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血統分析

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母父ノーザンダンサー系のティーハーフに注目

1)サンデーサイレンス系とサクラバクシンオーを過信するな

過去10年間、サンデーサイレンスとその後継種牡馬たちの産駒は、のべ41頭が走って未勝利。2003年にサンデーサイレンスの子デュランダルが勝っているものの、そのデュランダルも2004年と2005年は2着に終わり、高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキ(父Fuji Kiseki)ですらスプリンターズSでは2着2回が精一杯。昨年もストレイトガール(父フジキセキ)が2着だった。

また短距離ナンバー1種牡馬であるはずのサクラバクシンオーもスプリンターズSでは不振。この10年間で、のべ23頭が走って3着が1回だけ。現役時からは想像しにくいほどの相性の悪さである。

【過去10年の連対馬の父と母父】

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日付L 馬名 種牡馬 母父馬
2014.10.5 1 18 スノードラゴン アドマイヤコジーン タヤスツヨシ
2014.10.5 2 9 ストレイトガール フジキセキ タイキシャトル
2013.9.29 1 10 ロードカナロア キングカメハメハ Storm Cat
2013.9.29 2 7 ハクサンムーン アドマイヤムーン サクラバクシンオー
2012.9.30 1 16 ロードカナロア キングカメハメハ Storm Cat
2012.9.30 2 14 カレンチャン クロフネ トニービン
2011.10.2 1 10 カレンチャン クロフネ トニービン
2011.10.2 2 3 パドトロワ スウェプトオーヴァーボード フジキセキ
2010.10.3 1 7 $ウルトラファンタジー Encosta de Lago Sir Ivor
2010.10.3 2 14 $キンシャサノキセキ Fuji Kiseki Pleasant Colony
2009.10.4 1 13 ローレルゲレイロ キングヘイロー テンビー
2009.10.4 2 9 ビービーガルダン チーフベアハート Westminster
2008.10.5 1 14 スリープレスナイト クロフネ Nureyev
2008.10.5 2 15 $キンシャサノキセキ Fuji Kiseki Pleasant Colony
2007.9.30 1 7 アストンマーチャン アドマイヤコジーン Woodman
2007.9.30 2 6 サンアディユ フレンチデピュティ Caerleon
2006.10.1 1 13 $テイクオーバーターゲット Celtic Swing Archregent
2006.10.1 2 4 メイショウボーラー タイキシャトル Storm Cat
2005.10.2 1 13 $サイレントウィットネス El Moxie Bureaucracy
2005.10.2 2 4 デュランダル サンデーサイレンス ノーザンテースト
2)ノーザンダンサー系が一歩リードか

系統別の成績は以下の通り。安定して上位に来ているのはミスタープロスペクター系とノーザンダンサー系だ。ただし、ミスタープロスペクター系の数字は、主に外国馬や歴史的な名スプリンターのロードカナロアといった特殊な存在が稼いだもの。一気にスプリント女王へと駆け上がったスリープレスナイト、復活勝利のローレルゲレイロ、そしてカレンチャンなど、多彩なプロフィールの馬が勝利しているノーザンダンサー系のほうが、このレースに向いていると考えることも可能だ。

前述の通り、サンデーサイレンス系は未勝利で、その他のヘイルトゥリーズン系も不振。これらはせいぜい「ヒモとして押さえておく」程度の扱いとなるだろう。

ナスルーラ系からのアドマイヤコジーン産駒のアストンマーチャンとスノードラゴン。このレースとの相性はピカイチで、今後も出てくるようなら要注意だ。

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父の系統 1着 2着 3着 出走 勝率 連対率 複勝率
ノーザンダンサー系 4回 3回 3回 34頭 11.8% 20.6% 29.4%
ミスタープロスペクター系 4回 2回 1回 28頭 14.3% 21.4% 25.0%
ナスルーラ系 2回 0回 1回 34頭 5.9% 5.9% 8.8%
サンデーサイレンス系 0回 4回 2回 41頭 0.0% 9.8% 14.6%
その他のヘイルトゥリーズン系 0回 1回 3回 16頭 0.0% 6.3% 25.0%
その他の系統 0回 0回 0回 8頭 0.0% 0.0% 0.0%
3)芝のマイル以上に適性のある種牡馬が狙い目

過去10年の勝ち馬の父と、その現役時の主な勝ち鞍は以下の通り。

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勝ち馬 父の主な勝ち鞍
サイレントウィットネス El Moxie 米ダートのマイル前後で計6勝
テイクオーバーターゲット Celtic Swing 仏ダービー
アストンマーチャン アドマイヤコジーン 朝日杯3歳S、安田記念
スリープレスナイト クロフネ NHKマイルC、JCダート
ローレルゲレイロ キングヘイロー 高松宮記念
ウルトラファンタジー Encosta de Lago ヴィクヘルスC
カレンチャン クロフネ NHKマイルC、JCダート
ロードカナロア キングカメハメハ 日本ダービー、NHKマイルC
スノードラゴン アドマイヤコジーン 朝日杯3歳S、安田記念

