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第1606回 皐月賞へ向けたトライアル競走第1弾・弥生賞を分析する

2022/3/3(木)

皐月賞へ向け最初の「トライアル」競走となる弥生賞ディープインパクト記念(以下弥生賞)。そのディープインパクトやシンボリルドルフといった後の三冠馬を筆頭に、多くの皐月賞馬を出してきた一戦だ。今回はその弥生賞の過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 3-2-1-4/10 30.0% 50.0% 60.0% 67% 71%
2 3-2-2-3/10 30.0% 50.0% 70.0% 117% 100%
3 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 49%
4 1-2-2-5/10 10.0% 30.0% 50.0% 179% 111%
5 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 57%
6 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 198% 103%
7 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 391% 127%
9 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 291% 54%
10 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 225%
11〜 0-0-0-16/16 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

2021/3/7 中山11R 弥生賞(G2) 1着 4番 タイトルホルダー(4番人気)

過去10年、1〜2番人気は計【6.4.3.7】で連対率50.0%、複勝率65.0%と上々の成績。ただ、それ以外の好走馬は10番人気まで幅広く分布している。過去10年のうち8回は12頭立て以下と落ち着いた頭数になることが多い割に、穴馬の出番も少なくない印象だ。昨年優勝したタイトルホルダーは、単勝4番人気ながらその配当は1790円だった。

■表2 馬番別成績

馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 28% 11%
2 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 121%
3 0-0-3-7/10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 45%
4 2-1-3-4/10 20.0% 30.0% 60.0% 242% 249%
5 1-2-0-7/10 10.0% 30.0% 30.0% 291% 146%
6 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 198% 90%
9 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 18% 11%
10 2-3-1-4/10 20.0% 50.0% 60.0% 407% 175%
11 2-1-0-4/7 28.6% 42.9% 42.9% 84% 70%
12〜 0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

馬番別で連対率が高いのは4、5番と、8、10、11番。4〜5番は計【3.3.3.11】で連対率30.0%、そして8〜11番は不振の9番を含めても【6.6.2.23】連対率32.4%。特に1番人気馬は8〜11番なら【3.2.0.0】連対率100%、それ以外は【0.0.1.4】と明暗が分かれているため、レース当日はこの点も忘れずに確認したい。

■表3 前走クラス・前走レース別成績

前走クラス・レース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
新馬 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 75%
未勝利 0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1勝 2-2-0-29/33 6.1% 12.1% 12.1% 68% 35%
OPEN 2-1-0-7/10 20.0% 30.0% 30.0% 42% 163%
G3 4-3-3-22/32 12.5% 21.9% 31.3% 243% 94%
G2 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G1 2-3-7-5/17 11.8% 29.4% 70.6% 115% 149%
地方 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
若駒S 2-1-0-2/5 40.0% 60.0% 60.0% 84% 326%
朝日杯FS 1-2-3-2/8 12.5% 37.5% 75.0% 22% 203%
ホープフルS(G1昇格後) 1-1-4-3/9 11.1% 22.2% 66.7% 198% 101%
きさらぎ賞 1-0-1-3/5 20.0% 20.0% 40.0% 782% 210%
京都2歳S(G3昇格後) 1-0-0-1/2 50.0% 50.0% 50.0% 165% 80%
共同通信杯 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 582% 108%
京成杯 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 47%
ヒヤシンスS 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

※背景灰は本年の登録馬に該当なし、レースは本年の登録馬の前走のみ

前走クラス別で好走馬が多いのはG1組とG3組。G1組はやや勝ち切れない感もある一方で、複勝率は70.6%と非常に高い。G3組も同31.3%と上々だが、本競走と同コースで行われている京成杯組は【0.0.2.8】と連対がない。また、オープン特別組の好走馬3頭の前走はすべて若駒Sで、この組は【2.1.0.2】連対率60.0%をマークしている。なお、前走でジュニアCに出走していた馬は過去10年では該当がなかった。

■表4 前走G1組の各種条件別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走着順 1着 1-1-1-0/3 33.3% 66.7% 100.0% 60% 110%
2着 0-0-3-0/3 0.0% 0.0% 100.0% 0% 130%
3着以下 1-2-3-5/11 9.1% 27.3% 54.5% 162% 165%
新馬戦成績 1着 2-3-6-2/13 15.4% 38.5% 84.6% 151% 130%
2着以下 0-0-1-3/4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 210%
キャリア 2戦 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 110%
3戦 2-2-5-1/10 20.0% 40.0% 90.0% 197% 145%
4戦 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 46%
5戦 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 280%

※キャリアは除外・取消レースを除き、実際に出走したレースのみ

表3にあったように前走G1組は複勝率が優秀な上、単複の回収率も100%を超えている。該当馬はすべて買ってもいいくらいだが、さらに好走確率が高そうな馬に絞るなら前走のG1連対馬(特に優勝馬)、新馬戦で1着だった馬、そしてキャリア2〜3戦馬。ただし、これに該当しなくても複勝率は決して「低い」というほどではない点には注意したい。

■表5 前走G3からの3着以内好走馬

馬名 弥生賞 前走
人気 着順 レース 通過順 人気 着順
2012 コスモオオゾラ 9 1 共同通信杯 2-3-2 7 5
トリップ 3 2 ラジオNIKKEI杯 6-7-5-4 1 4
アーデント 5 3 京成杯 7-6-6-6 4 4
2014 ワンアンドオンリー 4 2 ラジオNIKKEI杯 9-8-8-8 7 1
アデイインザライフ 2 3 京成杯 16-16-16-15 4 3
2015 サトノクラウン 2 1 東京スポーツ杯 9-10-10 4 1
2017 カデナ 1 1 京都2歳S 7-8-9-7 3 1
ダンビュライト 5 3 きさらぎ賞 5-4 2 3
2018 ワグネリアン 2 2 東京スポーツ杯 5-5-4 1 1
2019 メイショウテンゲン 8 1 きさらぎ賞 5-4 5 5

前走G3からの3着以内好走馬は表5の10頭で、前走はすべて芝1800m以上かつ5着以内だった。この前走「芝1800m以上のG3で5着以内」を満たす馬は【4.3.3.13】複勝率43.5%、単複の回収率338%、131%となる。

また表5の10頭のうち、コスモオオゾラを除く9頭は前走時に3コーナーを5番手以下で通過していた。前走3コーナー4番手以内だった馬は【1.0.0.10】複勝率9.1%、5番手以下は【3.3.3.12】複勝率42.9%となるため、G3組なら好位以降から差す競馬をしていた馬に注目したい。なお前走G1組は、そのG1で3コーナー4番手以内だったとしても【2.0.2.1】とまったく問題ない。

■表6 前走オープン特別・1勝クラスからの3着以内好走馬

馬名 弥生賞 前走
人気 着順 レース 通過順 人気 着順
2013 カミノタサハラ 6 1 500万下 9-10-7 1 1
ミヤジタイガ 10 2 若駒S 4-4-3-3 3 4
2014 トゥザワールド 1 1 若駒S 6-6-5-4 1 1
2016 マカヒキ 2 1 若駒S 5-5-6-4 1 1
2017 マイスタイル 8 2 こぶし賞 3-3 2 1
2020 サトノフラッグ 2 1 1勝クラス 3-5-4-2 1 1
2021 シュネルマイスター 2 2 ひいらぎ賞 5-6-4 1 1

最後に表6は前走オープン特別・1勝クラスからの好走馬7頭で、うち6頭は前走1着馬、5頭は前走1番人気馬だった。その双方を満たす「前走1番人気1着馬」は【4.1.0.6】複勝率45.5%と優秀だ。

また、前走の通過順は好走した7頭すべて3コーナー3番手以下だった。前走の3コーナーを2番手以内で通過していた馬は2012年のフェノーメノが2番人気で6着、そして2017年にはダイワキャグニーがやはり2番人気で9着に終わるなど【0.0.0.9】。表3では好成績を示していた若駒S組でも、ここ2年は同レース3コーナー先頭だった一昨年のパンサラッサが9着に、2番手だった昨年のタイセイドリーマーが10着に敗退した。

【結論】

2021/12/19 阪神11R 朝日杯フューチュリティS(G1) 1着 9番 ドウデュース(3番人気)

前走G1組が高複勝率を残す弥生賞(表3)。中でも前走連対馬や新馬戦1着馬、キャリア2〜3戦馬が安定している(表4)。今年のG1組でこの3条件をすべて満たすのは朝日杯FSの覇者・ドウデュースだ。今回は2ハロンの距離延長になるが、この組は2016年にマイル戦しか経験がなかったエアスピネルが3着に入るなど2000m未経験馬が大半という中で好成績を残しており、1800mで2勝を挙げている本馬なら不安はない。

また表4本文でも触れたように、前走G1組は上記3条件を満たせない馬でも複勝率は低くないため軽視は禁物だ。前走ホープフルSで連対を外していた馬がここ3年連続して馬券に絡んでいることもあり、同レース3着のラーグルフや、5着だったボーンディスウェイも候補に挙げたい。

前走G3組は表3にあったように京成杯組が連対なし。その他の組で「前走芝1800m以上5着以内」「前走3コーナー5番手以下」(表5)を満たすのは、京都2歳Sを制したジャスティンロックと、きさらぎ賞を勝ったマテンロウレオの2頭だ。前走オープン特別・1勝クラス組で表6の条件を満たす登録馬はおらず、上記5頭を中心に組み立てたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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