データde出〜た
第1094回 1強で大丈夫!? フィリーズレビューを分析する
2017/3/9(木)
今週は日曜に中山牝馬S、阪神で桜花賞トライアルのフィリーズレビューが行われる。今回のデータde出〜たでは、3着までに桜花賞への優先出走権が与えられるフィリーズRをピックアップ。過去5年で毎年1頭は7番人気以下の伏兵が激走しており、一筋縄ではいかない一戦だ。それでは2012年以降に良馬場で行われた過去5年のデータから好走馬の特徴を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 フィリーズR近5回の上位3着以内馬一覧(2012年以降)
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 | レース上がり |
2016 (良) |
1 | ソルヴェイグ | 1分22秒1 | 8 | 3 | 34秒6 | 47秒2 | 34秒9 |
2 | アットザシーサイド | 1馬身1/4 | 1 | 10 | 34秒4 | |||
3 | キャンディバローズ | ハナ | 2 | 1 | 35秒1 | |||
2015 (良) |
1 | クイーンズリング | 1分22秒5 | 1 | 13 | 34秒9 | 46秒7 | 35秒8 |
2 | ペルフィカ | 3/4馬身 | 7 | 13 | 35秒0 | |||
3 | ムーンエクスプレス | 1/2馬身 | 2 | 2 | 35秒8 | |||
2014 (良) |
1 | ベルカント | 1分22秒3 | 2 | 4 | 35秒3 | 46秒7 | 35秒6 |
2 | ニホンピロアンバー | 1馬身1/4 | 13 | 1 | 35秒8 | |||
3 | エスメラルディーナ | アタマ | 6 | 4 | 35秒5 | |||
2013 (良) |
1 | メイショウマンボ | 1分22秒1 | 3 | 11 | 34秒8 | 46秒7 | 35秒4 |
2 | ナンシーシャイン | 1馬身1/4 | 4 | 4 | 35秒3 | |||
3 | ティズトレメンダス | 1/2馬身 | 11 | 1 | 35秒7 | |||
2012 (良) |
1 | アイムユアーズ | 1分22秒8 | 1 | 3 | 36秒5 | 46秒1 | 36秒7 |
2 | ビウイッチアス | 1馬身1/4 | 8 | 8 | 36秒2 | |||
3 | プレノタート | クビ | 7 | 13 | 35秒5 |
まず表1は近5年の上位3着以内馬一覧。勝ちタイムは5年ともに1分22秒台とまとまっており、高速決着にはなっていない。前半800m通過は46秒1〜47秒2と違いはあり、レース上がりもその年によって違っている。昨年はそれまでに5年に比べ、前半が遅く、上がりが速いレースだった。
4角通過順を見ると、逃げ・先行馬で決まった14年以外は10番手以下の差し・追い込み馬が激走している。追い込んだ馬の中にはメイショウマンボやクイーンズリングといった後のG1馬がいるものの、12年3着プレノタートや15年2着ペルフィカといった人気薄も含まれている。人気順では1番人気馬【2.1.0.2】、2番人気馬【1.0.2.2】でともに複勝率60%と悪くないものの、3〜6番人気馬は複勝率20%以下と低い。7番人気以下の好走がのべ6頭と目立つ。14年には馬連7万6030円、3連単175万540円と大波乱となった。
■表2 フィリーズR出走馬の所属別成績(2012年以降)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
美浦 | 1- 2- 1-10/14 | 7.1% | 21.4% | 28.6% | 25% | 98% |
栗東 | 4- 3- 4-59/70 | 5.7% | 10.0% | 15.7% | 58% | 124% |
表2は出走馬の所属別成績。出走数は少ないものの、美浦所属の関東馬が【1.2.1.10】。12年アイムユアーズが勝利し、連対率21.4%・複勝率28.6%と高い。ただし、近2年は3着以内馬が出ておらず、3着以内馬4頭中3頭は6番人気以内に支持されていた。
栗東所属の関西馬は【4.3.4.59】で昨年のソルヴェイグら4勝。連対率・複勝率では関東馬に劣るものの、3着以内馬11頭5頭が7番人気以下の伏兵馬だった。
■表3 フィリーズRの枠番別成績(2012年以降)
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1枠 | 2- 1- 0- 7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 328% | 111% |
2枠 | 2- 0- 0- 8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 79% | 35% |
3枠 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 42% |
4枠 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 18% |
5枠 | 0- 1- 2- 7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0% | 66% |
6枠 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 552% |
