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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第85回 思い出のアメリカジョッキークラブカップ

2010/1/4(月)

あっという間の1年だった。競馬サークルで仕事をしていると、ホント、時が過ぎるのが早い。1週間、1開催、1シーズンが、年齢を重ねる余裕などないほど、駆け足で走りすぎていく。

「有馬よければ、すべてよし」。これは昨暮れの有馬記念のJRAの広告のキャッチフレーズだった。が、競馬サークルばかりでなく、昨年は国内、外ともに政治、経済すべてにおいて“よし!”とはいえない激動の1年ではなかったろうか。

“今年こそは・・・” “今年こそは・・・” 年頭に誓ってきたこの言葉。何年続けてきただろうか。悲喜こもごもではなく、“悲悲こもごも”尻つぼみの年が続いてきた。

このサークルに記者として飛び込んできて、早いもので40年もの歳月が流れている。これも年老いたためだろう。最近はいやに、ひと昔前の駈け出し記者のころの、あの日あのときが懐かしく思い出されてくる。

アメリカジョッキークラブカップ1971年(昭和46年)

菊花賞馬アカネテンリュウが、古豪スピードシンボリに挑んで、3歳時は鼻差、4歳時はクビ差と、2年続けて小差2着と涙を流した有馬記念。そのアカネテンリュウが、“今年こそは・・・”と奮い立って挑戦したのが、年明けての重賞アメリカジョッキークラブカップだった。

いやこのアメリカJC杯も2年続けての出走で、4歳春は60キロを背負った7歳スピードシンボリと再度対戦、1番人気に支持されたものの、キャリアが若さを圧倒して、アカネテンリュウは2馬身差の2着と、ここでも歯が立たなかった。

そしてスピードシンボリがターフを去り、充実の5歳を迎えての2度目のアメリカJC杯挑戦は、もはや互角に戦える敵も見あたらず、とても勝ちみはないと回避する馬は多くレースはわずかの7頭立て。59キロを背負わされたアカネテンリュウだが、単勝配当140円の断然人気だった。

まだこのころは単複と枠連しか発売されていない時代で、興味は相手探し。2着馬狙いに絞られた。ここからが駈け出し記者2年目の失敗談である。

東京競馬場担当として、水、木曜は朝の調教取材から午後の厩舎回り、これが私の主なる仕事だった。一度訪ねた厩舎は、翌週もまた足を運ぶ。「また来たか」といやな顔も見せずに快く応対してくれる厩務員さんも増えてきた。

東京在厩馬で、アカネテンリュウに次ぐ実力馬となると、前年の春秋の天皇賞を2着惜敗の尾形藤吉厩舎も7歳馬フイニイ。しかしこれは2番人気に支持されて、高配当は望めない。中山在厩のクリシバ、ウエルデイ、オウジャの明け4歳馬も怖いが、同じ4歳馬なら東京競馬の見上厩舎のカミタカで、十分勝負になるだろう。そんな思いで足を運んだのが運のつき。「状態はいいし、2着はあるよ」の担当の住吉厩務員のひと言に、すっかりその気になってしまった駈け出し記者である。

いつもは百円券で楽しんでいるのに、アカネテンリュウとカミタカでは、的中しても配当は550円前後、それではと奮発してこのときばかりは万券勝負に出てしまった。

その結果、結末の前に、カミタカとはどんな馬だったのか、その戦績をみてみよう。2歳11月のデビュー戦5着後に4ヵ月ほど戦列を離れて、初勝利は3歳4月の中山未勝利ダート戦、2勝目も6月中旬の中山ダート戦で、華やかな脚光を浴びるクラシックロードには、まったく縁がなかった。

しかしひと夏越してめきめき頭角を現わし、秋は11月のトパーズS(2400m)まで、芝のレースを4戦して3勝2着1回、重賞初挑戦は一線級相手の菊花賞で、ここでも勝ったダテテンリュウの0秒4差の5着と力走、その上昇機運に乗って、古馬相手の有馬記念にコマを進めている。さすがにここでは荷が重く、前述のスピードシンボリ、アカネテンリュウクビ差の大接戦に加わることはできなかったが、それでも大きくは負けない6着と善戦。今後を期待されたカミタカだった。

そして迎えた年明けての第1戦が、アカネテンリュウ断然人気のアメリカJC杯。前年後期の戦績から“2着なら”と、多くのファンも期待して不思議でないカミタカだった。

時は71年1月17日の東京競馬場、晴れの良馬場2500mの芝コースに7頭が争ったアメリカJC杯。2番人気は予想どおり古馬フイニイだったが、3番人気クリシバ、4番人気カミタカ、5番人気オウジャ、6番人気ウエルデイまで、ほとんど票数差はないアカネテンリュウを巡っての2着争いだった。

逃げるクリシバを2番手で追走すると思われたカミタカが、スタートでつまずいて後手に回った。マイペースで逃げたクリシバに、カミタカが追いついて2番手に上がったのは向こう正面、これでは勝ち目どころか2着も危ない。長い直線の坂も軽快に駆け上がって粘るクリシバに、3コーナー過ぎからスパートしたアカネテンリュウが襲いかかり、期待にこたえる2馬身差の圧勝。好位追走から追い上げたウエルデイが1馬身差の3着、出遅れたカミタカは末脚鈍らせて、5着フイニイから4馬身も放される6着惨敗だった。

空しく紙クズと化した1点勝負馬券。遠い昔の一つの出来事だが、その積み重ねが今では教訓として生かされているのも確かである。調子のよしあしはおぼろげながらつかめても、“勝つ”“負ける”はまた別のもの。

「キミーイ、馬だけは何年やってもわからん。難しいもんだ」、厩舎を訪ねた記者の私に、言葉を一つ一つ噛みしめるように語ってくれたのは、ダービー8勝、春秋の天皇賞11勝をはじめ、いまでいう数々のGⅠレースの表彰台にたってきた名伯楽尾形藤吉調教師である。

「競馬に絶対はない」その言葉は今でも耳元から離れない。新しい年を迎えてアメリカJC杯が間近かに迫ると、強かったアカネテンリュウとともに、自信を持って一票を投じたカミタカのスタートの出遅れが思い出されてくる。今春はどんなドラマが見られるのか、楽しみ多い新春の重賞競走である。

ライタープロフィール

原 良馬 (はら りょうま)

1933年10月生まれ、群馬県出身。デイリースポーツ東京本社、中央競馬の予想記者担当を経て、独立。競馬ジャーナリスト活動を本格化した。ラジオNIKKEI『中央競馬実況中継・土曜日午前中』、テレビ東京『ウイニング競馬』のレギュラー解説、また雑誌の競馬コラムや美浦トレーニング・センターで行われるGIレース公開調教会の司会進行なども担当している。

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