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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第76回 米国ヒーローが涙を呑んだ日 ―スマーティジョーンズの思い出―

2009/11/2(月)

アメリカ競馬史上、26年ぶり、12頭目の3冠馬誕生のシーンが見られるかもしれないと、3冠最後のベルモントS観戦に出かけたのは、2004年6月。

スマーティジョーンズ 2004年(平成16年)(米)プリークネスS

主役は、スマーティジョーンズ。彼は無敗で臨んだケンタッキーダービーを先行して抜け出す強い勝ち方で優勝。続く2冠目プリークネスSは、2着馬に11馬身半の差をつけて圧勝。一躍アメリカのヒーローとなり、3冠達成も濃厚とみられていた。無敗の3冠馬となれば、77年のシアトルスルー以来27年ぶり、史上2頭目の快挙。

レース前日の6月4日、ニューヨークへ到着するや、タクシーの運転手さんともその話で盛り上がる。ホテルにチェックインして、すぐにベルモントパーク競馬場へ向かう。

マンハッタンのマジソンスクウェアガーデン地下にあるペンステーションから、競馬開催日に運行される臨時直行電車「ベルモントスペシャル」に乗りたかったのだが、その日は、すでに運行が終了していた。窓口の女性に教えてもらったクイーンズビレッジ駅で下車。しかしタクシーはいないし、どうしていいかわからず、通りすがりの女子高生2人組に聞くと、自分たちと同じバスで行けるというのでついて行ったのだが、いざ乗るときになって、やっぱり違うと言われガク然とする。あっちの方角といわれた方向に行ってみるがバス停は見つからず、仕方なく歩いて行くことにした。

ポツンポツンとしかない沿道のお店や、行き交う人に尋ねながら、埃っぽい道をひたすら歩く。果たしてこの道で正しいのだろうかと不安になりつつも、なんだか全然知らない閑散とした町を歩いている自分が可笑しくもなる。40分以上歩いてようやく広い国道のような道にでて、競馬場が遠くに見えてきたときは、本当に嬉しかった〜!

先にニューヨークに来ていた友人とパドックで会えたときも、とても嬉しかった。知り合いのアメリカのカメラマンに説明すると、よく一人で歩いてきたねと驚かれる。私が通ってきたところは少々危険な地域だったらしい。知らないってことは怖い。ちょっとゾッとする。

翌5日。ベルモントS当日。

発走は夕方6時半にもかかわらず、朝からファンが競馬場につめかける様子をテレビ各局のニュースが生中継で伝えていた。

この日はちゃんと「ベルモントスペシャル」に乗って競馬場へ。お昼ごろに到着すると、もう場内は人・人・人で大盛り上がり。最終的に入場者レコードとなる12万139人が集まった大混雑の中で、観戦する場所を確保することが、大変な苦労だった。ここまで来て、生で見られなかったらと思うと、もう必死。やっとのことで、スタンドの狭い壁際にスペースを見つけ、発走を待つ。

スマーティジョーンズは、生まれも調教地もペンシルヴェニア州。競馬の中心地から外れた土地の出身。またケガによる失明危機も克服して無敗で2冠を制覇したそのサクセスストーリーは、「現代版シービスケット」と例えられるほど。応援歌もでき、子供たちにも愛されるスーパーヒーローが馬場入りすると12万人の大歓声。皆、場内で配られた“Go Smarty Go”の文字と勝負服が描かれたブルーの団扇を振っている。もちろん私も。ヤンキー・スタジアムと同じ歌手による「ニューヨーク・ニューヨーク」の曲が始まると場内の興奮は頂点へ。

そしてスタート。向正面でスマーティジョーンズが先頭に躍り出ると歓声はさらに膨らむ。先頭に立つのが少し早いのではと案じたものの、直線に入っても先頭。3冠達成を皆が祈る。

しかし、ゴール前100mで、2冠目のプリークネスSをスキップしてここに狙いを定めたバードストーンにかわされてしまった。わずか1馬身差の2着。耳をつんざくような大歓声がゴール前悲鳴に変わり、そして場内は落胆の沈黙。水を打ったような静けさは、初めての体験。私も全身の力が抜けた。

そのあとの光景も忘れられない。ウイナーズサークルでバードストーンを囲んで喜びに沸く陣営をバックに、スマーティジョーンズのエリオット騎手が、沈痛な面持ちでテレビのインタビューに答えているのだ。日本ではあり得ないことにびっくりすると同時に、国民的ヒーローのパートナーとしての責任を果たす姿に感動した。

サトノサンダー 2009年(平成21年)札幌4R

帰り、競馬場前臨時駅までの跨線橋は人があふれ、まるで明治神宮の初詣並み。やっとの思いで電車に乗り、マンハッタンへ戻る。日本料理店「伊勢」で友人たちと残念会。深夜まで飲んだことは言うまでもない。

今年の札幌記念当日の、札幌競馬4Rで、スマーティジョーンズ産駒のサトノサンダーが優勝するシーンを見て、あの日のことを思い出しました。スマーティジョーンズの子が日本で走るのをみられるなんて。札幌2歳Sは8着でしたが、今後の活躍を期待しています。

ライタープロフィール

鈴木 淑子 (すずき よしこ)

東京都出身。川村短期大学卒業後、三菱重工業(株)秘書課勤務でOLを経験した後、『夕やけロンちゃん』(東京放送[TBS])で放送業界にデビュー。TBSのお天気キャスターなどで活躍。『競馬中継』(〜1985年)、『チャレンジ・ザ・競馬』(1985年〜)の司会を経て、『スーパー競馬』(フジテレビ)のコメンテーターを務めた。また、グリーンチャンネル『鈴木淑子のレーシングワールド』ほか、各地競馬場でのトークショーなどで活躍。三冠馬・ミスターシービーの大ファンとしても有名。

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