第1084回 前走クラスと年齢の関係に注目 東京新聞杯分析|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1084回 前走クラスと年齢の関係に注目 東京新聞杯分析

2017/2/2(木)

安田記念やヴィクトリアMと同コースで行われる古馬マイル重賞・東京新聞杯。2月上旬に行われるためこれらG1に直結することはないが、波乱も多く馬券的な楽しみは大きな一戦となる。今年はどんな結果が待っているのか、データから分析したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 28% 48%
2 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 96% 63%
3 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 60% 47%
4 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 51%
5 3-1-2-4/10 30.0% 40.0% 60.0% 328% 188%
6 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 102% 98%
7 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 87%
8 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 374% 92%
9 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 138%
10 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
11〜 0-2-2-51/55 0.0% 3.6% 7.3% 0% 123%

2016/2/7 東京11R 東京新聞杯(G3) 1着 6番 スマートレイアー (5番人気)

過去10年の人気別でもっとも成績が良いのは5番人気【3.1.2.4】で、昨年の優勝馬・スマートレイアーも5番人気だった。その他は1〜2番人気の好走確率がやや高い程度にとどまり、近3年はその1〜2番人気が揃って連対を外した。配当妙味も加味すれば、ひと桁人気下位あたりから入る手もあるだろう。単勝オッズで見ると、10.0〜20.9倍が【5.1.4.24】複勝率29.4%を記録し、単複の回収率も208%、115%。また、11番人気以下でも好走馬は4頭を数え、昨年はマイネルアウラートが11番人気単勝オッズ66.7倍で3着に入るなど、単勝70倍後半まで好走馬が出ている。 ただ、今年は本稿執筆時(水曜)の想定で、10頭立て程度に収まりそうだ。後の結論では穴馬を中心にピックアップしているが、14〜16頭で争われた過去10年よりは人気サイドに振れる可能性もあることは頭に入れておきたい。

■表2 好走馬過去1年のG1、1600万出走経験(12年〜)

馬名 性齢 人気 着順 過去1年出走 東京芝16重賞実績
G1 1600万
12 ガルボ 牡5 8 1 × × 10年富士S3着
コスモセンサー 牡5 4 2 ×  
ヒットジャポット 牡5 7 3 ×  
13 クラレント 牡4 2 1 × 12年富士S1着
ダイワマッジョーレ 牡4 5 2 ×  
トライアンフマーチ 牡7 4 3 × × 10年本競走2着
14 ホエールキャプチャ 牝6 8 1 × 12年ヴィクトリアM1着
エキストラエンド 牡5 3 2 ×  
クラレント 牡5 5 3 × 13年本競走1着
15 ヴァンセンヌ 牡6 3 1 ×  
アルフレード 牡6 9 2 × × 12年NHKマイルC2着
フルーキー 牡5 1 3 ×  
16 スマートレイアー 牝6 5 1 ×  
エキストラエンド 牡7 6 2 × 14年本競走2着
マイネルアウラート 牡5 11 3 ×  

好走馬に多いのは、過去1年に1600万条件かG1に出走していた馬で、12年以降の3着以内15頭中12頭が該当する。残る3頭は東京芝1600mの重賞で3着以内(1年以上前も含む)の実績を持つ馬だった。逆に言えば、荒れるといっても、過去1年がオープン特別〜G2ばかりだった馬は、東京マイル重賞で好走実績がなければ苦しい。表は過去5年を掲載したが、07〜11年の3着以内馬でも、上記条件を満たせないのは07年3着のイースターのみである。

■表3 年齢別成績(牡・セン馬)

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 牝馬
4歳 3-2-3-21/29 10.3% 17.2% 27.6% 68% 74% 0-0-0-2
5歳 3-3-6-27/39 7.7% 15.4% 30.8% 80% 162% 0-0-0-6
6歳 2-3-0-23/28 7.1% 17.9% 17.9% 62% 106% 2-0-0-3
7歳 0-2-1-29/32 0.0% 6.3% 9.4% 0% 78% 0-0-0-1
8歳 0-0-0-12/12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9歳 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

