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第1141回 2歳初のマイル重賞! 新潟2歳Sの狙いどころは!?
2017/8/21(月)
夏競馬も後半に入り、今週は新潟競馬場で2歳初のマイル重賞となる新潟2歳Sが行われる。過去には翌年のクラシック戦線で活躍したハープスターやイスラボニータなども好走しており、見逃せない一戦だ。また、キャリアの浅い若駒同士のレースで、人気薄も多く激走している。今回は新潟2歳Sをピックアップし、2012年以降の過去5年のデータから馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 新潟2歳S近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 | レース上がり |
2016 (良) |
1 | ヴゼットジョリー | 1分34秒3 | 3 | 8 | 33秒2 | 48秒5 | 33秒6 |
2 | オーバースペック | 1馬身1/4 | 6 | 14 | 32秒9 | |||
3 | イブキ | クビ | 2 | 4 | 33秒7 | |||
2015 (やや重) |
1 | ロードクエスト | 1分33秒8 | 1 | 17 | 32秒8 | 47秒6 | 33秒9 |
2 | ウインファビラス | 4馬身 | 12 | 5 | 34秒2 | |||
3 | マコトルーメン | 2馬身 | 8 | 17 | 33秒5 | |||
2014 (良) |
1 | ミュゼスルタン | 1分33秒4 | 3 | 11 | 33秒4 | 47秒1 | 34秒3 |
2 | アヴニールマルシェ | ハナ | 1 | 14 | 33秒0 | |||
3 | ニシノラッシュ | 1馬身1/4 | 6 | 6 | 33秒9 | |||
2013 (良) |
1 | ハープスター | 1分34秒5 | 1 | 18 | 32秒5 | 47秒9 | 33秒8 |
2 | イスラボニータ | 3馬身 | 4 | 13 | 33秒7 | |||
3 | ピークトラム | ハナ | 6 | 8 | 33秒8 | |||
2012 (良) |
1 | ザラストロ | 1分33秒5 | 3 | 15 | 33秒4 | 46秒9 | 34秒6 |
2 | ノウレッジ | アタマ | 10 | 11 | 33秒7 | |||
3 | サウンドリアーナ | 1/2馬身 | 9 | 5 | 34秒2 |
まず表1は新潟2歳S近5年の上位3着以内馬一覧。過去5年の勝ちタイムは1分33秒4〜34秒5と時計が掛かっている。というのも前半800mが速くなることがなく、スローの瞬発力勝負になってしまうからだ。長い直線でのヨーイドンの競馬となり、上がりが速い馬が好走するレースとなっている。4コーナー通過順では逃げ馬を含めて、3番手以内の先行馬は馬券に絡んでおらず、10番手以降の差し・追い込み馬が多く好走している。
13年のハープスターは道中最後方を追走。上がり32秒5の驚異的な末脚を使って、一気の差し切り勝ちを決めている。直線に入ってからの末脚の速さ比べといえるレースだ。
人気順では、1番人気馬が【2.1.0.2】で13年ハープスター、一昨年ロードクエストの2勝。2番人気馬は勝ち星がなく、3番人気馬が昨年のヴゼットジョリーら3勝をあげている。勝ち馬が3番人気以内にすべておさまるのに対して、2・3着馬は下位人気の激走が目立っている。過去5年で馬連の万馬券が12年、15年の2回。ヒモ荒れになることが多く、波乱傾向が目立つ一戦といえる。
■表2 新潟2歳Sの脚質別成績と上がり順位別成績(過去5年)
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
先行 | 0- 0- 1-16/17 | 0.0% | 0.0% | 5.9% | 0% | 12% |
差し | 2- 2- 3-32/39 | 5.1% | 10.3% | 17.9% | 27% | 91% |
追い込み | 3- 3- 1-19/26 | 11.5% | 23.1% | 26.9% | 48% | 68% |
3F 1位 | 3- 2- 0- 0/ 5 | 60.0% | 100.0% | 100.0% | 250% | 200% |
3F 2位 | 2- 1- 1- 2/ 6 | 33.3% | 50.0% | 66.7% | 176% | 285% |
3F 3位 | 0- 2- 0- 4/ 6 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 205% |
3F〜5位 | 0- 0- 4- 8/12 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 134% |
3F6位〜 | 0- 0- 0-58/58 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表2は脚質別成績と上がり順位別成績。表1でも述べた傾向がデータにも表れており、脚質別で追い込みが勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。いかに直線での末脚比べにかかっているレースかが読み取れる。
また、上がり順位別では上がり最速を叩きだした馬が一昨年のロードクエストら3勝をあげ、連対率100%。普通のレースならば上がり最速の馬が届かずに好走できないレースも多々見られるが、「新潟2歳Sは上がり最速で好走できる」というのがレース最大の特徴といえるだろう。昨年は6番人気オーバースペックが上がり最速となる32秒9で2着に好走している。また、上がり2位の馬も好成績をあげており、出走馬の中でいかに速い上がりを出せる馬を見つけるかが馬券のポイントになりそうだ。
■表3 新潟2歳Sの前走レース別成績(過去5年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
新馬 | 4- 3- 3-32/42 | 9.5% | 16.7% | 23.8% | 40% | 76% |
未勝利 | 1- 2- 1-16/20 | 5.0% | 15.0% | 20.0% | 31% | 91% |
函館2歳S | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 490% |
ダリア賞 | 0- 0- 0-15/15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
新馬・牝 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中京2歳S | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
