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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第62回 美駒太鼓

2009/7/27(月)

とびちる汗が練習の激しさをもの語る
美駒太鼓の晴れ姿
根気よくアドバイスを続ける
フォームも揃って息もピッタリ
アクションが徐々に決まりだした
沖縄の太鼓が原点という
メロディーよりリズムに自信を持つ
股関節の痛みと闘いながら、美しいフォーム
豪快なフォーム

ドンドドンド ドンドドンド ドンドドンド ドンドドンド ドーン ドーン・・・。午後7時を回った体育館前のロビーに、太鼓の音が響きわたる。鼓膜はもとより、腹の底までふるわせるような轟き。太古の昔から人間を惹き付けてきた理由が理解できる。体育館でドッヂボールに興じていた小学生達が、びっくりした表情でとびだしてくる。5人、10人、15人と子供達の輪があっという間にでき上がった。始めのうちこそ、目を丸くしてポカンと見入っていた子供達の体が、リズムにあわせていつしか動き始める。

輪の中で太鼓を打っているのは、美駒太鼓のメンバー。毎週火曜日が練習日にあたっており、本来なら午後7時から体育館の中で行うことになっているのだが、たまたまこの日は、子供達のドッヂボールの予約が先に入っていたため、やむなくロビーでの練習となったわけである。

美駒太鼓を初めて耳にし、この目で見たのは、もう10年以上も前のこと。当時、美浦トレーニング・センターでは、前年度の厩舎表彰が、1月の中旬に行われていたのだが、表彰式の後の宴席でのアトラクションとして美駒太鼓が披露されていたのである。お祝いの席に、又、今年これからの活躍を祈念して演奏される美駒太鼓の勇壮な響きは、いつ聞いても心が躍るものだった。活躍の場は、美浦トレセン厩務員労組の旗開き、文化祭や結婚式、開店祝、ショッピングセンターのイベントにも参加していると聞いたが、宝塚記念の追い切り前日の火曜日に、定例の練習があるということなので、練習風景を見せてもらうことにした。

美駒は、茨城県稲敷郡美浦村美駒、つまり美浦トレーニング・センターの所在地域の名前だが、美駒太鼓の活動が始まったのは昭和60年というから、もう四半世紀の歴史を刻んだことになる。子供達のサークル活動に始まり、その後夫人部から創設の気運が高まり、現在の男女混成の形ができ上がったという経歴を経ている。長野県の御諏訪太鼓の流れを汲み、その伝統を受け継ぐと共に、独自の工夫を積み重ね、今日のスタイルを作り上げてきた、というより、更に進化を心がけていることがメンバーの会話から伺える。御諏訪太鼓宗家の小口大八師に、美浦トレセンにちなみ、競走馬の走っている様をイメージした「美駒響」という曲を作曲してもらい、直接指導も受けたという。曲を人前で披露する為には、宗家の認可が必要で、メンバーは泊り込んでその指導を受けたのだが、当時を振り返ってメンバーの佐藤ハツエさんは「2日間で2曲をマスターしなければならなかったので、昼はもちろん、夜も座布団を二つに折って、それを叩いて一晩中練習しました。」と語った。この美駒響と共に美駒太鼓のレパートリーで中核を成しているのが、「とんばね太鼓」。この曲も小口大八師作曲なのだが、認可を受けてプログラムに加わった。更に演奏曲目も着々と増え、現在では美駒太鼓独自のオリジナル曲を持つに至っている。「あばれ太鼓」「祭り太鼓」「雷太鼓」の3曲を作曲したのは、元部長の泰磨義和さん。この日は札幌に遠征中で練習には参加していなかったので、電話で話しを伺ってみた。泰磨さんはプロのドラマーとして活躍した時期があったのだが、「30数年も前のことです。」と恥ずかしそうに語る。その後サラリーマン生活を経験した後に競馬の社会に入ったそうだが、やはりプロのドラマーとしての基礎と技術は、美駒太鼓の成長に大きな原動力となったことは想像に難くない。現在の活動については「仕事として太鼓を叩くなら、考え方も技術も練習も厳しくなるんでしょうが、基本的に素人という考え方ですから、仲よく、楽しくやれればいいですね。」と穏やかな声で答えてくれた。それでもメンバーの練習は真剣そのもの。納得のいかない部分はお互いに話し合って、その上でもう一度演奏して解決するシーンが何度も見られた。メンバーの菅野二三さんは、時々、右手を見たり振ったりしている。練習に熱が入りすぎて腱鞘炎気味とのこと。同じ悩みを持つ人は多いようで何人かのメンバーも頷いていた。

