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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第58回 実況で苦労する馬名

2009/6/29(月)

いよいよ今年も新馬戦がスタートした。来年のダービーに向けての、壮大なドラマのプロローグとも言えるが、新馬という言葉に、さまざまな意味や気持ちが込められているような気がしてならない。生産者に始まり、オーナー、厩舎関係者と、1頭の競走馬に携わった人々には、それぞれ祈りに似た気持ちをも感じることがある。かつて新馬戦に送り出す朝は、尾頭つきの膳を用意し、腰に盛り塩を乗せ、切り火を打ったりしたと聞いたことがあるほどだ。又、ファンや我々にとってみれば、ヒーロー、ヒロインになるべき馬のデビュー戦であり、我が身に置き換えたり、自らの夢を代行して実現してくれる存在との出逢いとなる戦いで、どうしても特別な感情で見てしまう。

実況者の立場からすると、新馬との出逢いは、即、新しい馬名との出逢いということになる。一つのレースの実況で使われる言葉のうち、6割から7割は馬名で占められており、できるなら発音しやすく、覚えやすい名前であって欲しいと願う次第である。

馬名が決定するまでには、いくつかの規定があるが、字数の面では、カタカナで2文字以上9文字以内という制限がある。かつては1文字の馬名も認められていたと先輩から聞いているが、その代表選手は「ヤ」。おそらく「矢」から命名されたものと思われる。漢字でみると、いかにも速い、「矢のように〜」というイメージが伝わってくるが、実際の実況を想定してみると、「混戦からヤが抜けた。ヤが先頭・・・・。」と、どうも今ひとつリズムが取りにくく、迫力を出すのに苦労しそうだ。それから馬名の意味の面でも規定があり、企業名や商品名は、原則としてつけられないことになっているが、やはり先輩から聞いた話しでは、かつて、マルマンライターという馬が存在したそうだ。そのものずばりなのだが、この話には続編があって、あまりにも成績が悪いのは、きっとガスが入っていないからであろうということから、マルマンガスライタと改名されたというのである。できすぎた話と言われそうだが、かつては、ある時期までは、一度に限って改名が認められていたし、信頼のおける先輩からの話であるのでまず間違いのないところだろう。

馬名は大旨、オーナーが決めて登録されるのだが、毎年数千頭の馬名が登録されてくる中、かつての馬名と重複しないか、まぎらわしい名前も駄目となると、年々、ネーミングの難しさは増してきているようだ。数多くの競走馬を所有するオーナーは、よりその苦労を味わうことになる。長年、オーナーブリーダーを続け、メジロの冠号でおなじみのメジロ商事、メジロ牧場は、毎年シリーズで命名し、世代の区分もできるようにアイディアをこらしている。メジロアサマの年代は、山の名前。メジロムサシは、確か日本の旧国名であったように記憶している。今年の登録名を見てみると、牡馬はアメリカ合衆国の歴代大統領、牝馬は女優の名前。これで2009年デビューの馬ということが、後世でもわかるようになっている。その他でもシリーズというアイディアはかなり多いが、記憶に残るところでは、野球の野手のポジションを冠号に配したオーナーもいた。バンブーピッチャー、バンブーキャッチャ、バンブーファースト、バンブーセカンド・・・・・・・。私も実際に実況したことがあるので、印象に強く残っている。

オレハマッテルゼ 2007年(平成19年)高松宮記念

さて、カタカナ、それもワンワードの扱いで表記されている馬名を口にする場合、つまり声に出して表現すると、切り方によって、意味やニュアンスが変わってきて、実況するアナウンサーも、聴いているファンも思わずニヤリとしてしまうケースもある。かつて、カネツモルモットという馬がいたが、これは冠号のカネツとモルモットという捉え方なのだが、カネ/ツモル/モットという捉え方もできる。最近では、オレハマッテルゼが好例であろうか? オレハ/マッテルゼという切り方なら、裕次郎のイメージと重なってくるのだが、オレ ハマッテルゼと切ると、これはまったく違ったイメージになってしまう。最近のレーシングプログラムは、カタカナ表記の下にアルファベットが添えられているので、切り方やアクセントの面で、誤解することが無くなり助かっているが、実際には、こう切ればこういう意味になると、楽しみながら名前を考えているオーナーもいるのではないかと思うことがある。これは長岡一也さんから伺った話だが、「美浦トレセンに馬が移動してからは、距離的な問題や、放牧で愛馬と逢う時間がほとんど無くなってしまった。それに活躍して好成績を納めると、もうファンの馬と言われてしまうし、馬主は、馬名を考えることしか楽しみは残されていないんですよ。」というオーナーの嘆き。こういう背景が、個性的な馬名の増加につながっているのかも知れない。

モチ 2007年(平成19年)若駒ステークス

さて、実況に於いて、言いにくい発音の名前は努力によって解消することができるのだが、思わず吹き出してしまうような馬名は非常に苦痛だと、このコラムでも記したように思う。腹の筋肉がヒクヒクして、声にならない経験を多くのアナウンサーがしていると思う。私の場合は、シュワッチとドングリで、障害界に入った時から随分苦労した。一度でいいから「踏みきって、シュワッチ!」と言ってみたかったと、今でも思っているが、シュワッチが実際に障害を飛んでいた時期は、その誘惑を断ちきるのに、悲痛な気分を味わったものである。又、ドングリは、水濠障害に近づく度に、何とか無事に越えてくれるよう、それこそ祈る気持ちで実況に臨んでいた。最近の代表選手はモチ。「モチが伸びる。」「おっと、モチがつまった。」という描写を考えただけで、腹筋がヒクヒクしてくる。薄情なもので、他のアナウンサーが実況するときには、様々なシーンを想像して、どんな表現をするか、笑う準備をしながら聞いているのだが・・・・・・。

さて、今年も1400頭ほどの段階での登録の2歳馬名簿を見てみると、期待どおり?の馬名が見つかる。アリエナイ、ココカラ、シャニムニ、トンデモナーク、ホラ、マムシ、モーレツなどなど。「向正面に入ったところでココカラ上がっていきました。」「シャニムニ、トップに立ちました。」「マムシが食いさがる・・・」「モーレツ追い込んでくる。」などのフレーズが頭に浮かんでくるが、活字ではそれほどの違和感を感じることはないのに、レースの場面、場面の実況の中で、突然面白さを発揮する馬名に、今年も悩まされそうだ。

ライタープロフィール

白川 次郎 (しらかわ じろう)

1945年11月生まれ、高知県出身。元日本短波放送・ラジオたんぱ・ラジオNIKKEIアナウンサーで現在はフリーアナウンサー。ラジオNIKKEIにて『中央競馬実況中継』など、競馬番組を中心に担当している。また、関東地方の独立UHF放送局放送『中央競馬ハイライト』の土曜日キャスターとしても出演している。

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