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第1100回 今年からG1昇格! 大阪杯を分析する

2017/3/30(木)

今週は、今年からG1競走に昇格した大阪杯が行われる。その格付けを得られたことからも分かる通り、13年の優勝馬・オルフェーヴルを筆頭に毎年のようにG1馬が複数出走し、ハイレベルの戦いが繰り広げられてきた。記念すべき昇格1回目の一戦を制するのはどの馬か、データから分析したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 天皇賞(秋)、人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 5-2-2-1/10 50.0% 70.0% 90.0% 148% 119%
2 0-3-2-5/10 0.0% 30.0% 50.0% 0% 91%
3 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 30%
4 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 24%
5 4-0-0-6/10 40.0% 40.0% 40.0% 546% 112%
6 0-0-4-6/10 0.0% 0.0% 40.0% 0% 158%
7 1-3-0-6/10 10.0% 40.0% 40.0% 333% 268%
8〜 0-1-0-102/103 0.0% 1.0% 1.0% 0% 5%

過去の傾向から予想するにあたり、その「G1昇格」の影響がどう出るのか判断が難しい。これまで、施行時期や距離・コースを替えずにG1へ昇格したレースはフェブラリーS(ほかに、実際は「昇格」ではないが阪神3歳牝馬S)くらいしかなく、この視点は使えそうにない。そこで今回は、春秋の違いこそあれ、同じ「古馬中〜長距離のG1シーズン開幕戦」である天皇賞(秋)のデータも少し見ておきたい。 天皇賞(秋)の過去10年人気別では、1番人気が【5.2.2.1】で複勝率90.0%と、抜群の安定感を見せ、昨年も1番人気のモーリスが豪快な差し切り勝ちを決めた。また、昨年の2〜3着は7、6番人気だったが、好走馬30頭中29頭は7番人気以内。8番人気以下は、15年2着のステファノス(10番人気・単勝34.3倍)1頭である。

■表2 天皇賞(秋)、前走クラス・レース別成績(レースは出走10頭以上)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
OPEN特別 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 0-0-1-10/11 0.0% 0.0% 9.1% 0% 62%
G2 8-6-7-101/122 6.6% 11.5% 17.2% 80% 47%
G1 2-4-2-23/31 6.5% 19.4% 25.8% 16% 69%
毎日王冠 5-4-4-46/59 8.5% 15.3% 22.0% 97% 66%
宝塚記念 2-3-1-14/20 10.0% 25.0% 30.0% 25% 72%
札幌記念 2-0-1-11/14 14.3% 14.3% 21.4% 263% 82%
京都大賞典 1-0-0-15/16 6.3% 6.3% 6.3% 21% 10%
オールカマー 0-0-0-27/27 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

続いて、同じく天皇賞(秋)の前走クラス・レース別成績。今回の大阪杯登録馬も前走G2以上が大半を占めるが、天皇賞(秋)の出走馬もほとんどがG2以上。ステップレースを使わず、宝塚記念など春のG1以来でも問題ない。G2組は同コースの中2週・毎日王冠組の好走が多いが、京都大賞典・オールカマー組は不振。また、2カ月ほど間隔が開くものの、同距離・札幌記念組は悪くない

■表3 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年 同複勝率
1 4-3-2-1/10 40.0% 70.0% 90.0% 88% 104% 1-2-1-1 80.0%
2 2-2-1-5/10 20.0% 40.0% 50.0% 63% 75% 2-1-1-1 80.0%
3 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 69% 35% 0-0-0-5 0.0%
4 1-0-3-6/10 10.0% 10.0% 40.0% 120% 96% 1-0-1-3 40.0%
5 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 41% 0-1-1-3 40.0%
6 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 305% 121% 1-1-1-2 60.0%
7 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 49% 0-0-0-29 0.0%
8 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 140%
9 0-1-0-8/9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 58%
10〜 0-0-0-31/31 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

2013/3/31 阪神11R 産経大阪杯(G2) 1着 5番 オルフェーヴル (1番人気)

ここからは、大阪杯の傾向を見ていきたい。まず人気別成績では、G1とG2の違いがあれど表1の天皇賞(秋)と似た傾向を示しており、1番人気が好成績で、下位人気以下は苦戦している。これまでは天皇賞(秋)と違い、頭数がさほど多くはならないレースだった影響もあるだろうが、基本的には6〜7番人気あたりまでが狙いだ。特にここ5年は、1、2番人気がともに複勝率80.0%、そして7番人気以下からは好走馬が出ていない