現在の部長は中村成一さん。泰磨さんに誘われて入部したそうだが、バンドの経験があり、練習を見ていても全体をリードしていくリズムを刻んでいるのがわかる。種々のイベントで太鼓を披露しても、基本的に素人なので、無償のボランティアになるケースが多く、太鼓を運んだりする費用は持ち出しになってしまうようだが、それでも喜んで聞いてくれる人達を前にすると、力一杯叩いてしまうと話してくれた。

やはり誘われて入部した深山雅史さんは、沖縄の太鼓を聞いたときの衝撃が原点になっており、一つ一つ憶えていく過程が面白いと太鼓の魅力を語っている。又、葉梨朋秋さんは、前から演奏に興味を持ち音楽をやりたいと思っていたそうだが、「音階には自信がありませんが、リズムの方なら・・・。」とやはり楽しさを語ってくれた。更に入部して2年という高田雅子さんは、途中、病気療養の為、休んでしまったのが残念と語り、確かに演奏の際、時折不安そうな表情を浮かべることがある。只、そんな時には、ベテランのメンバーが演奏のあいまに、そっと寄りそいアドバイスをしたり、実際に練習を見守る姿は、なんとも微笑ましい。

さて今回の取材の段取りをしてくれた上に美駒太鼓の歴史、概要を話してくれたのは、トレセン関東労組・婦人部ひまわり会会長でもある、山崎幸子さん。太鼓に関してまったく無知の私に、根気よく答えて頂いたが、現在、股関節の炎症で思ったようなフォームがとれないそうだ。確かに太鼓の演奏は、その音色と共に、叩く姿もパフォーマンスの一環になっており、腰の落とし方、振りかぶったバチの指す方向、肘の角度など、舞踊の要素をも感じさせ、ベテランとキャリアの浅い人との差は歴然とわかる。それだけに山崎さんの辛さがよくわかるような気がする。又、御主人の山崎喜久男さんは、トレセン関東労組の執行委員と共に、演芸部「若駒座」を主宰している人だが、美駒太鼓に入部したのは、奥さんに誘われてのこと。最近、心臓の具合がおもわしくなく、練習は休みがちなのだそうだが、大きな筒太鼓を豪快に打って見せてくれた。

現在、美駒太鼓のメンバーが抱える悩みは、まず練習場所の問題。大きな音がするだけに体育館が使えない場合を考えると、すぐに支障をきたしてしまう。更に、後継者の問題も控えている。既に四半世紀に近い歴史を刻んできてはいるが、もう少しメンバーが増えれば舞台上の演出も、よりバリエーションが増すという。

美駒太鼓の勇壮な演奏がいつまでも受け継がれる事を、心から願っているが、競馬場の観衆にもいつの日か、聞いてもらえたら、と今回の取材を通じて感じた次第である。

ライタープロフィール

白川 次郎 (しらかわ じろう)

1945年11月生まれ、高知県出身。元日本短波放送・ラジオたんぱ・ラジオNIKKEIアナウンサーで現在はフリーアナウンサー。ラジオNIKKEIにて『中央競馬実況中継』など、競馬番組を中心に担当している。また、関東地方の独立UHF放送局放送『中央競馬ハイライト』の土曜日キャスターとしても出演している。

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