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競馬かわらVAN(リレーコラム)

競馬かわらVANバックナンバー

第61回 心に残るトレーナー

2009/7/20(月)

JRAでは創立50周年を迎えた2004年に、その記念事業のひとつとして、中央競馬の発展に特に貢献のあった調教師・騎手10人の功績を称え、「顕彰者」として表彰し、「顕彰者」は東京競馬場の競馬博物館内の「メモリアルホール」に展示、紹介されている。調教師として、騎手として顕著な成績を残した人たちの、いわば、“競馬の殿堂”入りである。私はその2年後の06年に、開催日にファンが手にするレーシングプログラムの中で「競馬名人列伝」のタイトルで顕彰者10人を書かせていただいた。名伯楽といわれた尾形藤吉調教師に始まって、“天才”の名をほしいままにした福永洋一騎手まで、教えられることの多かった偉大なホースマン、先生方である。わずか1頁の短い記事ながら、ご本人や近親者、お弟子さんである現調教師のもとに取材に出向いて話を伺い、当時を思い起しながら綴った文章だが、私にとっては記録に残したい楽しい仕事の一つだった。

その取材させていただいた顕彰者のおひとりである保田隆芳先生が先日亡くなられた。鈴木淑子さんも先週のこの“かわらVAN”で先生を偲んでおられたので、重複してはと“心に残る名馬たち”も考えたが、私にとっても保田先生は、駆け出し記者のころから身近で接していただき、競馬の楽しさ、難しさを教えられた心に残るトレーナーの一人である。淑子さんの記事と重複しない範囲で保田先生とのあの日あのときを改めて思い起してみたい。

私が競馬担当記者として、初めて東京競馬場の厩舎群に足を踏み入れたのは70年の夏、夏競馬開催中に戦列を離れて休養中の尾形藤吉厩舎の主戦ワイルドモア、フイニイのオープン馬の取材だった。そのとき親切に対応してくれたのはダービージョッキーの森安重勝さんだった。
「これがワイルドモア、そのうしろを歩くのがフイニイ、向こうにいる芦毛がメジロアサマ、保田厩舎に移ってから見違えるばかりたくましくなった。これから遠征する函館記念も勝つだろう。よく覚えておきな」厩舎村で午後の乗り運動に汗を流す馬たちを、言葉はぶっきらぼうながら親切に教えてくれた森安さん。

前年のダービーは尾形厩舎から3頭出走して、保田さん騎乗のミノルが2着、森安騎手のハクエイホウは逃げねばって3着と力走したが、メジロアサマはよいところなしの16着大敗だった。

保田さんが長い騎手生活にピリオドを打って、厩舎に看板を掲げたのは翌春。人気にこたえたミノルでの引退レース(京王杯スプリングH)は、大勢の中で1ファンとして観戦した私だった。

日の出の勢いであった尾形藤吉厩舎の主戦騎手として大活躍の保田隆芳さん。その現役時の華やかな戦績は知るよしもない私だが、トレーナーとして新たなスタートを切った保田厩舎には、水、木曜朝の調教後は必ず足を向ける駆け出し記者だった。

「馬をわけるより1棟そっくり引き継いだほうがやりやすいだろうと、6棟あったひとつを居抜きでいただいた。その中にメジロアサマやハクマサル、ケンポウといった期待馬もいたんだ」当時こう語ってくれた保田さんである。

メジロアサマ1970年(昭和45年)天皇賞・春
トウショウボーイ1976年(昭和51年)有馬記念

新生保田厩舎に移ってメキメキ頭角を現わし、安田記念、函館記念から天皇賞・秋をも勝って、勝利の美酒を保田さんにプレゼントしたメジロアサマ、そのメジロアサマが取り持つ縁ではなかろうか、以来何度となく厩舎にお邪魔して、保田厩舎、保田調教師を身近で感じ、尊敬する記者の一人となっていった。

97年に調教師を勇退するまで、30年近くもの長い間、身近で愛馬を管理して出走させるまでの仕上げの難しさなど悲喜こもごもの苦労に耳を傾けてきた。そんな話の中でいまでも心に強く残るのが、デビュー前から期待されてきたトウショウボーイとの日々である。「腰が弱くて入厩後はおっかなびっくり、夏場は無理せずいったん牧場へ返して完治を待ったが、脚元が持つだろうか、この大きな体を支えていけるだろうか、パンとした状態でレースを使えた記憶は一度もない。こんな状態で期待にこたえてこられたのは、素質のよさ、能力の高さなんだろうね」3歳時に皐月賞そして有馬記念を勝って、年度代表馬の栄誉に輝いたトウショウボーイ。騎手時代は数々のビックレースで表彰台に立ってきた名ジョキーの保田さんが、駆け出し記者に当時しみじみと話してくれたことである。
「競馬名人列伝」を引っ張り出してみた。
“騎手時代のツケがいまごろ回ってきて腰が痛む。足腰が急に弱くなった”とおっしゃられていたが、長男の一隆厩舎や池上厩舎の馬が出走するときは、スタンドで応援するのが楽しみと、東京競馬場へ元気な顔を見せて言葉を弾ませていた。調教師を勇退されて9年、当時は86歳の保田さんに、「健康の秘訣は?」の質問に“毎朝早起きして、家の周囲を30分ほど歩いて回っている。歩くことでしょうか”とまた笑顔を見せてくれた。掲載されたのは10月21日とあるからいまから3年前の秋である。

騎手時代、そして調教師時代に、ともに会長職を務めて、こんにちの日本の競馬の発展に大いに貢献されて殿堂入りを果たされた保田さん、その輝かしい戦歴とともに、保田さんの“馬とともに”の長い人生は、大いに手本としたいものである。と、“名人列伝”は結んでいた。

いろいろお世話になりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。

ライタープロフィール

原 良馬 (はら りょうま)

1933年10月生まれ、群馬県出身。デイリースポーツ東京本社、中央競馬の予想記者担当を経て、独立。競馬ジャーナリスト活動を本格化した。ラジオNIKKEI『中央競馬実況中継・土曜日午前中』、テレビ東京『ウイニング競馬』のレギュラー解説、また雑誌の競馬コラムや美浦トレーニング・センターで行われるGIレース公開調教会の司会進行なども担当している。

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