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第1144回 サマー2000シリーズの行方は!? 新潟記念を占う!
2017/8/31(木)
今週は日曜日に新潟記念が行われる。今年のサマー2000シリーズは現在、札幌記念を制したサクラアンプルールがポイントで首位だが、このレースの成績次第で逆転優勝の可能性がある馬が何頭かいる。その点も含めて同レースの行方をいつものように過去10年の結果を振り返り、分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 新潟記念の好走馬(過去10年)
年 | 着順 | 人気 | ハンデ | 主な実績 | |
16年 | 1 | アデイインザライフ | 2 | 55 | |
2 | アルバートドック | 1 | 58 | 七夕賞1着 | |
3 | ロンギングダンサー | 9 | 53 | 新潟競馬場開設50周年記念1着 | |
15年 | 1 | パッションダンス | 6 | 56 | 13年新潟大賞典1着 |
2 | マイネルミラノ | 9 | 56 | ||
3 | ファントムライト | 13 | 54 | レインボーS2着ほか | |
14年 | 1 | マーティンボロ | 1 | 56 | 中日新聞杯1着 |
2 | クランモンタナ | 5 | 54 | ||
3 | ラストインパクト | 3 | 57 | ||
13年 | 1 | コスモネモシン | 10 | 52 | ※11年福島牝馬S2着 |
2 | エクスペディション | 8 | 57 | ||
3 | ファタモルガーナ | 7 | 55 | ||
12年 | 1 | トランスワープ | 7 | 56 | 函館記念1着 |
2 | タッチミーノット | 9 | 56 | ||
3 | アスカクリチャン | 8 | 57 | 七夕賞1着 | |
11年 | 1 | ナリタクリスタル | 5 | 57.5 | 中京記念1着 |
2 | サンライズベガ | 9 | 56 | 新潟大賞典3着 | |
3 | セイクリッドバレー | 3 | 57 | 新潟大賞典1着 | |
10年 | 1 | ナリタクリスタル | 5 | 55 | |
2 | トウショウシロッコ | 10 | 56 | 08年新潟記念3着 | |
3 | サンライズベガ | 4 | 55 | 七夕賞3着 | |
09年 | 1 | ホッコーパドゥシャ | 5 | 56.5 | 小倉記念2着ほか |
2 | サンライズベガ | 6 | 54 | 日本海S1着 | |
3 | メイショウレガーロ | 12 | 55 | 函館記念3着 | |
08年 | 1 | アルコセニョーラ | 16 | 52 | 福島記念1着 |
2 | マイネルキッツ | 2 | 55 | 七夕賞3着 | |
3 | トウショウシロッコ | 14 | 55 | 07年天の川S2着 | |
07年 | 1 | ユメノシルシ | 2 | 56 | 七夕賞3着 |
2 | トウショウヴォイス | 10 | 52 | 新潟日報賞1着 | |
3 | ヤマニンアラバスタ | 7 | 54 | 05年新潟記念1着 |
まずは過去10年の新潟記念好走馬を見ていく(表1参照)。優勝馬のうち07年ユメノシルシ、09年ホッコーパドゥシャ、10年ナリタクリスタル、12年トランスワープ、14年マーティンボロと実に5頭もの馬が、ここを制してサマー2000シリーズのチャンピオンに輝いている。これは同シリーズを構成するレースの中では最多の優勝馬を輩出していることになる。まだ敗れた馬の中でもシリーズのチャンピオンとなっている馬も複数いる。個別のレースポイントではG2の札幌記念の方が上だが、この新潟記念の方がシリーズ全体の行方に大きくかかわる重要なレースになっている。
では、過去10年で好走しているのはどんな馬なのか。やはり同年のサマー2000シリーズの実績は無視できない。昨年同シリーズの王者となったアルバートドックは、新潟記念こそ2着だったが七夕賞を制していた。12年トランスワープは前走函館記念を1着、同年3着のアスカクリチャンも同年の七夕賞を制していた。サマー2000シリーズに限らず、過去1年以内に芝2000mの重賞を勝っている馬が活躍している傾向。マーティンボロは中日新聞杯、08年のアルコセニョーラは16番人気と超伏兵だったが、前年の福島記念を制していた。
すでに重賞を勝っているのでハンデをかなり背負わされるケースもあるのだが、それでも対応して好走している。実際にはハンデは気になるところだが、取捨を決定づける材料にはなりにくい印象だ。あまり気にする必要はないだろう。
同年のサマー2000シリーズ好走馬は、勝ち馬に限らず注目。10年3着サンライズベガや09年優勝のホッコーパドゥシャなど、善戦馬が馬券になっている。ただし、近年は同タイプの好走馬が出現していない点がやや気になる。10年以降はこの点のタイプの好走馬が出ていない。
むしろ過去に新潟の芝重賞(特に古馬の中距離戦)で好走実績がある馬の好走が目立つ。15年パッションダンスや、13年に10番人気で制したコスモネモシンが該当する。コース実績がある点は強みで、リピーターが台頭しやすいレースであると言える。
新潟芝コースの実績馬は重賞以外も侮れない。1600万クラスで好走実績がある馬にも注目したい。昨年3着のロンギングダンサーや15年に13番人気で3着のファントムライトが該当。08年3着のトウショウシロッコも14番人気の伏兵だった。格下実績馬なので勝ち切るのは難しいようだが、二けた人気での好走もかなりあり、穴馬としてふさわしい存在だと言える。
以上のような実績があった馬を数えると、好走馬30頭中22頭が該当した。つまり好走馬のうち約70%がサマー2000シリーズでの好走や、新潟コースでの実績があった馬となる。そうした馬たちから中心馬を探すことが、このレース的中の近道と言えるだろう。
