダンス以降、うち着外2頭は長期休養明け)。14年の本競走では、ダービー12着以来のレッドリヴェールが1番人気で6着に敗退した。「消し」ではないが(特に2番人気以内に推された場合・表1)、積極的に「買い」とまでは言えないところだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。