7枠 | 0- 1- 1-10/12 | 0.0% | 8.3% | 16.7% | 0% | 65% |
8枠 | 1- 0- 1-10/12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 30% | 90% |
表3は枠番別成績。表の黄色で強調しているように、1枠の馬が昨年のソルヴェイグら2勝をあげ、連対率・複勝率30%と高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。内枠の1・2枠の馬で5勝中4勝をあげている点は注意したい。対して、2・3着馬は外目の5〜8枠から多く出ている。
■表4 フィリーズRの前走レース別成績(2012年以降)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
阪神JF | 1- 2- 2-10/15 | 6.7% | 20.0% | 33.3% | 23% | 411% |
こぶし賞(500万下) | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 146% | 183% |
菜の花賞(500万下) | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 180% | 95% |
500万下・牝 | 1- 0- 0- 7/ 8 | 12.5% | 12.5% | 12.5% | 340% | 58% |
朝日杯FS | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 560% | 260% |
クロッカスS | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 210% |
春菜賞(500万下) | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 126% |
クイーンC | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 70% |
ジュニアC | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 210% |
はこべら賞(500万下) | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 900% |
エルフィンS | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走レース別成績。出走数が最も多い阪神JF組は12年アイムユアーズが勝利し、連対率20.0%・複勝率33.3%。昨年は2着アットザシーサイド・3着キャンディバローズが該当し、13年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。朝日杯FS組は14年ベルカントが勝利。その他の3勝は前走500万下組から出ている。
なお、クイーンC組は12年3着プレノタートのみ。この組の出走馬5頭中4頭が阪神JF→クイーンCからの臨戦で、12年イチオクノホシは阪神JF4着・クイーンC2着だったもののフィリーズRでは4着に敗れている。また、エルフィンS組はすべて4着以下と苦戦傾向にある。
■表5 フィリーズRの前走コース別成績(2012年以降)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
中山芝1600m | 2- 0- 1- 7/10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% | 92% | 87% |
阪神芝1600m外 | 1- 2- 2-10/15 | 6.7% | 20.0% | 33.3% | 23% | 411% |
京都芝1600m | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 146% | 183% |
京都芝1400m外 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 388% | 67% |
東京芝1400m | 0- 2- 0- 4/ 6 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 133% |
東京芝1600m | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0% | 58% |
中京ダ1400m | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 900% |
その他のコース | 0- 0- 0-36/36 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は前走コース別成績。前走中山芝1600m組が一昨年のクイーンズリング(前走菜の花賞)ら最多の2勝をあげている。また、前走京都芝1600m組も13年メイショウマンボ(前走こぶし賞)が勝利しており、相性が良い。前走ダートの馬は13年にディズトレメンダスが11番人気で3着と激走している。同馬は前走中京ダート1400mのはこべら賞で先行して勝利していた。
なお、前走1200mからの距離延長馬は【0.0.0.17】ですべて着外と苦戦傾向にある。
■表6 阪神JF組の前走脚質別成績(2012年以降)