■表4 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 参考:宝塚記念 同複勝率
4歳 6-3-3-15/27 22.2% 33.3% 44.4% 84% 100% 4-3-6-37 26.0%
5歳 3-4-2-21/30 10.0% 23.3% 30.0% 67% 57% 4-5-2-31 26.2%
6歳 1-2-5-25/33 3.0% 9.1% 24.2% 65% 68% 2-2-2-22 21.4%
7歳〜 0-1-0-29/30 0.0% 3.3% 3.3% 0% 15% 0-0-0-28 0.0%

年齢別では、4〜5歳馬が優勢。勝率〜複勝率いずれも、年齢が上がるほど好走確率が下がる傾向にある。年齢は天皇賞(秋)では少し離れすぎているため、同じ春の中距離G1・宝塚記念を参考にすると、こちらも好走が多いのは4〜5歳馬だった。

■表5 枠番・脚質別成績

枠・脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2枠 0-0-2-9/11 0.0% 0.0% 18.2% 0% 35%
3枠 2-2-1-8/13 15.4% 30.8% 38.5% 106% 91%
4枠 1-0-1-11/13 7.7% 7.7% 15.4% 9% 16%
5枠 1-3-1-11/16 6.3% 25.0% 31.3% 23% 70%
6枠 1-1-3-14/19 5.3% 10.5% 26.3% 36% 67%
7枠 3-2-1-13/19 15.8% 26.3% 31.6% 43% 103%
8枠 2-2-1-14/19 10.5% 21.1% 26.3% 160% 51%
逃げ 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 20% 64%
先行 3-4-4-27/38 7.9% 18.4% 28.9% 71% 71%
中団 3-2-4-34/43 7.0% 11.6% 20.9% 27% 46%
後方 3-2-1-23/29 10.3% 17.2% 20.7% 80% 61%
※脚質はTarget frontier JVによる分類

枠番別の成績は内枠不振が明らか。1〜2枠には3番人気以内の人気馬も昨年の1番人気ラブリーデイ(4着)など5頭を数えるが、【0.0.1.4】に終わっている。一方、7、8枠が連対率20%超を記録するなど外は良さそうに見えるが、前述の通り出走頭数があまり多くない年が続き、2桁馬番は【2.3.1.25】複勝率19.4%と、7〜8枠の成績と比較すると決して良くはない。一方脚質は、14頭以上で行われた3回の「後方」で【1.2.0.9】。頭数が増えても直線一気で届く可能性はある。

■表6 前走クラス・レース別成績(レースは好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1000万下 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 900%
1600万下 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
OPEN特別 1-0-0-18/19 5.3% 5.3% 5.3% 47% 11%
G3 0-2-0-29/31 0.0% 6.5% 6.5% 0% 30%
G2 4-5-4-21/34 11.8% 26.5% 38.2% 105% 85%
G1 4-2-6-16/28 14.3% 21.4% 42.9% 61% 74%
地方 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
海外 1-0-0-1/2 50.0% 50.0% 50.0% 120% 55%
中山記念 3-2-1-11/17 17.6% 29.4% 35.3% 190% 81%
有馬記念 3-1-3-10/17 17.6% 23.5% 41.2% 93% 72%
京都記念 1-2-2-4/9 11.1% 33.3% 55.6% 41% 80%
ジャパンC 1-1-1-2/5 20.0% 40.0% 60.0% 24% 82%
大阪城S 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 90% 22%
凱旋門賞 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 240% 110%
アメリカJCC 0-1-1-2/4 0.0% 25.0% 50.0% 0% 195%
中日新聞杯(3月) 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 45%
東京新聞杯 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 163%
調布特別 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 900%
菊花賞 0-0-2-0/2 0.0% 0.0% 100.0% 0% 220%