仏ダービー馬Celtic Swing(セルティックスウィング)、マイルG1を2勝したアドマイヤコジーン、NHKマイルCのクロフネ、変則二冠馬キングカメハメハと、芝マイル以上で活躍した種牡馬が健闘。G1勝ちは高松宮記念のみのキングヘイローも、皐月賞2着、東京新聞杯や中山記念勝利などマイル以上への対応力を示していた。ウルトラファンタジーの父Encosta de LagoもマイルG2の勝ち鞍があり、産駒には豪2000ギニーやニュージーランドオークスの勝ち馬が揃う。

どうやらスプリント勝負一辺倒の血統では厳しく、マイル以上への対応力が求められるようだ。

4)母父もノーザンダンサー系のマイラーがベター

以下は勝ち馬の母父の系統と現役時代の成績。母父ノーザンダンサー系が5勝していることが目立つ特徴だ。

勝ち馬9頭のうち、4頭は父がノーザンダンサー系、4頭が母父ノーザンダンサー系で、ノーザンダンサー系×ノーザンダンサー系という配合も2頭いる。父も母父もノーザンダンサー系でないのはサイレントウィットネス、アストンマーチャン、スノードラゴンの3頭だが、このうちアストンマーチャンとスノードラゴンはアドマイヤコジーン産駒。アストンマーチャンはノーザンダンサーの4×4というインブリードを持っていた。

また勝ち馬の父と同様、母父もマイル前後で活躍した馬が多く、ダート馬も目につく。純粋な芝スプリント血統より「マイル以上にも適応できる」という血統がいいようだ。

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勝ち馬の母父 母父の系統 母父の現役時の主な勝ち鞍
Bureaucracy その他の系統(ハイペリオン系) 1500mのG1勝ち
Archregent ノーザンダンサー系 カナダのダート短距離
Woodman ミスタープロスペクター系 フューチュリティS
Nureyev ノーザンダンサー系 英2000ギニー1位入線失格
テンビー ノーザンダンサー系 グランクリテリウム
Sir Ivor その他の系統(サーゲイロード系) 英2000ギニー
トニービン ナスルーラ系(グレイソヴリン系) 凱旋門賞
Storm Cat ノーザンダンサー系 ヤングアメリカS
タヤスツヨシ サンデーサイレンス系 日本ダービー
結論

最重要視したいのは「マイル路線を中心に活躍し、中距離への適応力も示したノーザンダンサー系」が父か母父に入っていることだろう。逆にサクラバクシンオーやサンデーサイレンス系・ヘイルトゥリーズン系の産駒は軽視したい。

ノーザンダンサー系種牡馬の産駒としては、スタチューオブリバティ(サセックスS2着)の子アクティブミノル、クロフネの子セイコーライコウ、キングヘイローの子マヤノリュウジンがいる。香港馬リッチタペストリーの父Holy Roman Emperorもノーザンダンサー系だ。ただ、スタチューオブリバティとHoly Roman Emperorは中距離への適応力が未知数で、セイコーライコウの母父は、母父としてもこのレースとの相性が悪いサンデーサイレンス。となると母父が米ダート中距離GIの勝ち鞍を持つキンググローリアスというマヤノリュウジンが一歩リードか。ただし、出走できるかどうかは微妙だ。

母父ノーザンダンサー系というタイプは、父がサクラバクシンオーやサンデーサイレンス系という馬がほとんどで推しにくく、唯一の例外がティーハーフ。父は英チャンピオンS勝ち馬ストーミングホーム(ミスタープロスペクター系)、母父がジュライCなどを勝ったグリーンデザートだ。

ストレイトガール、ウキヨノカゼ、ウリウリ、コパノリチャード、バーバラ、フラアンジェリコ、ベステゲシェンク、ミッキーアイル、レッドオーヴァルは父がサンデーサイレンス系で、ビッグアーサーとベルカントは父がサクラバクシンオー。今年人気になりそうな馬たちは、血統的に疑問を感じる。

ほかではアドマイヤムーン産駒ハクサンムーンが走破圏内。またスプリンターズSとの好相性を誇るアドマイヤコジーンの産駒マジンプロスパーにも要注意だろう。

【ティーハーフ血統表】

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*ストーミングホーム
 Storming Home
 1998年 黒鹿(英)
Machiavellian
 1987年
Mr.Prospector
1970年(米)
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
Coup de Folie
1982年
Halo Hail to Reason
Cosmah
Raise the Standard Hoist the Flag
Natalma
Try to Catch Me
 1986年
Shareef Dancer
1980年
Northern Dancer Nearctic
Natalma
ティーハーフ
 Teehaff(JPN)
 牡 5歳 父12歳・母11歳時産駒
 2010年 栗毛(日高町)
Sweet Alliance Sir Ivor
Mrs.Peterkin
Raise a Native
It's in the Air
1976年
Mr.prospector
Gold Digger
A Wind Is Rising Francis S.
Queen Nasra
Green Desert
 1983年 (米)
Danzig
1977年(米)
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Pas de Nom Admiral's Voyage
Petitioner
Foreign Courier
1979年
Sir Ivor Sir Gaylord
Attica
*ビールジャント
 Birjand
 1999年 鹿毛(英)
Courtly Dee Never Bend
Tulle
Belle Genius
 1992年
Beau Genius
1985年
Bold Ruckus Boldnesian
Raise a Ruckus
Royal Colleen Viceregal
Own Colleen
Time and Tide
1984年
Mr.Leader Hail to Reason
Jolie Deja
Irish Wave Raise a Native
Wave O'Brien