セレクションセール2017

セレクションセールの歴史

「セレクションセールに上場されるような馬を送り出していく」

その高い志が、ホースマンの意識向上へと繋がってきた。
セレクションセールに上場するにはまず主催者が定める血統基準をクリアする必要がある。
そのために生産者は配合の段階から繁殖成績、競走成績など良質な繁殖牝馬に、リーディングサイアーの上位にランキングされるような種牡馬を配合する必要が出てくる。

その後に待っているのはセリを主催するHBA(日高軽種馬農協)職員の実馬検査。
そのため、血統のいい馬が産まれたとはいえども安穏としていることはできず、健康かつ、グッドコンディションを保ちながら、セリが行われる1歳の7月まで管理していかなければならない。

牧場によっては、セリ馴致のスペシャリストであるコンサイナーに仕上げを任せることもあるが、これも血統、馬体共に「選ばれた」生産馬を、最高の状態でバイヤーに見て欲しいという気持ちの表れでもある。

ミッキーアイル

全ての生産馬がセレクションセールに上場されなくとも、こうしたホースマンの高い意識から生産、そして管理された馬たちは、セレクションセールの後に行われるサマーセール、そしてオータムセールに上場されていく。
近年、HBAの主催する定期市場は、どの市場においても落札総額、売却率共に前年の数字を更新し続けているが、これは、ホースマンの努力の証明とも言える、上場馬の質の向上によるところも大きい。

HBAの定期市場の中でも、セレクションセールからは、競馬史にその名を残すようなスターホースが誕生している。
その代表格と言えるのが、日本競馬史上最多となるGI10勝をあげた2010年の取引馬であるホッコータルマエ。
また、昨年の高松宮記念を制したビッグアーサーは2012年の取引馬であり、怪我からの復帰後は、混迷する芝短距離界を統治するような活躍も期待される。

今年に入ってからもアンタレスSを2013年の取引馬であるモルトベーネが優勝。
2015年の取引馬である現3歳世代からも、ガンサリュートが京成杯で2着、ハルクンノテソーロもユニコーンSで2着と、重賞まであと一歩のところまで迫っている。

この3歳世代の取引馬では、最も目立った活躍を見せたのがプラチナヴォイスだろう。
2歳時に萩Sを優勝、3歳時のスプリングSでも3着に入ると、牡馬クラシックの一冠目となる皐月賞に続き、NHKマイルCにも出走してみせた。
2015年のセレクションセールにおけるプラチナヴォイスの取引額は、この年の上位十傑に入る2484万円(税込み)。
その高評価に見合うだけの競走成績を残し続けている。

とはいっても、セレクションセールの1週前に行われているセレクトセールとの比較では、同じ種牡馬でも遙かに安価な価格帯で購入できるのも、バイヤーにとっては魅力でもある。

しかも、社台スタリオンステーション繋養種牡馬の産駒が、上場馬の大多数を占めるセレクトセールに対し、セレクションセールは、日高管内のスタリオンで繋養されている種牡馬の産駒も上場されるなど、よりバラエティ感溢れるセールが展開されている。
バイヤーの様々なニーズに答えるラインナップがされているだけでなく、そのラインナップが最高級である競走馬市場こそが、セレクションセールとも言えるのだ。

2016年は落札総額が23億3880万円(税抜き)とついに20億円を突破。
今年も厳選された上場馬が揃っており、更なる落札総額の更新だけでなく、ミリオンに迫るような取引馬の誕生も期待したくなる。

過去のGIウイナー

  • ・ホッコータルマエ
    (チャンピオンズC、帝王賞2回、川崎記念3回、東京大賞典2回、JBCクラシック、かしわ記念)
  • ・サニングデール(高松宮記念)
  • ・セイウンワンダー(朝日杯FS)
  • ・フィールドルージュ(川崎記念)
  • ・ロジック(NHKマイルC)
  • ・メルシーエイタイム(中山大障害)
  • ・ビッグアーサー(高松宮記念)

近年の重賞馬

  • ・シルクフォーチュン(プロキオンS、根岸S、カペラS)
  • ・ショウナンマイティ(大阪杯)
  • ・テイエムイナズマ(デイリー杯2歳S)
  • ・トーホウレーサー(ニュージーランドT)
  • ・マイネルメダリスト(目黒記念)
  • ・アントニオバローズ(シンザン記念)
  • ・アンペア(エーデルワイス賞)
  • ・アースソニック(京阪杯)
  • ・エーシンビートロン(サマーチャンピオン)
  • ・エーシンホワイティ(ファルコンS、新潟ジャンプS)
  • ・コスモヘレノス(ステイヤーズS)
  • ・サウンドリアーナ(ファンタジーS)
  • ・ストークアンドレイ(函館2歳S)
  • ・スマートギア(中日新聞杯)
  • ・マジカルポケット(函館2歳S)
  • ・マンハッタンスカイ(福島記念)
  • ・ラッシュストリート(佐賀記念)
  • ・ダンツプリウス(ニュージランドT)
  • ・マイネルバイカ(白山大賞典)
  • ・マイネルクロップ(マーチS、佐賀記念)
  • ・ピカレスクコート(ダービー卿CT)
  • ・マイネルハニー(チャレンジC)
  • ・モルトベーネ(アンタレスS)

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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