未勝利・牝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3は前走レース別成績。表に黄色で強調したように前走新馬もしくは未勝利戦を勝った馬で3着以内馬15頭中14頭を占めている。注意したいのはどちらも牝馬限定戦ではなく、牡馬混合のレースだということだ。特に新馬勝ちの馬は昨年のヴゼットジョリーら4勝と勝ち切る傾向が強い。ちなみに前走新馬組の3着以内馬10頭中7頭は上位4番人気以内の馬だった。
前走未勝利戦を勝った馬は12年ザラストロが勝利。昨年2着のオーバースペックも該当しており、3着以内馬4頭中3頭は6番人気以下の人気薄だった。函館2歳S組からは一昨年のマコトルーメンが3着に好走している。なお、ダリア賞組や中京2歳Sといった前走オープンを使われた馬はいずれも4着以下に敗れており、苦戦傾向にある。
■表4 新潟2歳Sの前走脚質別成績と前走上がり順位別成績(過去5年)
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
先行 | 0- 1- 3-29/33 | 0.0% | 3.0% | 12.1% | 0% | 58% |
差し | 4- 2- 1-25/32 | 12.5% | 18.8% | 21.9% | 64% | 58% |
追い込み | 1- 2- 1-10/14 | 7.1% | 21.4% | 28.6% | 18% | 125% |
3F 1位 | 5- 4- 3-30/42 | 11.9% | 21.4% | 28.6% | 55% | 110% |
3F 2位 | 0- 1- 2-11/14 | 0.0% | 7.1% | 21.4% | 0% | 64% |
3F3位以下 | 0- 0- 0-31/31 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走における脚質別成績と上がり順位別成績。前走で差し・追い込みだった馬の活躍が目立っており、特に追い込み馬が連対率・複勝率ともにトップだ。逆に前走で逃げた馬は3着以内馬なしと、ハッキリした傾向が出ている。
前走上がり順位別成績では、勝ち馬はすべて前走上がり最速をマークしていた。3着以内馬15頭中12頭が前走上がり最速で、馬柱ではまずこれをチェックしておきたい。3着以内馬はいずれも前走上がり2位以内で、逆に3位以下だった馬は軽視したい。
■表5 新潟2歳Sの前走コース別成績(過去5年)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
中京芝1400m | 2- 0- 1- 5/ 8 | 25.0% | 25.0% | 37.5% | 113% | 122% |
新潟芝1600m | 2- 0- 0- 8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 104% | 41% |
東京芝1600m | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 120% | 163% |
福島芝1800m | 0- 2- 0- 6/ 8 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 150% |
東京芝1800m | 0- 1- 1- 2/ 4 | 0.0% | 25.0% | 50.0% | 0% | 90% |
新潟ダ1200m | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 420% |
福島芝1200m | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 78% |
中京芝1600m | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0% | 65% |
函館芝1200m | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 163% |
新潟芝1400m | 0- 0- 0-25/25 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
その他のコース | 0- 0- 0-13/13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は前走コース別成績。前走中京芝1400m組は昨年のヴゼットジョリーら2勝をあげており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。また、前走新潟芝1600m組も2勝をあげているが、連対率・複勝率は高くない。
複数の好走馬を出して、複勝率が高いのが前走東京芝1600m組と東京1800m組。東京芝1600m組からは一昨年のロードクエストが勝利している。東京芝では総じてレベルが高いレースになりやすく、勝ち上がった馬も速い上がりを繰り出せる素質馬が多いということだろう。前走東京のマイル以上で勝ち上がった馬はチェックしておきたい。
なお、出走数が最も多い前走新潟芝1400m組は3着以内馬なし。新潟芝1400mではペースが速くなることが多く、新潟2歳Sとは求められる適性がまったく違うのだろう。
■表6 新潟2歳Sの前走との間隔別成績(過去5年)
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
中1週 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中2週 | 1- 0- 0-24/25 | 4.0% | 4.0% | 4.0% | 16% | 6% |
中3週 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中4〜8週 | 3- 3- 4-28/38 | 7.9% | 15.8% | 26.3% | 40% | 119% |
中9〜半年 | 1- 2- 1- 6/10 | 10.0% | 30.0% | 40.0% | 36% | 85% |
最後に前走との間隔別成績。黄色で示したように、好走馬の大多数が中4週以上の間隔を空けた馬だった。中4〜8週の馬は昨年のヴゼットジョリーら3勝で、毎年1頭は3着以内に入っている。なお、中9週以上の馬からは一昨年のロードクエストが勝利。この組の3着以内馬4頭はいずれも上位4番人気以内の馬だった。なお、中3週以内で好走したのは14年1着ミュゼスルタンのみで、苦戦傾向にある。
今年の新潟2歳Sでは
中3週以内…7月29日(土)以降に出走した馬
中4〜8週…6月24日(土)〜7月23日(日)に出走した馬
中9週以上…6月18日(日)以前に出走した馬
となり、ぜひともチェックしておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。