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第1117回 宝塚記念に向けて注目の一戦! 鳴尾記念を分析する
2017/5/29(月)
今週から西の開催場が京都から阪神へと替わり、土曜には古馬芝2000m重賞の鳴尾記念が行われる。3週後に行われる宝塚記念に向けて注目の一戦で、実際に一昨年優勝のラブリーデイをはじめとして過去5年で4頭も宝塚記念で馬券圏内に入っている。大一番に向けて注目の一戦を現在の2000mに変更となった2012年以降の過去5年のデータから分析し、好走馬の特徴を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 鳴尾記念近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 | レース上がり |
2016 (良) |
1 | サトノノブレス | R 1分57秒6 | 3 | 2 | 34秒8 | 59秒0 | 35秒1 |
2 | ステファノス | クビ | 2 | 6 | 34秒6 | |||
3 | プランスペスカ | クビ | 13 | 6 | 34秒8 | |||
2015 (良) |
1 | ラブリーデイ | 1分58秒8 | 2 | 5 | 34秒8 | 59秒5 | 35秒4 |
2 | マジェスティハーツ | 2馬身 | 8 | 11 | 34秒7 | |||
3 | アズマシャトル | クビ | 4 | 6 | 35秒0 | |||
2014 (良) |
1 | エアソミュール | 1分59秒1 | 1 | 7 | 34秒3 | 60秒6 | 35秒0 |
2 | アドマイヤタイシ | ハナ | 9 | 3 | 34秒7 | |||
3 | フラガラッハ | ハナ | 10 | 10 | 34秒3 | |||
2013 (良) |
1 | トウヘイケイロー | 1分58秒9 | 6 | 1 | 34秒7 | 60秒4 | 34秒7 |
2 | エクスペディション | 1馬身1/4 | 7 | 9 | 34秒3 | |||
3 | ダノンバラード | クビ | 3 | 5 | 34秒5 | |||
2012 (良) |
1 | トゥザグローリー | 2分0秒1 | 2 | 2 | 33秒2 | 62秒3 | 33秒4 |
2 | ショウナンマイティ | 1/2馬身 | 1 | 7 | 32秒9 | |||
3 | トーセンラー | 2馬身 | 5 | 4 | 33秒4 |
表1は鳴尾記念近5年の3着以内馬一覧。過去5年すべて良馬場で行われているが、勝ちタイムは年によってかなり異なっている。12年のみ前半かなりのスローペースで、上がり勝負となった。その後の3年は1分59秒前後の勝ちタイムで推移したものの、昨年は1分57秒6のレースレコードをマークしている。前半が平均ペースになっても、上位勢の上がりは34秒台と極端な上がりの速さは要求されないようだ。
上位馬の人気を見ると、1番人気馬は【1.1.0.3】で14年エアソミュールの1勝のみ。2番人気馬が一昨年のラブリーデイら2勝、3番人気馬が昨年のサトノノブレスの1勝。上位人気馬が勝ち切るケースが多いのに対して、2・3着馬は中位〜下位人気馬が激走するケースが多い。昨年は1着に3番人気サトノノブレス、2着に2番人気ステファノスが入ったものの、3着に13番人気プランスペスカが激走した。12年のみ堅めの決着で決まっており、近4年は3連単で7万〜19万とやや波乱の決着が続いている。
3週後の宝塚記念では15年1着ラブリーデイをはじめ、12〜15年で毎年1頭ずつ好走馬を出している。レースレコードが出た昨年は好走馬が出なかったが、宝塚記念との関連性が強い一戦であることは間違いない。同じ内回りコースで、求められる能力が似ているという面が強いのだろう。
■表2 鳴尾記念の年齢別成績(2012年以降の過去5年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
4歳 | 1- 1- 2- 3/ 7 | 14.3% | 28.6% | 57.1% | 165% | 140% |
5歳 | 3- 2- 1- 5/11 | 27.3% | 45.5% | 54.5% | 106% | 137% |
6歳 | 1- 1- 1-16/19 | 5.3% | 10.5% | 15.8% | 20% | 194% |
7歳以上 | 0- 1- 1-24/26 | 0.0% | 3.8% | 7.7% | 0% | 40% |
表2は年齢別成績。黄色で強調したように4歳馬・5歳馬が複勝率でともに50%を超えており、複勝回収率でも100%を大きく超えている。特に5歳馬は一昨年のラブリーデイら過半数の3勝をあげており、連対率も45.5%と非常に高い。
一方、出走数が多い6歳以上は昨年のサトノノブレスの1勝のみ。連対率・複勝率ともに4歳馬・5歳馬から大きく引き離されている。今年も4歳馬・5歳馬を中心に狙っていきたいところだ。
■表3 鳴尾記念の枠番別成績(2012年以降の過去5年)
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
2枠 | 0- 0- 2- 4/ 6 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 573% |
3枠 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 54% | 21% |
4枠 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0% | 62% |
5枠 | 1- 1- 0- 6/ 8 | 12.5% | 25.0% | 25.0% | 145% | 147% |
6枠 | 0- 1- 1- 7/ 9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0% | 94% |
7枠 | 0- 3- 0- 7/10 | 0.0% | 30.0% | 30.0% | 0% | 67% |
8枠 | 3- 0- 0- 7/10 | 30.0% | 30.0% | 30.0% | 117% | 51% |
表3は枠番別成績。連対馬10頭中9頭までが5枠より外の枠から出ており、外枠優勢の傾向が出ている。特に大外の8枠は一昨年のラブリーデイら最多の3勝をあげている。
逆に内目の1〜4枠からは3枠の昨年サトノノブレスの1勝のみ。ただし、2枠・4枠は3着馬が2頭で複勝率は高い。なお、最内の1枠は6頭中4頭が上位5番人気以内だったが、すべて5着以下に敗れている。
■表4 鳴尾記念の前走レース別成績(2012年以降の過去5年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
天皇賞春 | 2- 0- 0- 0/ 2 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 390% | 165% |
中山記念 | 2- 0- 0- 0/ 2 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 385% | 165% |
京王杯SC | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 1160% | 400% |
新潟大賞典 | 0- 1- 2-11/14 | 0.0% | 7.1% | 21.4% | 0% | 59% |
大阪杯 | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0% | 115% |
都大路S | 0- 1- 1-12/14 | 0.0% | 7.1% | 14.3% | 0% | 242% |
小倉大賞典 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 390% |
香港カップ | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 160% |
日経賞 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 66% |
その他のレース | 0- 0- 0-17/17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走レース別成績。勝ち馬は天皇賞・春組、中山記念組、京王杯SC組から出ており、まずはこの3レースの出走馬は要チェックだ。距離は大きく違うものの、いずれもG1・G2と格の高いレースばかりだ。昨年までG2の大阪杯からも2頭の好走馬が出ており、前走G1・G2組に注目したい。
前走G3では新潟大賞典組と小倉大賞典組、前走オープン特別では都大路S組から3着以内馬が出ていた。なお、前走オープン特別組はのべ【0.1.1.18】で連対率5.0%・複勝率10.0%と低く、苦戦傾向にある。
■表5 鳴尾記念の前走着順別成績(2012年以降の過去5年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 32% |
前走2着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走3着 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 213% |
前走5着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走6〜9着 | 2- 0- 3-11/16 | 12.5% | 12.5% | 31.3% | 97% | 263% |
前走10着〜 | 3- 3- 2-21/29 | 10.3% | 20.7% | 27.6% | 39% | 77% |
表5は前走着順別成績。黄色で強調したように3着以内馬15頭中13頭までが前走6着以下から巻き返している。勝ち馬5頭はすべて前走6着以下で、前走10着以下だった馬からも昨年のサトノノブレス(前走天皇賞春11着)ら3勝をあげている。これら前走2ケタ着順の馬は連対率・複勝率ともに高く、前走大敗馬を積極的に狙っていきたい。
■表6 鳴尾記念の調教師別成績(2012年以降の過去5年)
調教師 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
(栗)池江泰寿 | 3- 0- 1- 2/ 6 | 50.0% | 50.0% | 66.7% | 193% | 113% |
(栗)角居勝彦 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 97% | 45% |
(栗)清水久詞 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 580% | 200% |
(栗)松永昌博 | 0- 1- 1- 1/ 3 | 0.0% | 33.3% | 66.7% | 0% | 1133% |
(栗)藤原英昭 | 0- 1- 1- 0/ 2 | 0.0% | 50.0% | 100.0% | 0% | 185% |
(栗)梅田智之 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 130% |
(栗)石坂正 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 780% |
(栗)橋田満 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 380% |
(栗)松永幹夫 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 340% |
(栗)加用正 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 120% |
その他の調教師 | 0- 0- 0-39/39 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表6は調教師別成績。栗東の池江泰寿厩舎の管理馬が12年トゥザグローリー、一 昨年ラブリーデイ、昨年サトノノブレスと3勝をあげている。連対率50.0%・複勝率66.7%と非常に高く、毎年狙っている一戦といえるだろう。3週後の宝塚記念でも13年2着ダノンバラード(前走鳴尾記念3着)、一昨年ラブリーデイ(前走鳴尾記念1着)と2頭の好走馬を出しており、鳴尾記念→宝塚記念のローテーションを確立している。
他では角居厩舎から14年エアソミュール、清水久詞厩舎から13年トウケイヘイローが勝利。3着以内馬15頭はすべて関西馬だった。なお、今年は池江泰寿厩舎からステイインシアトルが出走を予定しており、注目しておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。