データde出〜た
第836回 注目のスプリント重賞! セントウルSを分析する
2014/9/11(木)
今週は日曜に新潟で京成杯オータムハンデ、阪神でセントウルSと2つの重賞が行われる。今回のデータde出〜たでは、スプリンターズSの前哨戦として定着しているセントウルSに注目。サマースプリントシリーズの最終戦でもあり、優勝の行方を左右する重要な一戦だ。阪神競馬場でG2として行われた2007年以降の過去7年のデータから同レースを分析していく。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 セントウルS過去7年の成績(07年以降)
年度 | 1着馬 | 人気 | 2着馬 | 人気 | 3着馬 | 人気 | 馬連配当 | 3連単配当 |
2013 | ハクサンムーン | 2 | ロードカナロア | 1 | ドリームバレンチノ | 3 | 240円 | 2420円 |
2012 | エピセアローム | 6 | ロードカナロア | 1 | アンシェルブルー | 12 | 1670円 | 378500円 |
2011 | エーシンヴァーゴウ | 2 | ラッキーナイン | 5 | ダッシャーゴーゴー | 1 | 4760円 | 26290円 |
2010 | ダッシャーゴーゴー | 4 | グリーンバーディー | 2 | メリッサ | 5 | 3700円 | 88570円 |
2009 | アルティマトゥーレ | 5 | スリープレスナイト | 1 | コスモベル | 11 | 1430円 | 103580円 |
2008 | カノヤザクラ | 3 | シンボリグラン | 11 | スプリングソング | 9 | 16600円 | 881820円 |
2007 | サンアディユ | 11 | カノヤザクラ | 7 | キンシャサノキセキ | 1 | 13500円 | 161350円 |
まず表1はセントウルS過去7年の成績一覧。注目したいのは勝ち馬の人気。1番人気で制した馬はおらず、一昨年・昨年のロードカナロアも2着に敗れている。昨年は馬連・3連単ともに堅くおさまったが、その他の年は波乱が多い。実際に2ケタ人気馬の好走が過去7回中4回もあった。
なお、グリーンバーディーやラッキーナインといった香港馬の好走も見られるが、今年は出走予定馬がない。今年はスプリント路線に絶対的な存在がおらず、波乱含みの一戦といえるだろう。
■表2 セントウルSと今年のサマースプリントシリーズの牡牝別成績(07年以降)
レース名 | 性別 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
セントウルS | 牡馬・セン馬 | 2- 5- 4-60/71 | 2.8% | 9.9% | 15.5% | 19% | 54% |
牝馬 | 5- 2- 3-25/35 | 14.3% | 20.0% | 28.6% | 205% | 161% | |
サマースプリントS | 牡馬・セン馬 | 2- 0- 4-33/39 | 5.1% | 5.1% | 15.4% | 101% | 175% |
牝馬 | 3- 5- 1-28/37 | 8.1% | 21.6% | 24.3% | 94% | 120% |
続いて表2はセントウルSと今年のサマースプリントシリーズの牡牝別成績。セントウルSでは、牝馬が一昨年のエピセアロームら5勝と牡馬・セン馬を圧倒している。09年には1〜3着までを牝馬が独占しており、勝率・連対率・複勝率ともに牡馬・セン馬を大きく離している。
また、今年のサマースプリントシリーズはここまで5戦を終了。第2戦のCBC賞でトーホウアマポーラ、第4戦の北九州記念でリトルゲルダ、第5戦のキーンランドCはローブティサージュと牝馬が制している。また、第1戦の函館スプリントSでは2着ローブティサージュが2着、第3戦のアイビスSDでもフクノドリームが2着と5戦すべてで牝馬が連対をおさめていた。なお、牡馬・セン馬の単勝回収率・複勝回収率が100%を超えているが、函館スプリントSで8番人気のガルボが制したのが大きかった。
■表3 セントウルSの前走レース別成績(07年以降/日本馬のみ)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
北九州記念 | 4- 1- 2-37/44 | 9.1% | 11.4% | 15.9% | 143% | 78% |
アイビスSD | 3- 0- 0- 2/ 5 | 60.0% | 60.0% | 60.0% | 452% | 152% |
函館スプリントS | 0- 1- 1- 1/ 3 | 0.0% | 33.3% | 66.7% | 0% | 93% |
安田記念 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 14% |
高松宮記念 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 40% |
キーンランドC | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 190% |
CBC賞 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 22% |
NHKマイルC | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 410% |
朱鷺S | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 244% |
谷川岳S | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 150% |
その他のレース | 0- 0- 0-17/17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は前走レース別成績。出走数が抜けて多いのが北九州記念組で10年ダッシャーゴーゴーら4勝をあげている。連対率・複勝率は高くないが、この組の取捨選択が馬券的中へのカギを握っているのは間違いない。なお、この組の3着以内馬7頭中6頭は牝馬が占めていた。
アイビスSD組は昨年のハクサンムーンら3勝と結果を残しているが、今年はこの組の出走予定馬はなかった。過去7回の勝ち馬は上記2レースに絞られていた。
