データde出〜た
第1103回 ダートG1につながるアンタレスSを分析!
2017/4/10(月)
今週土曜日にはアンタレスSが行われる。古馬によるダートの中距離戦で、12年から再び阪神ダート1800mで行われるようになった。過去5年分のデータにはなるが、同レースの傾向を分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去5年のアンタレスS上位馬
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 斤量 | 4角 | 種牡馬 | 母父馬 |
16年 | 1 | アウォーディー | 1 | 57 | 6 | Jungle Pocket | Sunday Silence |
2 | アスカノロマン | 3 | 58 | 2 | アグネスデジタル | タバスコキャット | |
3 | サージェントバッジ | 5 | 56 | 12 | ステイゴールド | Fusaichi Pegasus | |
15年 | 1 | クリノスターオー | 6 | 57 | 2 | アドマイヤボス | ジェイドロバリー |
2 | アジアエクスプレス | 1 | 57 | 1 | Henny Hughes | Running Stag | |
3 | ナムラビクター | 2 | 57 | 7 | ゼンノロブロイ | エンドスウィープ | |
14年 | 1 | ナムラビクター | 2 | 56 | 2 | ゼンノロブロイ | エンドスウィープ |
2 | トウショウフリーク | 5 | 56 | 6 | キングカメハメハ | ダンシングブレーヴ | |
3 | ニホンピロアワーズ | 1 | 58 | 2 | ホワイトマズル | アドマイヤベガ | |
13年 | 1 | ホッコータルマエ | 1 | 57 | 2 | キングカメハメハ | Cherokee Run |
2 | ニホンピロアワーズ | 2 | 59 | 1 | ホワイトマズル | アドマイヤベガ | |
3 | ハートビートソング | 3 | 56 | 5 | ゼンノロブロイ | トニービン | |
12年 | 1 | ゴルトブリッツ | 1 | 57 | 5 | スペシャルウィーク | Seeking the Gold |
2 | アイファーソング | 11 | 56 | 1 | ソングオブウインド | デヒア | |
3 | シルクシュナイダー | 3 | 56 | 9 | アグネスデジタル | リアルシヤダイ |
ミスタープロスペクター系
ヘイロー系
グレイソヴリン系
色なし その他
まずは過去5年のアンタレスSで上位に入線した馬の一覧を見てみよう(表1参照)。昨年優勝を果たしたアウォーディーはここで重賞3連勝を達成。連勝記録は秋まで継続し、川崎のJBCクラシックを制するまでに至った。13年に優勝したのはホッコータルマエ。後にG1を勝ちまくる活躍を見せた馬だが、当時はG1未勝利。ここで重賞3連勝と弾みをつけ、次走かしわ記念がG1初制覇となった。12年優勝のゴルトブリッツはこのレース連覇を果たし、次走は帝王賞を優勝。このように近年のアンタレスS勝ち馬は、後にG1制覇を果たすケースが多くなっている。14年優勝のナムラビクターはG1未勝利だが、秋にチャンピオンズCで2着と激走。アンタレスSはG1につながる重要な一戦になっていることがわかる。
過去5年の人気面では1番人気馬が3勝。いずれも前述した後のG1馬であり、比較的人気サイドの傾向。二けた人気馬の激走は12年2着のアイファーソングだけとなっている。斤量面でも特徴がある。これからG1を狙う素質馬の活躍が多く、すでに実績がある馬はやや苦戦傾向。59キロの馬が【0.1.0.1】、58キロの馬が【0.1.1.6】と未勝利。57キロの馬が【4.1.1.8】で好成績を挙げている。
次に4コーナーの位置取りに注目してみた。結論から言うと、4コーナーで2番手以内に位置していた馬がそのままなだれ込むケースが非常に多い。過去5年では毎年、4コーナーで2番手以内の馬が1頭は連対を果たしている。ダート戦なので自然な傾向ではあるのだが、最後の直線に向くまでに早めの競馬がより必要となっている。それに応じ、追い込み馬がかなり厳しい結果となっている。
次に血統傾向を見ていく。父か母父にミスタープロスペクター系の血を持っている馬が多数好走。アグネスデジタル、キングカメハメハ、エンドスウィープは複数回登場している。そして、同じように父か母父がヘイロー系の馬も多数好走。基本的にはサンデーサイレンスの系統で、ゼンノロブロイやスペシャルウィークが該当する。あとは、グレイソヴリン系の血にも注目。昨年優勝したアウォーディーはジャングルポケット産駒。15年2着のアジアエクスプレスの母父Running Stagという馬の父がコジーンであり、グレイソヴリン系にあたる。また、ヘイロー系の中でもアドマイヤベガの母父がトニービンであり、グレイソヴリン系がこのレースと相性が良いことをうかがえる。つまり、好走馬はすべて父か母父にミスタープロスペクター系、ヘイロー系、グレイソヴリン系のいずれかの血を持っていることになる。
■表2 アンタレスS上位馬の前走成績(過去5年)
年 | 着順 | 馬名 | 間隔 | 前走開催 | 前走レース名 | 前人 | 前着 |
16年 | 1 | アウォーディー | 4 | 名古 | 名古屋G3 | 1 | 1 |
2 | アスカノロマン | 8 | 1東8 | フェブラG1 | 7 | 3 | |
3 | サージェントバッジ | 7 | 2中1 | 総武S | 10 | 13 | |
15年 | 1 | クリノスターオー | 19 | 4名2 | チャンピG1 | 7 | 8 |
2 | アジアエクスプレス | 3 | 名古 | 名古屋G3 | 1 | 2 | |
3 | ナムラビクター | 12 | 1名4 | 東海SG2 | 2 | 11 | |
14年 | 1 | ナムラビクター | 6 | 1阪4 | 仁川S | 1 | 1 |
2 | トウショウフリーク | 4 | 船橋 | ダイオG2 | 3 | 2 | |
3 | ニホンピロアワーズ | 4 | 船橋 | ダイオG2 | 2 | 1 | |
13年 | 1 | ホッコータルマエ | 3 | 名古 | 名古屋G3 | 1 | 1 |
2 | ニホンピロアワーズ | 19 | 5阪2 | JCDG1 | 6 | 1 | |
3 | ハートビートソング | 12 | 1名2 | 東海SG2 | 3 | 7 | |
12年 | 1 | ゴルトブリッツ | 6 | 1阪4 | 仁川S | 1 | 1 |
2 | アイファーソング | 3 | 3中2 | マーチSHG3 | 9 | 11 | |
3 | シルクシュナイダー | 3 | 3中2 | マーチSHG3 | 1 | 6 |
最後に好走馬の前走レース成績を調べておく。前走間隔はさまざまで、3〜4か月程度の休み明けでも問題ない。15年優勝のクリノスターオーは前年のチャンピオンズC以来の実戦で優勝を果たした。前走レースも特に偏りがあるわけではない。ただ、前走オープンクラスのレースで1着の馬が優勢。過去5年中、4年で前走1着の馬が勝利を果たしている。ここまでの勢いが非常に大事だ。前走大敗馬の巻き返しも十分ある。主に東海Sや前走中山ダート1800mのオープンクラスからの組に注意。特に先行して敗れている馬が狙い目。12年に11番人気で2着に好走したアイファーソングは、実績だけだと狙いにくいタイプだった。しかし、前走マーチSでは2番手追走から失速するも、アンタレスSでは逃げて粘った。脚質傾向でも述べたが、4コーナーで2番手以内につけられそうな馬には要注意と言えるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。