JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

馬券購入に役立つオッズ情報や競馬情報をはじめ、競馬データによる競馬予想の楽しさをご紹介。

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

競馬かわらVAN(リレーコラム)

競馬かわらVANバックナンバー

第3回 ディープスカイという驚き

2008/6/9(月)

 ことしもまた、僕はダービーに驚かされた。

 04年のキングカメハメハ、05年のディープインパクト、07年のウオッカ。振り返ってみれば、最近は毎年のように優勝馬のパフォーマンスに驚かされている。

2008/5/11 NHKマイルカップ 1着 ディープスカイ ことしのディープスカイが強いことは十分に認めていた。NHKマイルカップの勝ち方は、実力が備わっていなければできない芸当だった。だから1番人気になったのも理解できた。だが、ダービーであれほど素晴らしいレースをするとは考えてもみなかった。ディープスカイは予想をはるかに上回る強さで優勝をさらっていった。

 従来の常識に収まり切れない型破りなタイプのダービー馬なのだと思う。それは彼が歩んできた道のりと深い関係がある。レース後の昆貢調教師のインタビューでは、記者なら誰もが感じている疑問が発せられた。「ダービーを勝つような馬がなぜ、未勝利を抜け出すのに6戦もかかったんですか?」。昆調教師の答えは「デビュー当時は体ができていなかった。レースを使いながら体力がついていったんです」というものだった。2008/6/1 東京優駿(日本ダービー) 1着 ディープスカイ

 「ダービー馬」といえば、普通はデビュー当初から才能の片鱗を見せる。ミホノブルボンはデビュー戦で上がり33秒1の末脚を使って快勝したし、ジャングルポケットは並ぶとしぶとい勝負根性を見せていた。どこかにキラリと光るものがあった。しかしデビュー当初のディープスカイは地味で目立たない競走馬だった。

 初戦は昨年10月の京都。松田大作騎手とコンビで臨み、4着に終わっている。2戦目も11月の京都。今度は武豊騎手の手綱で2着に頑張った。3戦目は東京に遠征した。再び武豊騎手とコンビを組み、2着に追い込んでいる。2歳の最終戦は中京だった。野元昭嘉騎手に手綱を取られたディープスカイは4戦目で初めて1番人気に支持された。しかし、よく追い込んだものの、またしても及ばず。3戦連続の2着になった。

 3歳初戦は京都。初めて藤田伸二騎手が騎乗した。1番人気になったが、最後の直線で前が壁になるような場面もあり、9着に敗れた。このレースの優勝馬は後に青葉賞で1番人気になるマゼランだった。

 初勝利は1月26日の京都。14頭立ての5番枠からスタートしたディープスカイは4、5番手を進み、最後は藤田騎手に導かれてインコースをするすると伸びた。2着に1馬身半差をつける快勝だった。500万クラスでの初戦は2度目の東京遠征だった。2月のこのレースで2着に終わったものの、自己最速の上がり33秒4という末脚を爆発させている。いったんは最後方の16番手まで下げ、津村明秀騎手の励ましに応えてのラストスパートは見事だった。

 昆調教師のいう「体がしっかりしてきた」というのはこのころのことだろう。デビュー8戦目にしてようやく重賞路線に乗り出すことになった。

 初めての重賞参戦は3月、阪神でのアーリントンカップだった。ダンツキッスイの大逃げで決着した中、初コンビを組んだ幸英明騎手を背にゴール前は抜群の伸び。10番人気の低評価だったが、きわどい3着に食い込んでみせた。

2008/3/29 毎日杯 1着 ディープスカイ そして運命の毎日杯を迎える。3月29日の阪神。四位騎手が初めて手綱を取ったのがこのレースだった。混戦の中、残り200メートル地点で抜け出すと後続を引き離して快勝した。あとは、ご存じの通り。NHKマイルカップ、ダービーと連勝した。デビューから5連敗。その後は6戦4勝。コンビを組んだことのある騎手は合わせて7人。駆け足で振り返っただけでも、ディープスカイの経歴は異色だ。まったく新しいタイプのダービー馬が誕生した。

 僕は1982年から競馬の取材に携わってきた。バンブーアトラスが優勝した第49回が初めて現場で見たダービーだった。途中、転勤で大阪にいて3年抜けたため、今年のダービーは24回目の現場取材となった。長年取材を続けていると、いっぱしの専門家気分になる。「これが競馬の常識だ」などとわかったようなことをいい、お決まりの型にはまった考え方しかできないことが多い。