本年は牝馬の登録がなかったため、牡・セン馬の年齢別成績を見ると、複勝率なら4歳か5歳。そして複勝回収率は5〜6歳が高く、総合的に見れば5歳馬が一歩リードという形になる。7歳馬は好走しても2〜3着止まり、そして8歳以上は苦戦している。

■表4 枠番・脚質別成績

枠・脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 1-1-5-12/19 5.3% 10.5% 36.8% 23% 207%
2枠 0-3-0-14/17 0.0% 17.6% 17.6% 0% 46%
3枠 4-2-0-14/20 20.0% 30.0% 30.0% 198% 95%
4枠 3-0-2-15/20 15.0% 15.0% 25.0% 202% 91%
5枠 0-1-1-18/20 0.0% 5.0% 10.0% 0% 107%
6枠 1-1-2-16/20 5.0% 10.0% 20.0% 14% 83%
7枠 0-2-0-18/20 0.0% 10.0% 10.0% 0% 116%
8枠 1-0-0-18/19 5.3% 5.3% 5.3% 60% 16%
逃げ 2-1-0-7/10 20.0% 30.0% 30.0% 198% 99%
先行 3-2-5-25/35 8.6% 14.3% 28.6% 93% 154%
中団 4-2-3-52/61 6.6% 9.8% 14.8% 71% 52%
後方 1-5-2-41/49 2.0% 12.2% 16.3% 5% 108%
※脚質はTarget frontier JVによる分類

枠番別では3、4枠が好成績で、特に3枠は6連対を記録。3連対以上はほかに2枠のみ、馬券圏内5頭以上はほかに1枠のみで、全体的には内寄りの枠を引いた馬が優勢だ。馬番で見ると、7番以内が計【8.6.6.48】で複勝率29.4%、複勝回収率121%。8番から外は【2.4.4.7】同11.5%、76%と大きな開きが出ている。 また、脚質は「後方」から優勝したのは10年前の1番人気・スズカフェニックス1頭のみ。単複の回収率から見ても、前々で運べる馬を狙っていきたい。ただ、「中団」「後方」も複勝率こそ低くても好走馬数自体は多いだけに、まったく無視するのは危険。他のデータから良い馬がいれば、あまり脚質を気にしすぎるのも良くないだろう。

■表5 前走クラス別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万下 2-0-0-5/7 28.6% 28.6% 28.6% 252% 100%
OPEN特別 2-6-2-38/48 4.2% 16.7% 20.8% 44% 96%
G3 1-4-4-45/54 1.9% 9.3% 16.7% 5% 107%
G2 2-0-3-15/20 10.0% 10.0% 25.0% 76% 100%
G1 3-0-1-19/23 13.0% 13.0% 17.4% 181% 77%

■表6 前走クラス・年齢別成績

前走 4歳 5歳 6歳 7歳以上
1600万下 0-0-0-2 1-0-0-3 1-0-0-0 0-0-0-0
OPEN特別 1-1-0-5 1-2-2-10 0-3-0-3 0-0-0-20
G3 0-1-1-8 1-1-2-9 0-0-0-13 0-2-1-15
G2 2-0-1-3 0-0-2-2 0-0-0-6 0-0-0-4
G1 0-1-3-4 0-0-0-8 3-0-0-4 0-0-0-4

前走クラス別では1600万からG1まで好走馬が出ているが、出走馬の多いオープン特別とG3からは勝ち馬が計3頭しか出ておらず、勝率もそれぞれ4.2%と1.9%止まりだ。また、表6にあるように、前走クラス別の好走馬は年齢によって大きな偏りがある。7歳以上で好走したのは前走G3のみ。6歳はG3〜G2の19頭がすべて馬券圏外、さらに5歳はG2以上からの連対馬が不在だ。4歳の1600万はサンプル不足の感もあるものの、その他はある程度の頭数が出走して馬券圏内なし、あるいは連対なしという結果に終わっているだけに、軽視はできない傾向だ。

■表7 前走レース別成績(好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
ニューイヤーS 2-3-2-13/20 10.0% 25.0% 35.0% 106% 140%
阪神C 2-0-3-11/16 12.5% 12.5% 31.3% 95% 125%
エリザベス女王杯 2-0-0-2/4 50.0% 50.0% 50.0% 755% 220%
京都金杯 1-3-2-30/36 2.8% 11.1% 16.7% 7% 84%
マイルCS 1-0-1-12/14 7.1% 7.1% 14.3% 82% 64%
元町S(1600万) 1-0-0-1/2 50.0% 50.0% 50.0% 300% 120%
クリスマスC(1600万) 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 1170% 460%
キャピタルS 0-2-0-4/6 0.0% 33.3% 33.3% 0% 50%
中山金杯 0-1-1-3/5 0.0% 20.0% 40.0% 0% 108%
ファイナルS 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 510%
中日新聞杯(前年12月) 0-0-1-1/2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 1100%

最後に表7は前走レース別の成績である。表5で記したようにオープン特別やG3からの出走馬が多かったが、オープン特別組の中心はニューイヤーS、そしてG3組の中心は京都金杯と、ともにマイル戦である。この両者は好走確率に差があり、ニューイヤーS組は複勝率35.0%、単複の回収率も100%を突破。対して京都金杯組は複勝率16.7%で、優勝馬1頭が07年の1番人気・スズカフェニックス(単勝280円)だったため、単勝回収率は7%と低い値が出ている。その他の好走馬は分散傾向で、本年登録馬の前走で好走馬を出しているのはマイルCSと元町Sのみである(背景白)。 なお3着以内好走馬のうち、もっとも間隔が開いていたのは、中13週だった14年の優勝馬・ホエールキャプチャ(エリザベス女王杯以来)。好走馬の前走最長距離も、そのエリザベス女王杯の2200mとなっている。

【結論】

3年連続で1〜2番人気が揃って連対を外すなど、波乱傾向にある東京新聞杯。5番人気や単勝10〜20倍あたりを中心に、2桁人気まで幅広く好走馬が出ている。年齢は5歳優勢だが、年齢によって前走クラス別の成績に偏りがあり、その5歳ならG2以上だった馬は連対なしなどとなる。過去に出走馬が多い中では、同じマイル重賞の京都金杯組よりは、オープン特別のニューイヤーS組のほうが好成績だ。

2017/1/15 中山10R ニューイヤーステークス 1着 11番 マイネルアウラート

荒れ模様のレースのため穴っぽい馬から挙げれば、まず昨年の3着馬・マイネルアウラート。前走別で好成績のニューイヤーS(表7)を制しており、6歳のオープン特別組は好走可能(表6)。その後1年間オープン特別かG3ばかりに出走しているが、昨年の本競走3着で「東京芝1600m重賞」好走となり、表2からも問題はない。一方の京都金杯組では、配当妙味も含め9着馬のブラックムーン。好走の多い5歳馬で、前走G3なら問題なし(表3、表6)。4走前に1600万を制し、こちらは表2を「過去1年に1600万かG1出走」でクリアする。京都金杯組がニューイヤーSとの比較でやや見劣ることが気にならなければ(表7)、本馬を上位に取っても良さそうだ。いずれも、単勝5番人気あたりか10倍台になれば(表1、同本文)、より強く推せる存在になる。

さらに人気薄が予想される中では、6歳でオープン特別組のタガノブルグ。14年に同コース・NHKマイルC2着の実績があり表2はクリア。昨年の本競走こそ12着に敗退したが、その後は左回りで4、3、3、4着だけに、前走阪神のタンザナイトS11着には目をつむって狙う手もあるだろう。その他では、1番人気必至だがエアスピネルも大きな減点材料まではなく、軽視禁物。また、4歳の1600万組【0.0.0.2】をどう見るかにもよるが、今年のメンバーでは数少ない好走馬輩出レース・元町Sを勝ち上がったロイカバードも候補の1頭だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)