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 5520% |
先行 | 1- 0- 2- 2/ 5 | 20.0% | 20.0% | 60.0% | 70% | 102% |
差し | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 28% |
追い込み | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表6は阪神JF組の前走脚質別成績。表の黄色で示したように阪神JFで前に行った組が好成績をあげている。阪神JFで逃げた14年ニホンピロアンバーは前走で3秒2差の17着と大敗していたが、13番人気と人気薄ながら2着に巻き返している。対して、前走差し・追い込みに回った組は昨年2着のアットザシーサイド(1番人気)のみ。阪神JF組は前走で逃げ・先行した馬を狙っていきたい。
■表7 500万下組の前走距離別成績(2012年以降)
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1200m | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
1400m | 1- 1- 1-12/15 | 6.7% | 13.3% | 20.0% | 181% | 116% |
1600m | 2- 1- 0- 2/ 5 | 40.0% | 60.0% | 60.0% | 160% | 148% |
1700m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表7は前走クラス別で出走数が最も多い前走500万下【3.2.1.24】の前走距離別成績。前走1600m組が【2.1.0.2】で13年メイショウマンボ、15年クイーンズリングの2勝。これら連対した3頭は前走を勝利していた。また、前走1400m組は昨年のソルヴェイグが勝利。同馬は前走500万下で5着に敗れていたが、フィリーズRで巻き返している。連対率・複勝率では前走1600m組には劣るものの、複勝回収率で100%を超えていて期待値は高い。
なお、前走1200m組・1700m組からは3着以内馬が出ていない。
<結論>
■表8 今年のフィリーズRの出走予定馬(3/8現在)
馬名 | 所属 | 前走成績 |
ジューヌエコール | 栗東 | 阪神JF 11着 |
レーヌミノル | 栗東 | クイーンC 4着 |
クインズサリナ | 栗東 | 阪神JF 15着 |
アズールムーン | 美浦 | 兵庫JG 5着 |
カナクレナイ | 栗東 | 万両賞 1着 |
ゴールドケープ | 栗東 | 阪神JF 6着 |
タガノカトレア | 栗東 | 牝500万下 1着 |
デスティニーソング | 栗東 | かささぎ賞 1着 |
ビーカーリー | 栗東 | エルフィンS 7着 |
ベルカプリ | 栗東 | 牝500万下 1着 |
アカカ | 栗東 | 牝500万下 10着 |
アルミューテン | 美浦 | クイーンC 11着 |
アンジュデジール | 栗東 | 牝500万下 5着 |
ヴィルデローゼ | 栗東 | 牝未勝利 1着 |
エンゲルヘン | 栗東 | 牝500万下 2着 |
シグルーン | 栗東 | 阪神JF 14着 |
ステラルーシュ | 栗東 | 未勝利 1着 |
スリーミスヨハネス | 栗東 | あすなろ賞 10着 |
スリーランディア | 栗東 | 牝500万下 4着 |
ドロウアカード | 栗東 | 白菊賞 3着 |
ビップキャッツアイ | 栗東 | チューリップ賞 9着 |
フラウティスタ | 栗東 | 牝500万下 7着 |
モズカッチャン | 栗東 | 未勝利 1着 |
ヤマカツグレース | 栗東 | ファンタジーS 9着 |
ラーナアズール | 美浦 | エルフィンS 4着 |
今年の出走予定馬は表8のとおり。
断然の1番人気に推されそうなのが阪神JFの3着馬レーヌミノル。前走のクイーンCは4着に敗れたものの、芝1400mの京王杯2歳Sは2着でこの距離なら主役を張れると思われるだろう。ただし、表4でも述べたように前走クイーンC組からは連対馬が出ていないこと、さらに月曜アップ分のデータde出〜たで芝1400m重賞における1番人気馬の低さを取り上げたことからも鉄板とはいえないだろう。馬券的な妙味はなく、あくまでおさえ程度の評価に止めておきたい。
前走阪神JF組からはジューヌエコール、クインズサリナ、ゴールドケープと3頭が出走予定しているが、その中で最先着のゴールドケープを一番手で推奨しておきたい。前走の阪神JFは先行して6着。この組は前に行った馬が狙い目で、人気馬が上位を占める中で力を見せた一戦だった。2走前には芝1600mの500万下を勝利している点も見逃せない。また、ジューヌエコールは前走こそ11着と大敗したものの、2走前には牡馬相手にデイリー杯2歳Sを勝利するなど実力は高い。巻き返しは十分可能だろう。
前走500万下組では前走万両賞を勝利したカラクレナイに注目。今回と同じコースで行われた前走の勝ちタイムが優秀で、前走だけ走ればここでも勝ち負けできる計算が立つ。4週連続で重賞勝利するなど騎乗リズムが良いM.デムーロ騎手が騎乗予定なのも追い風だろう。
最後に前走ダート1400mの500万下を勝利したタガノカトレア。表5であげたディズトレメンダスの前例があり、初芝でも好走しておかしくない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。