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競馬かわらVAN(リレーコラム)

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第39回 世界に羽ばたく日本人調教師

2009/2/16(月)

地方競馬全国協会(NAR)も粋な計らいをするものだと思った。

2月5日、東京都内の会場では、NARグランプリ2008の表彰式が行われた。年度代表馬に選ばれたフリオーソ(04年生まれ、船橋・川島正行厩舎)をはじめ、08年に地方競馬で活躍した17組の人馬がグランプリの栄誉に輝いた。

その中で特別賞に輝いた1人が高岡秀行調教師(52)だった。

かつて地方競馬を活躍の場にしていた高岡調教師ではあるが、現在はシンガポールを拠点にしている。直接の関係者ではない高岡調教師を表彰した。NARのその懐の深さに感心した。

高岡調教師が表彰されたのは昨年11月30日の快挙が理由となった。シンガポール・クランジ競馬場で行われたGT競走シンガポールゴールドカップ(芝2200メートル)。その大レースを管理馬エルドラド(せん馬、04年生まれ)で制したのだ。

03年にシンガポールで調教師として再出発し、6年目での価値ある勝利だった。ホッカイドウ競馬時代、最多勝に輝くなど通算356勝を挙げていたが、その中にGTタイトルはなかった。念願の勝利を海の向こうでつかんでみせた。

記者会見中の高岡秀行調教師

NARグランプリ当日の記者会見で、当時の心境を聞かれた高岡調教師は「頭が真っ白になった」と振り返った。いまだに感激を忘れられない様子だった。シンガポールゴールドカップに、もう1頭出走させていたジェイドも4着に入る健闘を見せた。同レースはシンガポールで2番目に賞金の高い、権威あるレースだ。日本でいえば、天皇賞か有馬記念に相当する。

高岡調教師はユニークな経歴の持ち主である。滋賀県の八日市高校を卒業後、2年間浪人生活を送ったが、大学受験に失敗。北海道へ旅に出た。牧場でアルバイトをするうちに騎手を志すようになり、79年に騎手デビューした。23歳での遅いスタートだったが、引退までの14年間で通算524勝を挙げた。93年から調教師に転身。00年には年間54勝を挙げてホッカイドウ競馬の最多勝調教師に輝いた。

日本産馬の海外進出拠点を作ろうと、02年12月に3人の日本人スタッフと日本産サラブレッド18頭とともにシンガポールに渡り、03年から現地で開業した。

以来、着実に実績を伸ばし、ついに大レースを制するまでになった。今回優勝したエルドラドはステイゴールドを父に持つ日本生まれのサラブレッドである。これも日本競馬にとってはうれしい知らせだった。

高岡調教師がシンガポールに渡るきっかけはサラブレッド生産者から受けた相談だった。経済不況で馬が売れない。中央競馬に入るような高額馬なら、ある程度は売れる。しかし、中堅クラスの馬に買い手がつかなくなっていた。地方競馬の廃止も相次ぎ、競走馬の受け皿は小さくなっていた。新しい販路をアジアに求めようという狙いがあった。遠大と思われた計画が、ようやく実を結ぼうとしている。

海外で調教師生活を送っているのは高岡調教師だけではない。フランスに拠点を置く小林智調教師(34)がいる。

小林調教師は昨年、日本人として初めてフランスギャロ(フランス競馬の統括機関)から調教師免許を与えられた。現在は開業を目指して準備に励んでいる。

小林調教師は馬と関係ない生活を送っていた。千葉県出身、学んだのは畑違いの日大理工学部だった。大学を卒業する頃になって競馬の道に進む決意をした。北海道のコアレススタッドで5年間働いた。02年4月、フランスに渡り、ハモンド厩舎で勤務。さらにギブソン厩舎でアシスタント・トレーナーを務めた。一時、帰国後、再びフランスに渡り、07年からはデルザングル厩舎で調教厩務員として働いた。

この間、フランス語を身につけた。昨年7月、フランスギャロが行う調教師試験に見事合格し、フランスにおける日本人調教師第1号になった。

武豊騎手とともにイベントに出演した小林智調教師

昨年、凱旋門賞に出走したメイショウサムソンのフランス側の受け入れ態勢を整えたのが小林調教師だった。メイショウサムソンのフランス遠征は小林調教師抜きでは、うまくいかなかっただろう。

小林調教師は昨年末から今年にかけて、日本中央競馬会(JRA)の栗東トレーニング・センターで研修をした。身を寄せたのはウオッカやカネヒキリがいる角居勝彦厩舎だった。JRAで大活躍する角居調教師の厩舎経営を肌で感じ取ったという。充実の時を送って、1月下旬にはフランスに戻り、目指す開業に向けての準備に入った。

03年、アイルランドのカラ競馬場の近くにある厩舎を訪ねたことがある。そこは何百年もの歴史を持つ古い厩舎だった。

迎えてくれたのは児玉敬さんだった。02年12月に調教師免許を受けた。「英語圏以外の人に免許を出すのは初めて」と、担当者に言われた。アイルランドでは初の日本人調教師となった。

神奈川県出身の児玉さんは北海道の牧場で働くうちに、海外への思いが芽生えた。米国での経験をへて、アイルランドに渡り、長年かけて手にした調教師免許だった。

ただ現実は厳しかった。馬を預けてくれる馬主の数は増えず、厩舎経営は続行不可能になった。児玉さんは現在、アイルランドの競走馬せり会社のエージェントなどをやりながら、日本と海外との懸け橋になっている。チャンスがあれば、また調教師生活を送りたいと願っている。

日本の競走馬は強くなった。世界に通用する速さを手に入れた。それとともに日本のホースマンたちも確実に技術を上げている。そして高岡調教師をはじめとするパイオニア(開拓者)精神の持ち主たちが、日本人ホースマンの可能性を世界へと広げている。こういう志の高い人たちがいる限り、日本競馬の未来に夢と希望を持つことができる。

ライタープロフィール

有吉 正徳 (ありよし まさのり)

1957年1月生まれ、福岡県出身。1984年東京中日スポーツ入社、競馬を担当。92年朝日新聞社入社。東京本社運動部(現スポーツ部)、大阪本社スポーツ部で競馬、サッカー、アメリンカンフットボールなどを取材。02年10月から半年間、英国に留学、現在は東京本社スポーツグループに所属。

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