■表2 新潟記念出走馬の年齢別成績(過去10年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
3歳 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
4歳 | 2- 1- 1- 17/ 21 | 9.5% | 14.3% | 19.0% |
5歳 | 4- 5- 5- 43/ 57 | 7.0% | 15.8% | 24.6% |
6歳 | 1- 2- 3- 41/ 47 | 2.1% | 6.4% | 12.8% |
7歳 | 3- 2- 1- 19/ 25 | 12.0% | 20.0% | 24.0% |
8歳 | 0- 0- 0- 11/ 11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
表2は過去10年の新潟記念出走馬の年齢別成績。3歳馬の好走はなく、古馬が中心。7歳馬の頑張りが目立つが、8歳以上での好走はない。複勝率では7歳馬よりも5歳馬が若干高くなっている。
■表3 新潟記念出走馬の前走レース別成績(過去10年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
小倉記念HG3 | 5- 2- 3-32/42 | 11.9% | 16.7% | 23.8% |
七夕賞HG3 | 2- 4- 1-18/25 | 8.0% | 24.0% | 28.0% |
函館記念HG3 | 1- 1- 2-12/16 | 6.3% | 12.5% | 25.0% |
クイーンG3 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
常総SH1600 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
日本海H1600 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
新潟日H1600 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
マレーシ1600 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
関屋記念G3 | 0- 0- 2-18/20 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
新潟大賞HG3 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
モンゴルH | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
福島テレ | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
宝塚記念G1 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
最後に出走馬の前走レース別成績(表3参照)。好ステップはサマー2000シリーズ。小倉記念や七夕賞、函館記念からのステップが多くなっている。シリーズの勝敗をかけた戦いとなることが多いのは、出走馬の数にもよくあらわれている。同じ夏場の重賞でも関屋記念組は【0.0.2.18】で勝利がない。2000m路線を歩んできている馬の方が好走しやすく、1600万クラスからでもチャンスはある。
【結論】
それでは今年の新潟記念を占ってみよう。出走予定馬は表4の通り。
■表4 今年の新潟記念出走予定馬
馬名 | ハンデ | 年齢 | 主な実績 |
アストラエンブレム | 56.5 | 4 | |
ウインガナドル | 52 | 3 | |
カフジプリンス | 55 | 4 | |
シャドウウィザード | 51 | 7 | 15年新潟競馬場開設50周年記念2着 |
スピリッツミノル | 55 | 5 | |
ソールインパクト | 53 | 5 | 七夕賞3着 |
タツゴウゲキ | 55 | 5 | 小倉記念1着 |
トーセンバジル | 56 | 5 | |
トルークマクト | 53 | 7 | |
ハッピーモーメント | 54 | 7 | 16年日本海S2着 |
フルーキー | 57 | 7 | 16年新潟大賞典2着 |
マイネルスフェーン | 52 | 3 | |
マイネルフロスト | 57 | 6 | 七夕賞2着 |
ラストインパクト | 57.5 | 7 | 14年新潟記念3着 |
ルミナスウォリアー | 57 | 6 | 函館記念1着 |
ロイカバード | 55 | 4 | 佐渡S2着 |
ロッカフラベイビー | 52 | 5 | 佐渡S1着 |
まず今年の小倉記念を制したタツゴウゲキ、函館記念を制したルミナスウォリアーに注目。ここも勝利すれば文句なしに、今年のサマー2000シリーズ王者となる。ともに前走は上位人気ではない立場での勝利だったが、全く気にする必要はないだろう。トランスワープのようにここでさらに人気を落としながらも勝利したケースがあり、決して侮ることはできない。
あとは七夕賞2着のマイネルフロスト、同3着のソールインパクトが有力馬。特にマイネルフロストには、勝てばシリーズ優勝の可能性が残されている。
過去に新潟芝中距離重賞で好走実績があるという意味では、フルーキーやラストインパクトも注目馬になる。7歳馬である点はむしろ好材料なのだが、前走レースは感触が悪い。サマー2000シリーズのレースでないことが減点材料だ。
あとは、1600万クラスの新潟芝中距離で好走実績がある馬に注目。シャドウウィザート、ハッピーモーメント、ロイカバード、ロッカフラベイビーが該当する。傾向としては2〜3着候補になるが、人気が全くなくても警戒する必要があるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。