他では少数ながら、函館スプリントS組が好相性。安田記念組は昨年2着のロードカナロア、高松宮記念組は09年2着のスリープレスナイト。ともにスプリントG1での優勝経験があり、セントウルSで1番人気に推されていた。キーンランドC組の2着は08年シンボリグランのみ。
なお、連対馬はすべて前走で重賞を使われており、オープン特別組は【0.0.2.14】で3着までだった。
■表4 セントウルSの前走からの間隔別成績(07年以降)
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
連闘 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中1週 | 0- 1- 1- 13/ 15 | 0.0% | 6.7% | 13.3% | 0% | 202% |
中2週 | 1- 0- 0- 10/ 11 | 9.1% | 9.1% | 9.1% | 150% | 36% |
中3週 | 3- 1- 2- 29/ 35 | 8.6% | 11.4% | 17.1% | 133% | 87% |
中4〜8週 | 3- 0- 0- 5/ 8 | 37.5% | 37.5% | 37.5% | 282% | 95% |
中9週〜半年 | 0- 5- 4- 25/ 34 | 0.0% | 14.7% | 26.5% | 0% | 65% |
半年以上 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走からの間隔別成績。勝ち馬7頭はすべて中2週〜中8週の間におさまっている。表3で見ていただいたように、北九州記念組とアイビスSD組が該当。つまり、夏競馬を使われた馬は毎年優勝しているわけだ。
逆に、中9週以上空いた馬は2・3着こそ多いものの、勝ち星をあげられていない。中9週〜半年以内の組の3着以内馬9頭中7頭はセントウルSで3番人気以内に支持されていた。
■表5 北九州記念組の3着以内馬の重賞実績(07年以降)
年度 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 該当年の重賞実績 |
2012 | エピセアローム | 牝3 | 6 | 1 | チューリップ賞 2着 |
2011 | エーシンヴァーゴウ | 牝4 | 2 | 1 | アイビスSD 1着 |
2010 | ダッシャーゴーゴー | 牡3 | 4 | 1 | CBC賞 2着 |
メリッサ | 牝6 | 5 | 3 | 北九州記念 1着 | |
2009 | コスモベル | 牝5 | 11 | 3 | オーシャンS 2着 |
2007 | サンアディユ | 牝5 | 11 | 1 | アイビスSD 1着 |
カノヤザクラ | 牝3 | 7 | 2 | ファルコンS 2着 |
表5は北九州記念組で3着以内に入った7頭の該当年の重賞実績。7頭すべてその年の重賞で連対を果たしていた。また、エピセアロームは前年の小倉2歳Sを勝利しており、カノヤザクラが2着に入ったファルコンSは当時芝1200m戦だった。つまり、芝1000〜1200m戦で好結果を残している馬ばかりだった。この組は該当年の重賞実績をチェックしておきたい。
<結論>
■表6 今年のセントウルSの出走予定馬(9/10現在)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
ハクサンムーン | 牡5 | 高松宮記念 5着 |
トーホウアマポーラ | 牝5 | CBC賞 1着 |
マヤノリュウジン | 牡7 | UHB賞 1着 |
ダッシャーゴーゴー | 牡7 | クリスF国際S 10着 |
リトルゲルダ | 牝5 | 北九州記念 1着 |
エピセアローム | 牝5 | 北九州記念 7着 |
エーシントップ | 牡4 | 高松宮記念 4着 |
フォーエバーマーク | 牝6 | キーンランドC 6着 |
メイショウイザヨイ | 牝5 | 北九州記念 2着 |
プリンセスメモリー | 牝7 | ヴィクトリアM 18着 |
バクシンテイオー | 牡5 | 新潟日報賞 1着 |
スギノエンデバー | 牡6 | 北九州記念 16着 |
ツルマルレオン | 牡6 | 北九州記念 10着 |
リアルヴィーナス | 牝3 | 北九州記念 13着 |
アンバルブライベン | 牝5 | 北九州記念 4着 |
アルマリンピア | 牝6 | 北九州記念 15着 |
ジョウノボヘミアン | 牡8 | BSN賞 6着 |
人気になりそうなのは昨年の勝ち馬ハクサンムーン。昨秋はスプリンターズSでもロードカナロアの2着と健闘したが、今年はオーシャンS13着・高松宮記念5着と精彩を欠いている。昨年は夏場にCBC賞・アイビスSDと連戦したが、今年は高松宮記念からの直行と臨戦過程が違う。表4の中9週以上は勝ち星なしのデータからしても勝利は厳しいのではないか。スンナリ行けなければ、オーシャンSのような惨敗もありえるだろう。
評価したいのは夏場に重賞で実績を残した牝馬。CBC賞組では1着トーホウアマポーラ・2着エピセアローム、北九州記念組では1着リトルゲルダ・2着メイショウイザヨイが浮かび上がってくる。
この4頭のなかでもリトルゲルダを中心視したい。前走で重賞初制覇となったが、2月のシルクロードSでも3着と好走。勝ったストレイトガールに次ぐ33秒3の脚で2着レディオブオペラにハナ差まで迫る好内容だった。今夏も半年ぶりのアイビスSDで勝ち馬から0秒2差の4着後に前走で勝利を果たしている。サマースプリントシリーズでもトップのローブティサージュと2ポイント差の13ポイントで、今回の内容次第ではチャンピオンも十分にありえる。北九州記念2着のメイショウイザヨイは前走2番手からの競馬。前々で決着した内容で恵まれた部分はあった。今回も先行策でどこまで粘れるか。
CBC賞組はトーホウアマポーラ、エピセアロームともに評価したい。トーホウアマポーラは今年に入って本格化が著しく、エピセアロームも2年前のセントウルSでロードカナロアを差し切っている。今年は勝利こそないものの、上位と差がない競馬をしており、今回はチャンスだろう。
なお、連勝中のマヤノリュウジンは前走オープン特別組。表3で示したようにこれまで3着止まりだ。同馬は昨年のセントウルSは7着、後方一気では厳しいかもしれない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。