データde出〜た
第1122回 G1馬も参戦! 函館スプリントSを展望する
2017/6/15(木)
今週の重賞は東京のユニコーンSと函館の函館スプリントSの2レース。昨年の当コーナーではユニコーンSを分析しているので、今回は函館スプリントSを展望したい。サマースプリントシリーズの第1戦というだけでなく、今年は高松宮記念を制したG1馬セイウンコウセイが出走を予定しており、秋に向けても重要な一戦となりそうだ。そんな芝1200m重賞を、過去10年のデータから分析してみよう。ただし、札幌で行なわれた09年は除外し、集計対象は函館で行なわれた9年分とする。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1番人気 | 2- 2- 0- 5/ 9 | 22.2% | 44.4% | 44.4% | 50% | 55% |
2番人気 | 2- 1- 1- 5/ 9 | 22.2% | 33.3% | 44.4% | 121% | 75% |
3番人気 | 1- 1- 1- 6/ 9 | 11.1% | 22.2% | 33.3% | 72% | 73% |
4番人気 | 1- 0- 3- 5/ 9 | 11.1% | 11.1% | 44.4% | 70% | 171% |
5番人気 | 0- 2- 1- 6/ 9 | 0.0% | 22.2% | 33.3% | 0% | 101% |
6番人気 | 1- 2- 0- 6/ 9 | 11.1% | 33.3% | 33.3% | 200% | 191% |
7番人気 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0% | 35% |
8番人気 | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 398% | 160% |
9番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10番人気〜 | 1- 1- 2- 47/ 51 | 2.0% | 3.9% | 7.8% | 77% | 105% |
表1は人気別成績。注目したいのは複勝率で、1番人気から6番人気までほとんど横並びとなっている。勝率では1、2番人気の数字が若干高いものの、印が回っている馬であれば3着以内に入る確率は互角と考えてもいいのではないか。7番人気以下もポツポツ3着以内に入っており、穴馬の激走にも注意しておきたい。
■表2 枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1枠 | 2- 2- 3- 7/14 | 14.3% | 28.6% | 50.0% | 76% | 107% |
2枠 | 2- 2- 0-11/15 | 13.3% | 26.7% | 26.7% | 62% | 56% |
3枠 | 2- 2- 1-11/16 | 12.5% | 25.0% | 31.3% | 235% | 146% |
4枠 | 0- 0- 1-15/16 | 0.0% | 0.0% | 6.3% | 0% | 15% |
5枠 | 1- 0- 0-16/17 | 5.9% | 5.9% | 5.9% | 37% | 14% |
6枠 | 0- 1- 1-16/18 | 0.0% | 5.6% | 11.1% | 0% | 90% |
7枠 | 1- 1- 1-15/18 | 5.6% | 11.1% | 16.7% | 100% | 110% |
8枠 | 1- 1- 2-14/18 | 5.6% | 11.1% | 22.2% | 218% | 241% |
表2は枠番別成績。明らかに1〜3枠の好走率が高いことがおわかりいただけるだろう。特に1枠は複勝率50.0%で、2頭に1頭は好走する計算となる。外の7、8枠は、好走率こそ内枠には見劣るものの、単複の回収率がすべて100%以上となっており、穴馬の激走に注意したい。そのあいだに挟まれた4〜6枠は好走率が低く、苦戦の傾向が出ている。
■表3 牡牝別成績
性別 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
牡馬・セン馬 | 5- 7- 4-77/93 | 5.4% | 12.9% | 17.2% | 73% | 77% |
牝馬 | 4- 2- 5-28/39 | 10.3% | 15.4% | 28.2% | 135% | 150% |
表3は牡牝別成績で、セン馬は牡馬に含めている。ご覧の通り、勝率から複勝回収率までの5項目すべてで牝馬が優位に立っていることが一目瞭然。昨年もソルヴェイグが12番人気1着、レッツゴードンキが7番人気3着と、2頭の牝馬が激走して穴をあけている。「夏は牝馬」という格言が見事に当てはまっており、今年も牝馬には警戒したほうがいいかもしれない。
■表4 年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
3歳 | 1- 3- 2- 17/ 23 | 4.3% | 17.4% | 26.1% | 171% | 159% |
4歳 | 2- 2- 3- 6/ 13 | 15.4% | 30.8% | 53.8% | 53% | 153% |
5歳 | 3- 1- 2- 32/ 38 | 7.9% | 10.5% | 15.8% | 38% | 37% |
6歳 | 2- 3- 2- 22/ 29 | 6.9% | 17.2% | 24.1% | 84% | 159% |
7歳以上 | 1- 0- 0- 28/ 29 | 3.4% | 3.4% | 3.4% | 123% | 49% |