 今回、ディープスカイに向けていた「疑いの目」は、初勝利まで、こんなにもたついた馬がダービーを勝てるのだろうかという型にはまった考え方からきていた。だが、記録は破られるためにあり、常識も覆されるためにある。たかだか25年ぐらいのキャリアで300年の歴史を持つ競馬がわかったような口をきくとは無礼千万。競馬の神様からまた、強烈な警告を受けた気がする。

 ウオッカが優勝した昨年、僕は、その優勝をまったく予測することができなかった。理由はローテーションにあった。牝馬であることがハンディになるとは考えなかったが、1600メートルの桜花賞から一気に800メートルも距離が延びるダービーへの参戦が大きな不利になると考えていた。しかし常識はあっさりと覆された。

 競馬は驚きの連続だ。だから僕は何十年も見続けることができるのだと思う。びっくりし続けて、飽きることがない。今、この原稿を読んでくださっている皆さんの競馬ファン歴は色々だろう。つい最近、見始めたばかりの方もいれば、僕以上に長いキャリアのベテランもいらっしゃるかもしれない。すべてのファンに申し上げたいのは、「驚き」を期待して競馬場に行きましょう、ということだ。

 1日中、1番人気が優勝する競馬を想像してください。あるいは全レースが逃げ切りで決まったらどうでしょう。驚きのない、興奮のない競馬です。けれども実際に、そんなことは起こらない。伏兵が本命馬を破り、追い込みがズバリと決まることもある。自分なりに驚きのシナリオを書いて、馬券の買い方に反映してみるのもひとつの手だと思う。そんな時に手に入るのは、思いもしない高配当だ。

 51歳の僕の願いは第100回ダービーを見ること。驚き続けながら、あと25年、競馬に触れていたい。

 

ディープスカイ/血統

ディープスカイ
栗毛 2005年生
アグネスタキオン
栗毛 1998年生
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986年生
Halo
Wishing Well
アグネスフローラ
鹿毛 1987年生
ロイヤルスキー
アグネスレディー
アビ
栗毛 1995年生
Chief's Crown
1982年生
Danzig
Six Crowns
Carmelized
1990年生
Key to the Mint
Carmelize

 

ディープスカイ/成績(2008年6月9日現在)

開催日
開催場
競走名
着順
騎手
コース
タイム
2007/10/8 京都 2歳新馬 4 松田大作 芝1400 1.24.4
2007/11/4 京都 2歳未勝利 2 武豊 芝1600 1.35.4
2007/11/24 東京 2歳未勝利 2 武豊 芝1800 1.49.4
2007/12/16 中京 2歳未勝利 2 野元昭嘉 芝1800 1.49.6
2008/1/13 京都 3歳未勝利 9 藤田伸二 芝2000 2.05.6
2008/1/26 京都 3歳未勝利 1 藤田伸二 芝1800 1.50.9
2008/2/17 東京 3歳500万下 2 津村明秀 芝1600 1.36.7
2008/3/1 阪神 アーリントンC 3 幸英明 芝1600 1.34.9
2008/3/29 阪神 毎日杯 1 四位洋文 芝1800 1.46.0
2008/5/11 東京 NHKマイルC 1 四位洋文 芝1600 1.34.2
2008/6/1 東京 東京優駿 1 四位洋文 芝2400 2.26.7

ライタープロフィール

有吉 正徳 (ありよし まさのり)

1957年1月生まれ、福岡県出身。1984年東京中日スポーツ入社、競馬を担当。92年朝日新聞社入社。東京本社運動部(現スポーツ部)、大阪本社スポーツ部で競馬、サッカー、アメリンカンフットボールなどを取材。02年10月から半年間、英国に留学、現在は東京本社スポーツグループに所属。

競馬かわらVANバックナンバー

競馬かわらVANはケータイサイトならびにNEXTでもご覧いただけます。

ケータイサイトやNEXT Ver.5では、記事の中の競走馬、騎手、レース成績などのキーワードがリンクされており、簡単に詳細情報を見ることができます。

競馬の総合情報ツールの決定版
JRA-VAN NEXT(ネクスト)

  • 予想機能・リアルタイムのオッズ・馬券購入など役立ち機能がたくさん
  • JRA公式データをリアルタイムで提供!

NEXT(ネクスト)詳細

今すぐお試し!1ヶ月無料(お試し版ダウンロード)

JRA-VAN
ケータイサービス

  • JRA公式データの充実度はそのまま!なのに、携帯画面でも見やすい!
  • 基本情報からお役立ち機能、お楽しみ要素までしっかりご用意しています

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN