DataLab.(データラボ)第3回 複勝・3連複連動理論
- 「ソフトを作ってくれる人がもっと増えると嬉しいですね」高橋正視
- 新潟県出身、競馬歴約40年。コンピュータとのつきあいは、パソコンが登場するはるか前、大型計算機の時代から。ソフト開発のきっかけは「馬券を当てるため」ではなく、テストを採点する理論を検証するために競馬のデータを利用したことからという、競馬ソフト作者としては少々珍しいタイプの61歳。
インタビュー記事 インタビュアー/市丸博司(2007/5)
Windows以外でも使えればより便利に
市丸:漠然と「複勝と3連複の関係」といってもなにを調べれば良いのか難しいと思うのですが、具体的にはどこに注目したのでしょう?
高橋:このソフトでは、そのレースに複勝オッズの下限が1倍台の馬が何頭いるか、という点に注目しています。1倍台3頭というレースが最も多いのですが、3連複をよく知らない人がその組み合わせを買ったらどうなるのか……。
市丸:配当は間違いなく安いですよね。あとはどのくらいの確率で来るか、ってことですね。
高橋:データを分析すると、そういうレースがその3頭で決着する確率は10%を切ってしまうんですよ。だから5倍6倍なら買わない、15〜16倍なら買ってもいいかな、と。これがまた30倍とかになると来ないんですけれど。
市丸:なるほど。そうやって1倍台が2頭なら、1頭なら、という形で分類していくのですね。
高橋:本当は1.1倍と1.9倍では違うだろう、とかいろいろあるのですが、なかなかそこまで細かく分析する時間もないもので……。ただ、そういう予想だけではなく、馬連と馬単でどう資金配分をしたら良いのかとか、様々な機能をつけていますので、ユーザの方にはそのあたりも利用して欲しいですね。自分が欲しい機能をつけていっただけなのですが(笑)。
市丸:ほかに、ソフトのユーザさんや、他のソフト作者さんへなにかメッセージはありますでしょうか?
高橋:私「オープンソースソフトウェア協会(OSSAJ)」の理事をやっているのですが、競馬ソフトの世界ももっとソースを公開して、みんなで共有できるといいですね。予想の根幹に関わる部分は公開したくないと思いますけれど、情報を取得する部分なんかを共有できれば、いろんな人がソフトを作りやすくなりますから。
市丸:あまりそういうのは見られませんけれど、どんな理由があるのでしょう?
高橋:一番の理由は、他人に見せるにはソースが「みっともない」ことじゃないでしょうか。私のも、ソースを公開するのはお恥ずかしい(笑)。
市丸:とりあえず自分がわかればいいっていうのと、他人に見せるのは違いますよね(笑)。あと、高橋さんは本を書かれていて、JRA-VANの推薦図書にもなっていますね。
高橋:JRA-VANのデータの取り方を説明した本です(「競馬のソフトを作って儲けましょう! ― JRA-VAN Data Lab.の利用のしかた」イデア出版局)。こういうものを参考に、ソフトを作ってくれる人がもっと増えると嬉しいですね。それと将来的には、WindowsだけではなくLinuxの入ったPCとか、携帯やPDAでもJRA-VANのデータを使ったソフトが作れるようになって、この世界がもっと活性化していくことを期待しています。
市丸:本日はありがとうございました。