続いて表6は、前走クラス・レース別の成績。表2の天皇賞(秋)に比べればG3以下からの好走馬も少し多いが、それでも中心は前走G1〜G2組。G1昇格で、この傾向がより強まると考えるのが自然だろう。また、有馬記念やジャパンC以来の馬でも複勝率は高く、天皇賞(秋)で宝塚記念組がまずまずの結果を出していたのと同様に考えたい。その国内G1組のうち、前走5着以内だった馬は計【3.2.5.4】複勝率71.4%と安定した走りを見せていた。 なお、今年は金鯱賞(G2)が3月に移動し、従来の中日新聞杯(G3)と置き換わった。その中日新聞杯組は【0.1.0.9】で、以前の同時期、中京記念組も【0.0.0.9】である。ただ、秋の天皇賞では、同じ中2週の毎日王冠組から好走馬が多数。そして、同距離2000mのG2・札幌記念も悪くないだけに、数年の結果が出るまでは判断を保留したい。少なくとも、昨年までの中日新聞杯組の成績を見て「消し」と判断するのは避けたい。

■表7 前走中央G2組の前走着順・人気別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年 参考:天皇賞(秋)
前走1着 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 120% 0-1-0-0 3-3-4-19
前走2着 3-0-0-4/7 42.9% 42.9% 42.9% 461% 87% 1-0-0-3 3-1-1-15
前走3着 1-2-2-1/6 16.7% 50.0% 83.3% 61% 125% 0-2-1-0 1-0-1-13
前走4着 0-1-1-3/5 0.0% 20.0% 40.0% 0% 76% 0-0-0-10 0-0-0-8
前走5着 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 265% 0-1-1-5
前走6〜9着 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 1-1-0-26
前走10着〜 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 83% 0-0-0-15
前走1人気 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 160% 該当なし 4-4-4-13
前走2人気 1-2-3-3/9 11.1% 33.3% 66.7% 41% 107% 0-2-1-2 1-0-1-11
前走3人気 0-1-0-4/5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 24% 0-1-0-2 0-0-0-12
前走4人気 2-0-0-2/4 50.0% 50.0% 50.0% 270% 80% 1-0-0-0 1-0-1-14
前走5人気 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-9 1-1-0-13
前走6〜9人 0-1-1-7/9 0.0% 11.1% 22.2% 0% 114% 1-1-1-26
前走10人〜 1-0-0-3/4 25.0% 25.0% 25.0% 537% 72% 0-0-0-12

最後に、登録馬の多い前走G2組について、前走人気・着順別成績も見ておきたい。基本的には「上位人気で好走した馬」が良く、特に近5年は4番人気以内かつ3着以内だった馬しか好走していない。また、天皇賞(秋)では、特に前走連対馬や前走1番人気馬が好成績を収めていた。

【結論】

G2時代の本競走や、秋で似た位置づけにある天皇賞(秋)では、1番人気が安定しており、2番人気も上々。7〜8番人気より下位になると苦戦している。また、前走はG1〜G2が中心。G2組なら上位人気で好走してきた馬が狙いだ。年齢は4〜5歳優勢、内枠を引いた馬は割り引きたい。

2016/11/27 東京11R ジャパンカップ(G1) 1着 1番 キタサンブラック

今年の出走予定馬で、前走がG1競走だったのは有馬記念2着のキタサンブラック1頭。表6本文で記したように、前走G1で5着以内だった馬は複勝率70%台と安定している上、本競走、天皇賞(秋)ともに上位人気が強い傾向から、特に1番人気に推されれば最有力になる。ただし、本競走の1、2枠は過去10年連対馬不在。本馬はこのところ1〜2番枠で好走が続いているが、今回にかぎっては内枠を引くとマイナスになる可能性があることは覚えておきたい。

一方、G2組で近年の傾向「前走4番人気以内かつ3着以内」をクリアするのは、マカヒキ、ヤマカツエース、サトノクラウン、モンドインテロ。年齢を重視すれば4歳馬(表4)・マカヒキ。表7右の天皇賞(秋)の結果を踏まえ「前走1番人気で連対」を重視するならヤマカツエース。その次位にサトノクラウンとなる。なお、モンドインテロは近年の傾向からは外れる穴馬(表3)になりそうだが、過去10年の本競走出走馬のうち、前走G1〜G2を0.3秒差で敗退した馬は【1.2.4.0】複勝率100%というデータがある。人気の傾向は無視して、穴を狙いたい方にはオススメだ。ほかに0.3秒差敗退馬は、ステファノスとミッキーロケットが該当する。いずれにしても、このあたりは枠順(表5)も踏まえた上で拾っていきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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