表4は年齢別成績。注目は4歳馬で、出走例は決して多くないが、好走率は突出して高い。出てきたら要注意だ。回収率が高いのは3歳馬で、連対率や複勝率も4歳馬に次ぐ数値となっている。6歳馬まではチャンスがありそうだが、7歳以上で好走したのは14年1着のガルボのみ。高齢馬には割引が必要か。
■表5 前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1着 | 3- 2- 1- 12/ 18 | 16.7% | 27.8% | 33.3% | 87% | 72% |
2着 | 1- 1- 1- 8/ 11 | 9.1% | 18.2% | 27.3% | 16% | 49% |
3着 | 2- 2- 0- 5/ 9 | 22.2% | 44.4% | 44.4% | 118% | 208% |
4着 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 36% |
5着 | 0- 0- 2- 7/ 9 | 0.0% | 0.0% | 22.2% | 0% | 41% |
6〜9着 | 0- 1- 1- 19/ 21 | 0.0% | 4.8% | 9.5% | 0% | 26% |
10着〜 | 3- 2- 4- 44/ 53 | 5.7% | 9.4% | 17.0% | 176% | 153% |
表5は前走着順別成績。これを見ると前走でも1〜3着に入っていた馬の好走率が高く、まずは順当な傾向といえる。それでいて、前走10着以下から巻き返した馬が9頭もいるので侮れない。前走10着以下の好走率は、前走4着や前走5着と遜色なく、回収率は非常に高いので侮れない存在となりそうだ。
■表6 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1000万下 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 160% |
1600万下 | 1- 0- 1- 6/ 8 | 12.5% | 12.5% | 25.0% | 78% | 258% |
オープン特別 | 1- 3- 1- 52/ 57 | 1.8% | 7.0% | 8.8% | 11% | 43% |
G3 | 2- 1- 2- 15/ 20 | 10.0% | 15.0% | 25.0% | 53% | 61% |
G2 | 2- 0- 1- 6/ 9 | 22.2% | 22.2% | 33.3% | 230% | 97% |
G1 | 3- 4- 4- 24/ 35 | 8.6% | 20.0% | 31.4% | 220% | 180% |
表6は前走クラス別成績。好走率が高いのは前走でG1やG2に出走していた馬で、こちらも順当な傾向が出ている。前走G3も回収率は振るわないものの、好走率はまあまあ。しかし、出走例が最多の前走オープン特別は好走率がかなり低い。前走1600万下や前走1000万下にも見劣るほどで、前走オープン特別出走馬は過信しないほうがいいかもしれない。
■表7 前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1000m | 0- 1- 0- 10/ 11 | 0.0% | 9.1% | 9.1% | 0% | 125% |
1200m | 5- 5- 3- 59/ 72 | 6.9% | 13.9% | 18.1% | 75% | 56% |
1400m | 3- 1- 2- 17/ 23 | 13.0% | 17.4% | 26.1% | 119% | 138% |
1600m | 1- 2- 3- 18/ 24 | 4.2% | 12.5% | 25.0% | 164% | 155% |
1800m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
2400m | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 760% |
表7は前走距離別成績。前走でダートの出走していた馬はいなかったので、前走はすべて芝のレースとなる。出走例が多いのは前走も同距離の1200mだった馬だが、前走で1400mや1600mに出走していた馬のほうが好走率、回収率とも上回っているようだ。特に、前走が1400mだった馬の好走率が高く、該当馬がいたら注目してみたい。
【結論】
今年の函館スプリントSの登録馬は全部で13頭。まずは好走率の高い牝馬から、データ的に有力と思われる馬を挙げていこう。
牝馬の登録は5頭。そのなかで、好走率が非常に高い4歳馬に唯一該当するのがブランボヌールだ。前走のシルクロードSでは13着に大敗も、表5の項で述べた通り、このレースでは前走10着以下から巻き返した例も多い。2年前の函館2歳S勝ち馬だから、コース適性という点でも心強い。また、3歳馬、前走G1、前走1600mと、回収率の高いデータに複数合致するジューヌエコールも面白そうな存在。牝馬からもう1頭挙げるなら前走G1出走のクリスマスで、こちらは4年前の函館2歳S勝ち馬になる。
牡馬の注目は、なんといってもセイウンコウセイだ。4歳馬、前走G1出走、前走1着という好走率の高いデータを満たしており、これといった弱点は見当たらない。目標は秋のスプリンターズSだと思われるが、やはり有力なのは間違いない。高松宮記念でこの馬より人気を集めていたのがシュウジ。前走G1出走の4歳馬という点はセイウンコウセイと同様で、昨年の当レース2着馬だから適性面も問題ない。最後にもう1頭、9歳という年齢は気になるものの、好成績の前走1400mで1着だったエポワスも穴候補に挙げておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。