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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第42回 厩務員の作業レポート(後編)

2009/3/9(月)

正午に午前の作業を終えた矢田さんは、阿見の自宅に一旦帰宅する。そこで今日初めての食事となる。そこで気がついたのだが、矢田さんは午前の作業中、軽食はもとより、飲物も一切口にしなかったように思う。又、そういう時間もなかった気がする。しばしの休息後、矢田さんが再び厩舎に姿を現したのは、午後2時半。作業服に着替えると早速馬房の中に入って行く。馬を馬房の奥につなぐと、朝同様、馬房の清掃が始まる。ボロの除去、濡れた藁を集め外のゴミ箱へ廃棄していく。新しい藁を補充して敷き直している間にも、ボロや尿をするのは朝と同じ。トレセンに馴染んだ古馬は、馬房内の一定のところにするそうだが、2歳馬はあちこちにしてしまうので余計時間がかかってしまう。馬房内の清掃のあい間に、乾草を与えるのだが、これはおやつのようなもので、退屈すると馬は前がきしたり余計な動作をしてしまうようで、その防止になるようだ。「馬房の中じゃ、他に何の楽しみもないからね。」と矢田さんは笑う。

矢田敏幸厩務員 撮影:白川次郎

30分程で馬房の清掃を終えると、今度は水桶や飼葉桶を洗う作業が待っている。桶はかつてはステンレス製で鎖で吊るしていたが、馬がいたずらをして鎖で怪我をするのを防ぐ為、現在ではプラスチック製に変わり、馬房の隅の金具にかけられるようになったそうだ。検温は午後にも必ず行われる。午前の方が体温は低いのだが、まれに逆になった場合には注意が必要になってくる。その後、丁寧にブラッシングをして、櫛でたてがみや前髪を整えるのだが、夏場だと午後もシャワーを浴びさせることもあるとか・・・・・・。そして爪や脚、蹄鉄のチェックがなされて、蹄油を塗り、最後に馬服を着せて1頭目の作業が終わる。脚に不安のある馬のアイシング、あるいはマイクロレーダー等のケアが行われるのもこの時間。ここまでの作業時間は、ほぼ1時間。

そして明日の調教の確認が行われる。どのコースで、何番目に、どの位のトレーニングをするのか?それによって明日の作業の手順が変わってくることもあるので確認は欠かせない。

3時35分、飼葉づくりが始まる。朝とは多少配合は変えられる。牧場から初めてトレセンに来た馬は飼葉食いがおちることもあるそうだ。環境と食べ物の違いによるものが大きいようだが、10日もすると慣れてくる。それでもあまり食べないような場合には、牧場で食べていた物と同じ物を取りよせることもあるとか。

その後、洗濯した鞍下、バンテージ、タオル類の取り入れ、明日の仕度、馬糧庫の清掃等が行われる。「毎日が単純作業の積み重ねであるが、馬は変化には敏感で一つ一つの作業は当然おろそかにはできない。そうした中でアイディアを加えていくことが大事。」と矢田さんは言う。

4時30分、先程与えた飼葉のチェック。もうほとんど食べ終わっているのは健康の印なのだろう。水を確認後、再びボロを除去して、ようやくこの日の作業が終わる。

さて、1日の行程は理解できたが、1週間のスケジュールはどうなのだろう。月曜日は全休日になるが、20頭の馬がいれば当然ほうっておくわけにはいかない。当番制で2人が出勤することになっており、飼葉や水、そして馬のケアにあたる。それでもついつい、朝は厩舎に来てしまう。馬房掃除、そして具合の悪い馬がいたりすると気になって、顔を出すことになるようだ。「小さなことでも見逃したくない。」と矢田さんは語る。

火曜日は休日明けなので、1日中馬房の中で過ごした馬のメンタル面も考えて、作業量も多くなるし、注意力もより必要になる。

水曜、木曜の追いきり日以外にも調教は行われ、金曜日も例外ではない。更に、関西圏で行われる競馬に出走する馬は、金曜日に美浦を出発する。午前4時の出発にあわせて、それ以前に作業を終えなければならないことになる。朝というより、深夜1時過ぎから準備は行われる。又、福島、新潟の場合は、調教後、昼前後の出発。そしてレース終了後、2時間ほどで競馬場を後にするのだが、これは土曜、日曜のスケジュールにまたがってくることになる。

さて競馬開催日の土曜、日曜でも調教は欠かさず行われる。馬場の開場はこの時期、午前4時。従って1時過ぎから作業を始め、2時半までに馬房を整備し、3時からは運動という手順になる。又、競馬を使う馬は別メニューとなっており、中山競馬場に向かってトレセン出発は2時半。もちろん矢田さんも同行し、競馬場での長い1日を過ごすことになる。又、担当馬が出走しない場合は、出張者に代わって残った馬の世話をすることになる。朝、夕の食事をはじめ、馬体のケアにいたるまで、担当者間のコミュニケーションは欠くことができない。

矢田厩務員が担当した タイキフォーチュン 1996年(平成8年) 第1回NHKマイルカップ

現在、調教開始は午前7時。従って矢田さんの出勤時間は4時過ぎなのだが、これから夜明けが早くなって、6時、そして5時というふうに調教時間が早くなってくると、出勤時間も3時、2時と早まっていく。

1日の始まりに矢田さんの腰につけてもらった万歩計を、作業終了と共にはずして見てみると、27,377歩。これはトレセンの作業中だけの数字なので、自宅や通勤などの数字を加えると30,000歩と捉えてもよさそうだ。夕方、自宅へ帰る途中で矢田さんはマッサージに通うのが日課のようになっている。首から肩、そして腰に慢性的にハリと痛みがあるのだが、職業病と言ってもいいだろう。

競馬の仕事に携わる者の宿命として、家族と過ごす時間は圧倒的に少ない。泊りがけの旅行などは、まず無理である。矢田さんの一人息子、大空(ヒロタカ)君は、もうすぐ中学2年生。最近、競馬が好きになってインターネットで情報を得ているようで、競馬の知識は自分より詳しいと、矢田さんは嬉しそうに笑う。今の矢田さんの楽しみは、ほんの短い休みの時間に大空君と過ごすことだと、話の端々に伺える。

1日の、そして1週間のスケジュールをふり返って、改めて「ほんとに、馬が好きじゃなきゃ、この仕事はできませんよ。」と語った矢田さんの一言が、ズシッと胸に響いた。

ライタープロフィール

白川 次郎 (しらかわ じろう)

1945年11月生まれ、高知県出身。元日本短波放送・ラジオたんぱ・ラジオNIKKEIアナウンサーで現在はフリーアナウンサー。ラジオNIKKEIにて『中央競馬実況中継』など、競馬番組を中心に担当している。また、関東地方の独立UHF放送局放送『中央競馬ハイライト』の土曜日キャスターとしても出演している。

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