JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

馬券購入に役立つオッズ情報や競馬情報をはじめ、競馬データによる競馬予想の楽しさをご紹介。

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

競馬かわらVAN(リレーコラム)

競馬かわらVANバックナンバー

第2回 個性豊かなサラブレッドたち

2008/6/2(月)

 三歳馬のクラシック戦線が熱を帯びてくると、トレーニングセンターでは、緑のゼッケンを着けた二歳馬の姿が目立って多くなる。1ヵ月ほど前には、先輩達の姿が少なくなる遅い時間帯に、ソロっと馬場に入って来たものだが、この時期になると先輩達に混じって馬場開場の時間から出てくるようになった。来年のダービーに向けての戦いがもうすぐ始まる前触れである。

 競馬の仕事に就いて38年が過ぎたが、よくもまあ飽きもせずに、と我ながら驚くのは、毎年新しいメンバーが登場してくれるからだろう。この二歳馬の取材が、今は一番面白いと感じている。もちろん競走なので、勝・負という部分の取材が多くなるのだが、その合間に性格、独特のしぐさ、エピソード等を聞くようにしている。ほとんどがレース直後の取材が多いのだが、非常に興味深い話が多い。それはまるで、幼稚園の運動会と表現したらいいだろうか?大半の子はスタートの合図と共に走り出すのだが、中にはポツンと取り残されて呆然と立ちつくす子、一目散に母親の方へ走り出す子、キョロキョロしたり、ニコニコ手を振りながら走ったり、途中でやめてしまったりと、何で走るのかまるでわかっていないような子の姿である。四月生まれから三月生まれの子まで、一年間の差のある子供達を同じ条件で走らせることによって起こる事態だが、競走馬の世界でも四ヶ月程の差はある。体の発育の度合い、性格の幼さがあって当然なのだろう。性格は本来、生まれついてのものである場合が多いのだが、育った環境でも左右されると言われている。競走成績を左右するファクターの中で、性格が占める割合はかなり高そうだ。

  競走馬として理想的な性格は、何といっても負けず嫌いというタイプだろう。最近の厩舎関係者は“前向きな馬”という表現を使うが、自分より前で走る馬が許せない、我慢できないという性格。とにかく前の馬を抜くまで走ることをやめない。その為に時々オーバーペースで走ってしまうことも起こる。そして自分が先頭に立つと、そこではじめておちついてジョッキーの指示にも従順になり、折り合いがつくことが多いが、中には前の馬を抜いた途端に満足してしまって、それ以後、競走にまったく興味を示さなくなってしまう馬もいる。“ソラを使う”と言われる馬にはこのタイプが多いようだ。

1992年(平成4年)日本ダービー ミホノブルボン  ミホノブルボンは、血統的な背景からはスプリンターという評価になりそうだが、天性のスピードに加えて、強靭な体力、そして何と言ってもその強い性格が、二冠を達成した要因になったのであろう。驚異的なスピードで勝ち進んでいったのだが、戸山調教師は、クラシックレースを考えて、好位で我慢する競馬を考えた時期があったと言う。ミホノブルボンは、それが耐えられない屈辱とでも思ったのか、その指示に従う素振りをまったく見せず、結局、そのスピードを最大限に生かす戦法で戦うことになっていったのである。惜しかったのは菊花賞。前半、相当なハイラップでとばす逃げ馬を追いかけ、それで3000mを走りぬき、僅差の2着に頑張り通した。破れたとはいえ、感動的なレースぶりであった。

1987年(昭和62年)菊花賞 サクラスタオー  皐月賞以来の空白期間をのりこえて菊花賞を制したサクラスターオーも、性格の強さが前面に出た馬であった。ときにはその強さが荒々しさとして出てしまって、気が悪い、扱い難い馬という言われ方をしたこともあったが、平井雄二調教師は、この性格こそがまさにサラブレッドなんだと語ってくれた。今でも印象に残る言葉になっている。
さて、この強い気性が時としてとんでもない方向に発揮されることがある。直線的に相手を攻撃してしまうことである。サクラエスプリに騎乗し、僅差で破れた蛯名正義騎手が後検量の後、「この馬は一頭で走っているときには、スムーズでいい走りをしてくれるんだが、馬が並びかけてきた途端にその馬を噛みに行くんです。その分の負けです。いやー驚いたな。」と語った。他にも輪乗りの際に、他の馬を蹴りに行ったという例も聞いたことがあったが、やはり馬の世界でも暴力事件はあってはならないことだろう。

