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第1080回 4角2番手以内を取れ!? AJC杯を分析

2017/1/19(木)

先週は降雪により変則の4日開催となった。かなりスケジュールは狂ったが、予定通りいけば、すぐに今週末に開催が行われる。日曜日の中山メインを飾るのはAJC杯。今回は同レースの過去10年のデータを分析し、レースの展望を行ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 AJC杯の人気別成績(過去10年)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 主な好走馬
1番人気 2-  0-  0-  8/ 10 20.0% 20.0% 20.0% ルーラーシップ
2番人気 4-  2-  2-  2/ 10 40.0% 60.0% 80.0% ディサイファ
3番人気 1-  1-  2-  6/ 10 10.0% 20.0% 40.0% ダノンバラード
4番人気 2-  0-  1-  7/ 10 20.0% 20.0% 30.0% クリールカイザー
5番人気 1-  2-  0-  7/ 10 10.0% 30.0% 30.0% ネヴァブション
6番人気 0-  1-  3-  6/ 10 0.0% 10.0% 40.0% ミラビランベリ
7番人気 0-  1-  2-  7/ 10 0.0% 10.0% 30.0% ミトラ
8番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%  
9番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% シャドウゲイト
10番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%  
11番人気 0-  1-  0-  8/  9 0.0% 11.1% 11.1% サクラアルディート
12番人気 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0%  
13番人気 0-  0-  0-  6/  6 0.0% 0.0% 0.0%  
14番人気 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0%  
15番人気 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0%  
16番人気 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0%  
17番人気 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0%  

まずは過去10年のAJC杯の人気別成績を見てみよう。1番人気は【2.0.0.8】という成績。勝利したのはルーラーシップとトーセンジョーダンのみ。ともに後にG1勝利を飾ることになる実力馬で、前走は有馬記念で5着以内に好走していた。もっともそれ以上の実績があったゴールドシップは15年に1番人気で7着に敗退している。実績馬とはいえ負けることがあり、1番人気馬が信頼できるとはとても言えない

一方、2番人気は【4.2.2.2】の好成績。昨年優勝のディサイファやヴェルデグリーン、エアシェイディといったあたりが好走を果たしている。G2で2番人気に支持されるようなケースだと、たいていは過去に重賞で好走実績がある馬ばかりだ。3番人気以下を見ると、勝ち馬は5番人気以内に収まっている。つまり、上がり馬よりは実績がある人気サイドの馬の方が勝ちやすいレースだといえる。

2着馬は11番人気まで出現。ただし、3着は7番人気以内に収まっている。二ケタ人気馬の激走が1回しか例がなく、大きな波乱にはなりにくい傾向だと言えよう。

■表2 AJC杯出走馬の4角位置別成績(過去10年)

4角位置 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
4角1番手 1-  2-  0-  7/ 10 10.0% 30.0% 30.0% 138 148
2番手以内 5-  5-  0- 20/ 30 16.7% 33.3% 33.3% 130 170
3番手以内 6-  5-  1- 28/ 40 15.0% 27.5% 30.0% 102 138
4番手以内 7-  7-  3- 31/ 48 14.6% 29.2% 35.4% 95 134
5番手以内 8-  7-  5- 34/ 54 14.8% 27.8% 37.0% 96 138
7番手以内 10-  8-  8- 52/ 78 12.8% 23.1% 33.3% 75 112
10番手以内 10- 10- 10- 75/105 9.5% 19.0% 28.6% 56 95

続いて表2を見てみよう。これはAJC杯出走馬の4角位置別成績。注目すべき点は、4角2番手以内だった馬が【5.5.0.20】という成績。連対馬のちょうど半分がここに収まっている。連対率や勝率は逃げ馬、つまり4角1番手の馬とほぼ同等の30%台。直線が短い中山のレースとはいえ、かなり前残りの傾向があるとみていい。昨年と12年以外の年で、4角2番手以内の馬が連対をしていた。上位人気馬だけでなく、7番人気や11番人気といった馬も好走を果たしている。

実際のレース本番では、具体的な道中のポジションは予測しにくい面はある。しかし、近走のレースっぷりやその馬の個性を考えて、自分から動いて4角2番手以内につけられそうな馬に狙いをつけるべきだろう。

■表3 AJC杯出走馬の前走レース別成績(過去10年)

順位 前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 有馬記念G1 4- 2- 1- 9/16 25.0% 37.5% 43.8% 112 106
2 中山金杯HG3 2- 2- 1-23/28 7.1% 14.3% 17.9% 46 74
3 金鯱賞G2 2- 0- 2- 2/ 6 33.3% 33.3% 66.7% 183 148
4 クリスマ1600 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 106 46
5 ステイヤG2 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 138 47
6 ディセン 0- 2- 2- 4/ 8 0.0% 25.0% 50.0% 0 131
7 中日新聞HG3 0- 1- 1- 2/ 4 0.0% 25.0% 50.0% 0 152
8 天皇賞秋G1 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0 145
9 菊花賞G1 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0 160
10 福島記念HG3 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 1260
11 JCG1 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0 155
12 寿S1600 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0 210
13 クリスH1600 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 460
14 美浦S1600 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
15 ニューイ 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
16 エリザベG1 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
17 万葉SH 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

続いて表3ではAJC杯出走馬の前走レース別成績を示した。好ステップは有馬記念。出走頭数こそ中山金杯に及ばないが、好走率ははるかに高い。さすがにG1組だけあって、その実力は評価すべきだろう。ただし、今年の出走予定馬には同組が不在となっている。

主要ステップは先ほど述べたように中山金杯組。全体的な回収率は良くないが、決して人気馬ばかりが来ているわけではない。同時に中山金杯で5着以下に敗れていた馬が3頭も巻き返している。普通はG3のハンデ戦で敗れている馬が、別定G2で巻き返しやすいということはないはずだが、このレースでは例外にあたる。そうしたことが起きるので注意だ。

あとはステイヤーズSやディセンバーSといった前年暮れの中山のレースから好走を果たしている。1600万クラスからもマツリダゴッホが、前走クリスマスCから勝利を果たしている。金鯱賞や中日新聞杯、福島記念といった比較的近い時期の重賞からの好走馬が多く、休み明けよりは順調に使われている馬を重視すべきだろう。ただし、前走G1組は別。天皇賞秋や菊花賞から好走を果たしている馬がいる。

【結論】

それでは今年のAJC杯を展望してみよう。出走予定馬は表4の通り。

■表4 AJC杯出走予定馬

馬名 前走レース 前着 前脚 前位置
クラリティスカイ 5 中山金杯HG3 2 先行 3-2-3-3
クリールカイザー 8 アルゼンHG2 7 逃げ 1-1-1-1
サイモントルナーレ 11 ステイヤG2 13 逃げ 12-1-2-12
ショウナンバッハ 6 アルゼンHG2 13 先行 3-3-3-2
シルクドリーマー 8 チャレンHG3 15 後方 17-17
シングウィズジョイ 5 エリザベG1 2 先行 4-3-3-3
ゼーヴィント 4 福島記念HG3 2 先行 9-7-4-4
タンタアレグリア 5 天皇賞春G1 4 追込 14-14-14-13
ナスノセイカン 5 ウェルカ1600 1 追込 /11-10-10
ホッコーブレーヴ 9 札幌日経 7 中団 13-13-10-10
マイネルフロスト 6 中山金杯HG3 12 マクリ 9-9-3-3
マイネルメダリスト 9 ステイヤG2 11 後方 7-8-8-9
ミライヘノツバサ 4 迎春S1600 1 先行 2-2-2-2
ヤマニンボワラクテ 6 万葉SH 4 先行 6-6-7-3
リアファル 5 金鯱賞G2 5 先行 3-3-3-4
ルミナスウォリアー 6 ディセン 2 追込 12-11-11-11
ワンアンドオンリー 6 JCG1 8 先行 2-2-2-2

2015/9/27 阪神11R 神戸新聞杯(G2) 1着 6番 リアファル

前述の通り、今年は前走有馬記念出走馬がいない。それに伴い人気面でもやや混戦と予想する。それでも前走比較的好着順で、実績がある馬が上位人気に支持されるはず。過去に神戸新聞杯勝ちがあるリアファルや、セントライト記念で2着の実績があるゼーヴィントあたりが有力か。

シングウィズジョイは前走エリザベス女王杯が人気薄での激走だったため、ここではどうなるか。この3頭は前走で4角前々の競馬をしており、今回もそのような立ち回りをしてくる可能性は十分ある。ただ、他にも前に行きたい馬はいる。クラリティスカイミライヘノツバサは、前走前々の立ち回りで好走を果たしている。

2015/1/25 中山11R アメリカジョッキークラブC(G2) 1着 12番 クリールカイザー

あとは、前走着順は悪いがクリールカイザー。15年のこのレースの勝ち馬で、前走は逃げの手。明け8歳馬ではあるが先行力は衰えていない。このレースの8歳馬の成績は【0.4.1.10】。勝利こそないが、連対率はかなり優秀だ。ライバルに先行馬が多いが、今回も逃げることができれば、4角2番手以内のポジションを取れる可能性がかなり高いのではないだろうか。同馬を連軸として注目してみたい。

実際には枠順が決定してからの判断となるが、リアファルやゼーヴィントを相手本線に。シングウィズジョイやクラリティスカイ、ミライヘノツバサあたりをヒモ候補として考えてみたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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