  生まれおちた瞬間から常に人と接している競走馬。大半は人に対して従順で、それ故に長い間、共に歴史を刻んで来ているのだが、中には、人の為すがままでいることを潔しとしない馬もいる。ダイワメジャーがデビューした当時のことは、まだ記憶に新しい。パドックでひっくり返ってだだをこねたり、2人引きの上に、更に背中にもう一人が乗って周回し、それでももてあますほどの我儘ぶり。上原調教師は、当時「この馬は、人間よりも自分の方が強いし、偉いと思っているんでしょうね。」と苦笑いをしていた。そのダイワメジャーが喉の手術の後、数々の大レースで活躍し、JRA賞最優秀短距離馬に2年連続で選ばれたのである。厩舎スタッフが根気よく続けたコミュニケーションの成果であろう。ダイワメジャーの引退式で、マイクを前に絶句した上原調教師の姿は、多くの観衆の胸をうったことだろう。

  ディープインパクトも、時として強い感情を抑えられず、突っ走ってしまうところがあったが、スタッフの根気よい馴致が実った例であろう。また、最後まで自分のスタイルにこだわったように思われるサイレンススズカの存在は“人知を超えた馬”と評した武豊騎手の言葉が、全てを現しているように思える。

  と、ここまで書いてきたところで紙数が尽きたようだ。今回は気性の強さを前面に出して来た馬の話で終わってしまったが、他にも淋しがりやの馬、遊びたがる馬、なまけものの馬など、人間くさい馬のエピソードが数多く残っているので、次回、改めて書こうと思う。



馬名
生年月
父母
競走成績
GT勝ち鞍
ミホノブルボン
1989年4月生
父マグニテュード 
8戦7勝(重賞5勝)
91朝日杯3歳S、92 皐月賞、92東京優駿
母カツミエコー
サクラスターオー
1984年5月生
父サクラショウリ 
7戦4勝(重賞3勝)
87皐月賞、87菊花賞
母サクラスマイル
ダイワメジャー
2001年4月生
父サンデーサイレンス
28戦9勝(重賞8勝)
04 皐月賞、06天皇賞(秋)、06マイルCS、07 安田記念、07マイルCS
母スカーレットブーケ
ディープインパクト
2002年3月生
父サンデーサイレンス 
14戦12勝(重賞10勝)
05皐月賞、05東京優駿、05菊花賞、06天皇賞(春)、06宝塚記念、06ジャパンカップ、06有馬記念
母ウインドインハーヘア
サイレンススズカ
1994年5月生
父サンデーサイレンス
16戦9勝(重賞5勝)
98宝塚記念
母ワキア

ライタープロフィール

白川 次郎 (しらかわ じろう)

1945年11月生まれ、高知県出身。元日本短波放送・ラジオたんぱ・ラジオNIKKEIアナウンサーで現在はフリーアナウンサー。ラジオNIKKEIにて『中央競馬実況中継』など、競馬番組を中心に担当している。また、関東地方の独立UHF放送局放送『中央競馬ハイライト』の土曜日キャスターとしても出演している。

競馬かわらVANバックナンバー

競馬かわらVANはケータイサイトならびにNEXTでもご覧いただけます。

ケータイサイトやNEXT Ver.5では、記事の中の競走馬、騎手、レース成績などのキーワードがリンクされており、簡単に詳細情報を見ることができます。

競馬の総合情報ツールの決定版
JRA-VAN NEXT(ネクスト)

  • 予想機能・リアルタイムのオッズ・馬券購入など役立ち機能がたくさん
  • JRA公式データをリアルタイムで提供!

NEXT(ネクスト)詳細

今すぐお試し!1ヶ月無料(お試し版ダウンロード)

JRA-VAN
ケータイサービス

  • JRA公式データの充実度はそのまま!なのに、携帯画面でも見やすい!
  • 基本情報からお役立ち機能、お楽しみ要素までしっかりご用意しています

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN